コジマタケヒロのアルビ日記2024 Vol.8「三十而立」早川史哉

アルビレックス新潟の早川史哉選手

23日の火曜日、取材可能な練習の最後はクロスだった。両サイドからボール上げて、ゴール前で合わせる。この日、クロサーの1人として左サイドからボールを上げていたのが、早川史哉選手。

「自分で言うのもなんですが、左足でもいいボールが上げられていたと思います。手が左利きなので、もしかしたら足も元々は左利きだったんじゃないか説が出るくらい(笑)」。

第6節・磐田戦(A/●0-2)、第8節・札幌戦(H/△1-1)、ルヴァンカップのいわき戦(A/◯2-0)、そして第9節の京都戦(A/◯1-0)と左サイドバックとして試合に出場(いわき戦は途中出場)。試合を重ねるごとにプレーが磨かれているというのが、左サイドバックでプレーする早川選手への僕の印象だ。

「手応えも感じますし、段々相手の狙っている場所がどこなのかという試合感みたいなものは感じやすくなってきています。やはり試合に出続けることで感じること、向上するものは間違いなくあると思います。あとは試合の中で出た失敗や課題をひとつひとつ試合や試合形式の練習と通して、自分の中で修正できるようにしていけたらいいのかなと思います」。

「課題というのは、3つあって、例えば左のセンターバックがボールを持ったときの立ち位置。もうちょっと低い位置にとって相手を引き付けるだとか、自分のところにプレッシャーを受けるような。結構、センターバックと縦の関係になりすぎて、相手から取りやすい状況でボールが僕のところに入ってきて奪われてしまうシーンが何度かあったので。ジュビロ戦が最もそれが多くて、札幌戦でもちょっと多くて。京都戦では試合でより意識したのでそれまでよりはよかったと思うのですが、もう少し低い位置からスタートしてボールをピックアップできるようになったらいいのかなと思います。逆に先に高い位置を取りつつ、動いてくるタイミングでもう少し引けたら、動き直しができたらもっといいのかなとも。そこは改善したいなと思う部分ですね」。

「もう一つは、自分たちが持っていたボールを相手に奪われた瞬間の立ち位置。もう少し内側に位置を取ってボランチのような位置で相手の初動、カウンターの起点となる部分をしっかり蓋ととじるような準備をすること。京都戦でも何回かカウンターを受けてゴール前まで行ってシュートを打たれるような場面があったのでそういったものを防げるようになりたいです。3つ目。逆サイドに振られてボールが跳ね返ってきたときのセンターバックの外側をもう少し自分がケアしてあげられたらもっと楽にクロスの対応や跳ね返しができると思うので、隙を作らず、本当に万全で何も問題ないっていうような守備をできるようにならないといけない」。

実になんとも早川選手らしい。

京都戦でもともにプレーしたボランチの宮本英治選手は、左サイドバックで出場している早川選手をこう表現した。「守備的な選手なので後ろはどちらかというと任せて、自分がいつもよりちょっと前に出るイメージを持ってプレーしています」。

「サイドバックをやっていてもセンターバック的視点というか、自分がサイドバックに入ることでより強固なブロックやクロス対応もできると思います。そういった危機察知の部分も働かせることができるので、サイドバックでのプレーは非常に面白いと思います。センターバックだとできないようなもう一歩早く動き出せる駆け引き。サイドバックだから許されるプレーがあるから、自分の予測力をうまく出せるポジションだと思います」(早川選手)。

早川選手に話を伺った後、松橋力蔵監督に「早川選手がサイドバックでのプレーを面白いと言っていたこと」について聞いてみた。

「彼が面白いと言ってくれていることがすべてだと思います。やっぱりやるなら、仕方なくやるとか、いないからやるとかそういうメンタリティよりは、もうしっかり楽しんでやってほしいなと。そういうメンタリティでやってくれているのであれば、非常にうれしいですね」

この日の練習には左サイドバックを本職とするキャプテン・堀米悠斗選手も参加していた。週末に行われるFC東京戦。どういった布陣で新潟が試合に臨むのか。ワクワクが止まらない。

 

◎アルビライター コジマタケヒロ
練習、ホーム戦を中心に日々取材を続ける、アルビレックス新潟の番記者。また、タウン情報誌の編集長を務めていた際に、新潟県内の全日本酒蔵をひとりで取材。4冊の日本酒本を出した、にいがた日本酒伝道師という一面も。(JSA認定)サケ・エキスパート。

 

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前回:Vol.7「悔しさ」 長谷川元希(2024年4月10日)

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