経済の活力維持に向け、「外国の高度人材」の確保に動く新潟
少子高齢化が進む中、いかに日本経済の活力を維持していくのかが大きな課題となっている。そして活力維持に向けて欠かせないのが、外国人をどう受けいれていくという議論。そんななか、新潟でも、高度人材を確保しようという動きが表面化してきている。
■外国人の創業が容易に
ひとたび中心部から離れると、広大な田園風景をあちこちで見ることができる新潟市--。そんな新潟市が国際戦略特区である“農業特区”に選定されたのは、2年前のこと。
そして昨年、その特区のメニューに、新たに外国人が起業しやすくなる規制緩和などが追加された。
通常、外国人が日本で創業する場合、「経営・管理」の在留資格の取得が必要となる。
ただ、この在留資格の取得には、入国時に、事務所の開設に加え、常勤2名以上を雇用するか、日本国内で500万円以上を投資するかの、いずれかの要件を満たす必要があるそうだ。
しかし、この要件を満たすためには、日本国内のパートナーなしでは難しく、外国人が一人で創業することは極めて困難だった。
そんななか、市から認められれば、要件を満たすまで6カ月の猶予が受けられるように規制が緩和されたのだ。
「まだ言語や環境面などのハードルはありますが、経済活性化に繋がってほしいと期待しています」と関係者は期待する。
■ERINAの国際人材フェア
一方、将来、新潟市内で創業する外国人候補ともいえる留学生。県内にも数多くの留学生(※)がいるが、環日本海経済研究所(ERINA)では、留学生と、採用したい県内企業を結び付ける「国際人材フェア・にいがた」を毎年開催している。
同研究所のサイトによると、国際人材フェアは2005年に始まり、これまでに49名の採用・内定を実現。とくに昨年は内定者12名と大きな成果を残すことができたそうだ。
筆者も新潟県内で働く外国人を幾人か知っているが、いずれも優秀な人材で、新潟経済の活性化に貢献している。
なお、今年も6月17日に「国際人材フェア・にいがた2017」が開催されるそうだ。
(※)留学生数については、「県(統計年鑑)ホームページ」にある「統計表 第14章 貿易・国際交流」の「14- 8 県内大学別留学生数」に掲載されている。
■国や他の自治体も環境整備
国でも高度人材の受入れがしやすい環境づくりに取り組んでいる。外国人が働きながら日本の技能を学ぶ技能実習制度の受け入れ期間を最長3年から5年に延長することを決めたが、それに加え、日本経済新聞(4月16日)によると、外国人経営者や研究者などが永住権を取得しやすくするという。
具体的には、高い知識や技能を持つ外国人は、5年間の滞在を永住権取得の条件にしてきたが、3年未満に縮めることを検討するそうだ。
このほか、東京圏や福岡市の国家戦略特区などが外国人の起業支援に力を入れている。
どこかの自治体の施策が注目されると、他の多くの自治体で同様の施策を展開しはじめる傾向にある。例えば、B級グルメやらゆるキャラなどがそうだ。今や多くの自治体が、B級グルメ、ゆるキャラを観光の目玉に据えている。また、航空機産業も多くの自治体が力を入れる。だが、こちらに関しては、先行する愛知に追いつけないというのが実情。
外国人創業で先行する新潟市だが、この分野で、先行逃げ切りといきたいものだ。