【社長インタビュー】サッカー超える世界最大のスポーツを──「HADO」で実現するテクノスポーツ、meleap福田浩士CEO

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初掲載:2024年5月10日

meleapの福田浩士CEO(画面中央、2024年2月「NIIGATAベンチャーアワード2023」にて撮影)

ARゲーム「HADO(ハドー)」が勢いを増している。2023年時点で同タイトルをプレイできる店舗は世界39カ国、143施設。世界の競技人口は540万人を超える。

「サッカーを超える世界最大のスポーツ競技を作る」──そう語るのは、開発元である株式会社meleap(東京都港区)の福田浩士CEO。同氏は新潟市の出身。この2月には「NIIGATAベンチャーアワード」で最優秀賞を獲得し、新潟ベンチャーキャピタルからも出資を受けるなど故郷からの視線も熱い。

日本発のプラットフォームで世界を目指す先駆者に、「テクノスポーツ」のきっかけと今後を訊いた。

 

福田浩士CEO。1986年新潟市出身。明訓高校、明治大学工学部建築学科、東京大学大学院卒。卒業後は株式会社リクルートなどを経て、2014年に株式会社meleapを設立。

 

創業と「HADO」開発までの道のり

──meleapを起業したきっかけについて教えて下さい。
元々、ARやVRの領域には興味を持っていました。この技術を使えば、様々なエンタメの可能性が広がるだろう、と。

(起業直前の)2013年は「Google Glass」が発売されたり、「Oculus RIFT」がクラウドファンディングを成功させた時期です。それを見て、やはりこの領域にはこれから確実に大きな波が来ると確信し、会社をスタートしました。

 

──会社の設立は2014年ですが、当初から「HADO」の開発が中心だったのでしょうか?
当初は色々なプロダクトの研究開発をしていました。例えば、スマートウォッチを使った楽器アプリや、スマートフォンを使ったARアプリなどのプロトタイプを作ったりしていましたね。会社を設立してから3カ月目ぐらいに「HADO」の開発一本に絞りました。

 

──「HADO」を選んだのは、その時点で最も完成度が高かったからですか?
いえ、一番難しそうなプロダクトだったからです。その点については、当時参考にしていた起業家の言葉を鵜呑みにしてしまっていたのですが。ただ、「HADO」が一番面白そうでしたし、私自身が「かめはめ波を撃ちたい」という思いがあったこともあります。

開発当初は、競技とかスポーツとかという観点では考えていなくて、「技を撃って敵と戦う」ぐらいの構想でしたね。

 

デジタルと組み合わせた「テクノスポーツ」

蔦屋書店寺尾店(新潟市西区)のHADOフィールド

──「HADO」のビジネスモデルについて教えて下さい。
HADOのビジネスは二つです。一つは、「HADO」をプレイできる施設を運営できるライセンスの販売。現在、全世界39カ国にライセンスを展開しています。

もう一つは、タレントリーグ。俳優やアイドルなどのタレントが選手としてプレイして、ファンに応援してもらう。ファンが応援すればするほど、プレイヤーの技を強化できる視聴者参加型のシステムになっています。収入源としては、観戦チケットやグッズ、「投げ銭」など。現状は、なかでもチケットの収入が一番多いですね。

 

──観客やファンの応援が直接選手のパフォーマンスに影響するのは、こうしたテクノスポーツならではだと思います。いつ頃からこうした参加型の構想はあったのでしょうか?
2018年ごろから考え始めてプロジェクトに着手し始めました。「HADO」の視聴者を広げたいと考えたときに、普通にやっていては広がらないので、すでにファンが居る人(タレントなど)を取り込もうと思いました。そうして考え出したのが、この仕組みです。

現在、事業として大きく成長していますし、選手であるタレントも観客のファンも楽しんでプレイしています。

 

──以前「NIIGATAベンチャーアワード」での発表では、既存のアナログスポーツ、モータースポーツに次ぐ新たな「テクノスポーツ」として「HADO」を位置づけていました。今後の広がりについて教えて下さい。
ビジョンとしては「サッカーを超える世界最大のスポーツ競技を作る」ということを目標にしています。サッカーは、市場規模としては世界最大です。

テクノロジーの進化によって色々なことが起こりうると思います。現状、野球やサッカーでも(物理的な制約などのため)国際プロリーグを作ることは難しい。しかし、こうしたMR技術を使えば、遠隔で国の代表同士が戦うことができます。スポーツが一番盛り上がるのは、やはり国際試合。そういったシーンを毎日作れるというのは、一つのイノベーションです。

また、ゲーム感覚でやっていたらいつの間にか健康になっていた、という状況を作れるのは、こうしたコンテンツならでは。「人を健康にさせるエンタメ」としては、スマートフォンゲームの「ポケモンGO」など、一つの潮流になっています。我々としては、次世代のデバイスとしてMRゴーグルでその答えを作っていきたいですね。

 

「HADO」の今後について

「HADO」 イメージ

──テクノスポーツは、性差や運動への苦手意識、身体障害などによる差が既存のスポーツより小さい点も特徴で、今後「HADO」が広がっていく上で大きなメリットになると思います。
確かに、筋力や体格の影響が少なく、スポーツが苦手な人もゲーム感覚で参加できるのは大きな特徴です。

しかしプレイ人口の面で考えると、単純にデバイスの普及度が一番のネックになると思います。現代、みんながスマートフォンを持っているからスマートフォンゲームが流行しているのと同じです。逆に、今後MRゴーグルが普及すれば、サッカーの人口を超えることも難しくないと思います。

 

──デバイスの普及度と言うと、今後は家庭用の構想も?
家庭用もやりたいとは思っていますが、その開発は、現段階ではゴーグルの普及を待っている状態ですね。

 

──最後に、「NIIGATAベンチャーアワード」で最優秀賞で獲得したことや、新潟ベンチャーキャピタルからの出資を受けてのコメントをお願いします。
出資いただいたからには成果を出さないといけないと思いますので、これから「HADO」を世界に誇れるような事業にしていきたいですね。創業時から、「どうせやるならグローバルビジネスをしたい」と思っていました。我々がこの分野で、世界を獲りにいきます。

スポーツは文化の一つですが、テクノロジーを使って新しい文化をつくりたいと考えています。「HADO」で、1000年後にも大きな影響を与えられる第一歩を踏み出せたら。

 

【関連リンク】
meleap webサイト

 

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