【キシャメシGW】新潟に来たら、ぜひ味わってほしい10選 ⑩竹徳かまぼこ(新潟市中央区)の「甘海老しんじょう」

ゴールデンウィークのキシャメシは、いつもの「昼ご飯」にこだわらず「新潟に来たら絶対これを味わってほしい」というご当地グルメをご紹介。お土産品、酒肴、スイーツ、お惣菜・・・オールジャンルからにいけい編集部がセレクト。人の流れが多いこの時期だからこそ、新潟が胸を張れる逸品を10日連続でお届けしたい。

柳都にいがたが全国に胸を張れる至高の食、南蛮えびを世界一美味しく食べさせる手法

グルメ記事で食傷気味なほど使われている「ソウルフード」という言葉がどうも苦手だ。

この言葉をすぐに使いたがるライターは、本当にへたくそだと思う(偏見がスゴい)。

ちょっと軽々しくないか、ソウルフード。誰もが気安く使いまわして、今や手あかまみれだ。

地域の店が30~40年も続けばもう「ソウルフード」と言われ出す始末。正直、新潟にあってラーメンやカレーを「ソウルフード」と言われても「は?」なのだが…

いや、すんません、おじさんちょっと熱くなりすぎたかも。

竹徳かまぼこ本町店

「しんじょう」だけでもいろいろな種類がある

ただね、ソウルフードなんて大仰な言葉使わなくても「地域の食文化」や「ローカルガストロノミー」という適切な言葉があるじゃないか、と思うわけで…

さて、そろそろ本題に入る。

新潟はなぜこの料理を「柳都を代表する食文化」として大々的に売り出さないのか、記者は不思議に思う。

それは「海老しんじょう」。意外にもまだ、全国に「見つかっていない」。

日本料理の「しんじょ(真薯)」自体は京都が発祥。魚介のすり身に山芋や出汁を加えて練ったものを巾着型にとり、蒸す。工程を見るとはんぺんにも似ている。

これが京都から北前船に乗って新潟に運ばれ「しんじょう」になった。

手前が「海老しんじょう」奥が「甘海老しんじょう」

新潟では素揚げした「揚げ真薯」がスタンダードに。なぜ新潟は「揚げる」のか。そこには同じように北前船で京都から伝わった、花街の芸妓文化が深くかかわっている。

真薯は、箸で摘まんだ時に滑って醤油が撥ね、芸妓のきれいな着物を汚してしまうことが多かった。そこで滑らないように、表面を素揚げしたのだという。

どうです、この「みなとまちにいがた」を彩る豊穣なバックストーリー。こういうのでしょ、新潟が全国に向けて自慢できるのは。

ご存じの通り、新潟名物のひとつに「甘えび」があり、新潟では「南蛮えび」と呼ばれる。

記者はこの「海老しんじょう」こそ、南蛮えびが最もポテンシャルを発揮できる調理法だと信じて疑わない。

柳都の一番良盛った頃は、それこそ各料理屋で競うように磨かれたに違いない。今でも古町の気の利いた料理屋では、自家製の海老しんじょうが食べられる。

誰でも求めやすい製品としてなら、竹徳かまぼこ(新潟市中央区)の「甘海老しんじょう」「海老しんじょう」(ともに389円税込)が素晴らしい。

竹徳は明治27年創業となっているが、もともとは江戸時代に漁師から身を起こした先人が蒲鉾をつくり始め、そののれん分けなのだと言う。

「甘海老しんじょう」は、2022年の「ジャパン・フード・セレクション」において最高金賞グランプリに輝いた。これ、練りもの業界では初の快挙。逸品中の逸品。

GW最終日の本日は、昼メシにこいつをクラフトビールとともにいただいて、午後から完全オフとしたい。

「地酒と…」と言いたいところだが、ホップの香るIPAと実に相性が良い(と記者は思う)

箸でつまむと、真薯を素揚げした表面のガサガサ感と香ばしさが箸を通して伝わる。

包丁を入れると、断面がまあ美しい。きめ細やかでぷりぷり、しっとり、なめらか。表面の香ばしさとコントラストを成し、えも言われぬ夢見心地の食感。表面かりっ、中ふわふわ、風味じゅわっ、の3コンボ。

普通の「海老しんじょう」の方が、海老の原型が幾分ごろごろと残る感じで、実は記者はこちらを推している。

風味のコシが強い。海老しんじょうを通して「海老ってこんなに素晴らしいのか」と再認識できる。ある意味「刺身よりも海老」なのではないかと思う。

それほど強い風味にもかかわらず、全体を包み込むのはふんわりした優しさ。すごい食文化だよ、海老しんじょう。

ところで、竹徳の一番新しいお店、この4月25日にオープンしたばかり、「CoCoLo新潟店」には、店舗限定の「海老しんじょうバーガー」が販売されている。少々ジャンクな印象であるが、揚げしんじょう自体が洋食の手法を取り入れたものなので、バンズやレタス、マヨネーズとの相性も悪くない。

「CoCoLo新潟店」限定販売の「海老しんじょうバーガー」もかなり良い

また、おでん種にすれば抜群のうまさ。少々贅沢な使い方ではあるが。

ほんと「海老しんじょう」には、もっと新潟を代表していただきたい。

「これを食べに、わざわざ新潟に来たい」といえる程の、数少ないローカルガストロノミーなのだから。

(編集部 I)

【竹徳かまぼこ本町店】

新潟市中央区本町通6番町1113

営業時間 9:00~17:30

定休日 日曜

<グーグルマップより「竹徳かまぼこ本町店>

 

【キシャメシGW】新潟に来たら味わってほしい10選
①鉄が引き立てるコクとキレ「鉄メロンソーダ」&「鉄入珈琲」

②鮨家むらさき(新潟市東区)の限定ランチ

③さわ山(新潟市中央区)の「名代 大ふく」

④鳥専門店 せきとり(新潟市中央区)https://www.niikei.jp/1040422/の「半身から揚げ

⑤小竹製菓(新潟県上越市)の笹だんごパン

⑥「の屋」(新潟市中央区)の「たまご焼き プレーン/九条ねぎ」

⑦ ‟越後はひとつ” 新潟県のソウルなローカルフード イタリアンが繋いだ軌跡

⑧吉惣キッチン(新潟県三条市)の「おろしハンバーグ弁当」

⑨岩の原葡萄園(新潟県上越市)「善」の白ワイン

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