【改正障害者差別解消法の施行】合理的配慮ってなんですか? 4月にまちなかキャンパスで学びの催し 誰もが暮らしやすい社会の実現を目指して(新潟県長岡市)<再掲載>
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初掲載:2024年5月8日
2024年4月1日から、改正障害者差別解消法が施行され「事業者による障害のある人への合理的配慮の提供」が義務化された。「合理的配慮」とは、どのような配慮のことをいうのだろうか。事業者や雇用主は、具体的にどのような点に留意をしていけばよいのだろうか。
そういった疑問や悩みに応えようと4月19日、新潟県長岡市にある「学びと交流の拠点」まちなかキャンパス長岡では、生活カフェ「「当たり前」を疑う社会へ -合理的配慮ってなんですか?-」を開催した。案内役は、長岡技術科学大学の男女共同参画推進室室長兼ダイバーシティ研究環境推進部門部門長の髙口(こうぐち)僚太朗講師(39歳)である。
髙口講師は冒頭で、「障害」という英語の和訳が、‟handicap”から、“society for disability”と変化してきたことについて触れ、言葉と共に考え方にも社会的な変化が生じてきたことについて語りながら「障害が悪いのではなく、どう接することでよりよい社会が送ることができるのか」を、社会全体で考えるように変化してきたことを指摘。その上で、「合理的配慮については、事業者や雇用主が一方的に決めつけて行うのではなく、当該当事者を含めた丁寧な話し合いをした上で、行っていかなければならない」とした。
催しの後半では、実際に起こりうるケースを想定し、参加者がグループになって意見を交換した。「発達障害のある学生が、教育実習の代わりにレポート提出にしてほしいと相談してきたら、指導教員としてどのように対処するか」というケースでは、髙口講師は、「そもそも〈教育実習の本質は何か〉〈レポート提出という代替案によって、当該当事者にとっては得られるはずの教育機会を奪うことにならないか〉ということをしっかり考えなければならない。当事者との話し合いなしに、安易に代替処置の提案をしてはならない」とした。
髙口講師によれば、「大切なことは先入観を持たない」であるという。勝手な先入観や固定観念を持ってしまうことによって、本来得られるはずの教育機会を奪ってしまうこととなる。「物事の本質を見誤ってはいけない」と警告する。
また、実際の障害者雇用の現場においても、職種や業務内容により、採用される障害者のっ種類が偏りやすいことを指摘。同一の職種でも、様々な障害に雇用の間口を広げていくことの重要性を述べた。
「(障害を持った相手に対して)聞くことは失礼ではない。少しでも耳を傾けて欲しい。勇気を持って聞いてほしい」と語った。
小千谷市から参加した60代・男性は、「今回大切なことだと思うから、話を聞きに来た。〈合理的配慮〉について全体像は理解できた」とコメントした。また、長岡市内から参加した諸橋和歌さん(50代)は、「やっぱり社会の中に差別という現実があることに気づかされた。社会にある視点の転換が必要と感じた」と述べた。
(文・写真 湯本泰隆)