【妙高市発の日本初企業】ガス・上下水道を一括して運営する妙高グリーンエナジー(新潟県妙高市)は全国先進モデル企業

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初掲載:2024年5月8日

新潟県妙高市にある妙高グリーンエナジーの本社

妙高グリーンエナジー株式会社(新潟県妙高市)はなんと日本初の企業である。つまり、人口3万人を切る自治体から全国モデルとなる会社が出たのだ。同社は2021年に設立、妙高市から譲渡や包括委託を受けて、ガス・上下水道を一括して運営する民間企業である。行政から民間への流れは全国的なトレンドで、その背景には少子高齢化社会の人口減少問題が絡んでいる。

現在、妙高市では人口が減少し、3万人を割っている状況だが、妙高市の人口は20年後には23%減、40年後には43%減の予測が出ており、料金収入の減少が明らか。以前からガス・上下水道の継続困難が懸念されていた。

一方で、ガス・電力の自由化という大きな波があり、2017年のガス事業法改正により、都市ガス小売り事業が全面自由化となった。その結果、エネルギーの多様化で、消費者にとって選択肢が増えた一方で、ガス事業者同士だけでなく、電力などの他エネルギーとの競争にさらされることになった。

妙高市のガス・上下水道事業の経営課題としては、まずは施設の老朽化である。各事業では、施設や設備の老朽化に伴う更新とともに、災害対応などの需要が今後増加していくことが予想されるため、経営を圧迫するとの影響が懸念されている。

また、市役所職員数の減少も挙げられる。定員適正化計画や外部委託の推進などにより、職員の削減が行われており、妙高市役所では、ガス・上下水道担当が2008年度31人だったのが、2018年度には20人になっていた。10年間で3割も減少しているのである。

さらに、有資格者の確保や後継者の育成が極めて困難な状況だ。職員の異動や高齢化による技術力の低下という問題に直面しているのだ。実際、新潟県内の公営ガス事業では柏崎市と見附市が北陸ガスへ譲渡し、今後は小千谷市が民間譲渡に向けて手続き中だという。

妙高グリーンエナジーは、ドイツのシュタットベルケのように事業領域を拡大し、他地域への水平展開を図ることを目指している。シュタットベルケとは、ドイツにおいて電気、ガス、水道、交通などの公共インフラを整備・運営する自治体所有の公益企業で、事業数は1,400社。電気事業を展開する事業者は900社を超え、国内電力小売市場で約20%のシェアを占めるという。

妙高グリーンエナジーは、再生可能エネルギーを調達するアーバンエナジーと協定を結び、妙高市役所や市総合体育館、文化ホールなど公共施設19カ所に電力も供給しており、総合エネルギー企業を目指している。

ガス・上下水道は災害時でも分かるように、言うまでもなく、生きるための第一線の重要なインフラである。それが今、「行政から民間へ」という動きが活発になっている。まさに時代の流れであるが、妙高市発・日本初の妙高グリーンエナジーの動向を今後も注目していきたい。

妙高グリーンエナジーの米持和人顧問

(文・撮影 梅川康輝)

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