【特集】10年先も社会に求められる会社を目指して——岩塚製菓(新潟県長岡市)がサステナビリティ委員会を発足

初掲載:202459日(更新日:2024年5月20日)

ヒト・モノ・情報の出入りがますます加速化していく現代社会において、時代や社会に求められているものを常に汲み取り、それらを具体的な事業に取り込んでいかなければ、どんな大きな会社でも生き残っていくことは難しい。

新潟県長岡市にある岩塚製菓株式会社(新潟県長岡市)ではこのほど、「社会から選ばれ続ける企業」になることを掲げ、社内委員会活動を起ち上げた。

「10年先を考えるプロジェクト」と名付けられたこの取り組みは、様々な部署から横断的に選出された若手12人を中心に行われる。

選出されたメンバー

今後は毎月の会合を重ね、これから先向き合っていかなければならない社会課題などを議論していく中で、最優先に解決していかなければならない重要課題を明確にしていく。

その上で、それぞれの部門ごとに、課題解決に向けた目標や具体的な行動指針を策定し、2024年9月までにはある程度の指針を定め、次年度の中期経営計画などに盛り込みながら推進していく予定である。

プロジェクト一連の講師を行うのは、株式会社横田アソシエイツ(東京都)の横田浩一代表取締役である。横田代表は、都内の大学などで教鞭を執る傍ら、学生たちとともに自主ゼミを起ち上げ、「持続可能な開発目標」(SDGs)について議論と研究を重ねてきた。その自主ゼミに参加し続けた学生らと共に起ち上げたのが一般社団法人アンカーである。同アンカーでは、現在、SDGsをテーマに、中高生のキャリア教育などに携わっている。

プロジェクトに携わる横田浩一代表取締役

サステナビリティ委員の一人として選ばれた開発部開発第1係・管理栄養士の広川知佳さん(26歳)は、陸上選手でもある。陸上は学生時代から行っていたが、結果で恩返しすることができなかったという。京都の大学を卒業した後、美味しいの笑顔を作ることで周りに恩返ししたいと、徹底的に品質をこだわっている同社に入社したという。「(他社もやっていて)岩塚製菓でもできることではなく、岩塚製菓にしかできないことを、他社を引き付けるようなことをやっていきたい」と意欲的に語る。

また商品企画部商品企画一課1係から選出された刈谷晃大さん(29歳)も、「選んでいただいたからには何かしら吸収して、いろんな部署にフィードバックできたら。最終的に、岩塚製菓の、長岡の、新潟の発展につなげていければ」とする。

1回目の会合となった4月27日では、アンカー所属の学生らと顔合わせを行った。

進行は、4つのテーブルに分かれ、話を聞きながら、30分ごとに各グループのメンバーをシャッフルして進行するワールドカフェ形式で行われた。社員らはそれぞれのテーブルで、「健康」や「教育」、「多様性」などといったテーマを切り口に現在も様々な活動に取り組んでいる学生の話に耳を傾けながら、現代社会を取り巻く様々な課題について理解を深めていた。

テーブルの一室で、「偏差値教育でなく、コミュニケーション力や行動力で自ら学びの場を増やせていけるのではないか」と語るのは、同アンカーの理事でもある小林真緒子さん(22歳)である。同じテーブルで話を聴いていた経営企画室の田中葉子さん(38歳)は、「子どももいるので、親目線で話を聞いていた。今まで型にはまった勉強に疑問も興味も覚えなかった。凄いなあ。勉強になった」と感心した様子である。

「偏差値教育でなく、コミュニケーション力や行動力で自ら学びの場を増やせていけるのではないか」と語った小林真緒子さん

「勉強になった」 という田中葉子さん

白熱した会合の様子に、関心を持って見に来ていた槇春夫代表取締役会長(72歳)は、「当社では新しい取り組み。これからの会社を方向付ける土壌を作りたい。建前論よりも、社員が本気で取り組むことに発展していかないと、意味がないと思っている。それが本当のサステナブル」だとし、本プロジェクトに対して「大いに期待している」とコメントした。

プロジェクトに期待を寄せている槇春夫代表取締役会長

 

【関連サイト】
岩塚製菓株式会社

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