コジマタケヒロのアルビ日記2024 Vol.9「押し上げる」遠藤凌

アルビレックス新潟の遠藤凌選手

「本当だったらうれしいんでしょうけれど、オウンゴールがあったので素直に喜べなかったというか……。でも、取り返すという一心だったので得点が取れてよかったです」

8日の練習後、J1初ゴールの感想を聞くと、遠藤凌選手からはこんな答えが返ってきた。

6日のアウェイ・神戸戦(●2-3)、前半に2失点を許してしまった新潟だったが、51分、鈴木孝司選手の縦パスから長谷川元希選手がゴール前に持ち込み、ゴール前にパス。走り込んできた藤原奏哉選手がダイレクトシュートを放ち、ゴール。自身J1初ゴールとなる一発で反撃ののろしをあげた。それから間もない55分、相手チームのクロスに反応した遠藤選手の右足にあたったボールは自軍のゴールへ。

「1点取り返して、チームの勢いもここからってときだったので本当に申し訳なかったですし、自分が取り返すんだって思ってセットプレーに入りました」

76分のコーナーキック。長谷川元希選手が蹴ったボールを遠藤選手がずらす。そのボールを舞行龍選手が中央に折り返すと、倒れていた遠藤選手が立ち上がり、ヘディングで合わせて、ゴール。1点差となり、再びチームに勢いをもたらした。オフサイドの判定により、幻の得点となった89分のゴールも遠藤選手の得点があったからこそだと個人的には思っている。

2022年6月にいわきFCへ期限付き移籍。今季、新潟に戻り、ここまでリーグ戦3試合に出場。存在感を示そうと日々研鑽を積んでいる。

「今の新潟は後ろからしっかりと自分たちがボールを保持して前に攻めていくスタイル。もっともっと後ろからゲームをコントロールしていかないといけないと思っています。(同じポジションの先輩、千葉和彦選手と舞行龍ジェームズ選手の)2人からはボールの持ち方だったり、中盤につけるところだったり、相手の背後にボールを蹴ることだったり、と一つ一つのパスをはじめ、もっともっと多くのことを盗んでいかなきゃいけないなって。試合では縦に刺すようなボールを出せるように意識してプレーしています。そういったボールがチームでは求められているし、それができなければ今の新潟で試合に絡むのは非常に難しくなると思っているので」

いわき時代は筋トレを積極的に行っていたという。今季も変わらず、取り組んでいるが、ケアにも気を配るようになった。

「筋トレをやるだけだと筋肉が固まってしまうケースが多くて、使える体にならないと気がつきました。だから、新潟に戻ってきてからは、トレーニング後、ほぐすようなケアもしっかりと行うようになり、特に上半身が固まらないようにしています。このほぐす工程をしっかりと取ることで、筋肉をつけると同時に使える体に仕上げています。〜中略〜もっと僕たち下の年代がチーム内の競争を高めるというか、下から押し上げていくと同時に、リーダーシップを持ってやっていかなければならないと感じています。そのためにもチャンスが来たときにそれを掴みきれるよう、常にいい準備をしたいと思っています」

今週末には遠藤選手に縁ある浦和との対戦がある。

「本当に彼(いわきでチームメイト。今季、新潟に移籍。現在、けがのため戦線を離れている宮本英治選手)が今、試合に出られず悔しい思いをしている分も含めて、僕がもっともっとプレーでチームに貢献したいと思っています。守備では自分のところで全部跳ね返すくらいのプレーを発揮していきたいと思いますし、攻撃の面ではもっとボールを動かし、攻めにつながるようなパスにチャレンジしていきたいと思います」

はっきりと優しい口調の後ろに、強い決意を感じずにはいられなかった。

 

◎アルビライター コジマタケヒロ
練習、ホーム戦を中心に日々取材を続ける、アルビレックス新潟の番記者。また、タウン情報誌の編集長を務めていた際に、新潟県内の全日本酒蔵をひとりで取材。4冊の日本酒本を出した、にいがた日本酒伝道師という一面も。(JSA認定)サケ・エキスパート。

 

【関連記事 コジマタケヒロのアルビ日記2024】
前回:Vol.8「三十而立」早川史哉(2024年4月25日)

こんな記事も

 

── にいがた経済新聞アプリ 配信中 ──

にいがた経済新聞は、気になった記事を登録できるお気に入り機能や、速報などの重要な記事を見逃さないプッシュ通知機能がついた専用アプリでもご覧いただけます。 読者の皆様により快適にご利用いただけるよう、今後も随時改善を行っていく予定です。

↓アプリのダウンロードは下のリンクから!↓