新潟県上越市の福祉作業所かなやの里ワークスの農福連携、利用者の社会参加を推進
水田面積が全国4位と言われる米どころの新潟県上越市だが、数年前から農業従事者の高齢化や担い手不足が顕在化している。そこで注目されているのが福祉施設と農業との連携を意味する「農福連携」だ。農福連携は縦割り行政と言われている霞が関で、2014年に農林水産省と厚生労働省が唯一タッグを組んだ取り組みとしても知られている。
農福連携は省庁同士が手を組み、国が推進しているわけだが、それだけ担い手不足がひっ迫しているということだろう。福祉施設の方にもメリットがある。野外で作業することで外部の人自分たちの活動を知ってもらえるという利点がある。
新潟県の中でも上越市は農福連携が一番進んでいるという。その理由は、平成22年に設立された共同販売会などの活動をしている上越ワーキングネットワーク(18施設加盟)という組織があり、農業部会の中で受注を取りまとめ、加盟する各施設に配分しているからだ。現在でも月1回の会合を持ち、連携を密にしている。
新潟県上越市の社会福祉法人上越福祉会かなやの里ワークスは上越市内の障害者の就労支援施設で、施設利用者が「農福連携」を実践している。自家農園で、ししとうやなす、トマトを栽培しているほか、上越市清里区の有限会社グリーンファーム清里との連携で、水田の除草やもみ殻の袋詰めを受注している。袋詰めは上越市全体で12万袋のところ、かなやの里ワークスだけで最大1万2,000袋を受け持っている。
また、上越市上新町の農事組合法人かみしんまちとの連携で、苗箱洗いを受注している。苗箱洗いは5月の田植えの時期の仕事で、苗を植え終わって土で汚れている苗箱をかなやの里の利用者と職員が水田から回収し、かなやの里の敷地内で自動の機械で洗浄する。
苗箱の枚数は4,000枚と多いが、サービス管理責任者の望月正さんは「ある意味、来年の田植えまで使うことがないものなので、終わらせる期日が長い。急がないでいいので、利用者には適している」と話す。
そのほかに、かなやの里ワークスは「かなや味噌」やしいたけを製造・栽培している。「かやな味噌」は上越市ではよく知られている商品で、年間10トンの量が売れるといい、年間売上高は約800万円と福祉施設の商品としては規模が大きい。
しいたけは原木しいたけで、「かなや味噌」と同様に昔ながらの原木栽培にこだわっている。望月さんは「手間はかかるが、人手もあるのでこだわりたい。差別化にもなる」と話す。しいたけは身厚で、味がいいと評判。県知事賞を受賞したほどだ。
望月さんは「今までの福祉施設内の作業だけではなく、外へ出て利用者の社会参加で活躍できる場が広がるのが農福連携だ。最終的には利用者の就職につながれば一番いい」と話していた。
少子高齢化時代で農業の担い手不足が問題化している中、一方では機械化・自動化・無人化のスマート農業が推進されているが、農福連携のような人の血が通った活動もまだ大事ではないだろうか。
【社会福祉法人上越福祉会HP】
https://kanayanosato.jp
本記事は、上越福祉会かなやの里ワークスの提供による記事広告です。