【新潟で誕生!】新しい経営課題の解決プログラム。“当たり前”の壁を越える「ローカルベンチャーシップ」
新規事業の開発に成功!経営課題解決の注目プログラム
今や3人に1人と言われる高い早期離職率や地方における人口流出、社会情勢の変化に伴うイノベーションの必要性など、企業をめぐる経営課題は多岐にわたり、大きな社会問題となっている。
そんな中、社員でも外部コンサルタントでもない、経営や事業の課題解決につながる新しいパートナーシップの形「ローカルベンチャーシップ」が2023年に新潟で誕生した。
ローカルベンチャーシップとは、企業の経営者や管理職の「相棒」として30歳以下の“ベンチャーバディ(以下バディ)”と呼ばれる若者がタッグを組み、3ヶ月にわたり各社の課題解決に向けたプロジェクトを企画立案~実施まで行う実践的な課題解決プログラムだ。
このプログラムの特徴は
・社内ではなく組織外人材との協働。
・企業の経営者や管理職とバディ、コーディネーターの3者でプロジェクトを実施。
・インプットに特化したビジネススクールや講座ではなく、実際の課題解決を重視した体験的な学び。
などが挙げられる。
ローカルベンチャーシップは2023年に初めての試みとなる「Session0」が開講し、4社が参加。そのうちの1社は、目標に掲げていた複業社員の入社が実現するなど、従来の雇用方式とは異なる自社の経営にマッチした雇用制度の開発に成功。他にも新規事業としてボディケアの施術者育成講座を立ち上げた企業では、講座終了後も受講者とのコミュニティが醸成されて新たな講座開講への見通しを持つことができるなど、参加した全社が満足度の高い成果を上げることができた。
社外の若者という異質な仲間との出会いが「当たり前」を変える
ローカルベンチャーシップの大きなポイントが、異質な他者と繋がり、普段とは異なる環境に身を置く「越境学習」という仕組みだ。組織や年代・業種・立場、そして自身にとっての「当たり前」の枠を越えて=越境して挑戦することで、自社の文化や固定観念を俯瞰できる。越境がもたらす体験は時に葛藤が伴うが、新たな視点や価値観、他では得難い気づきや繋がりといった資産を獲得することができる。
従来のインターンシップでは企業は若者を受け入れるホスト的立ち位置になるが、バディは対等な関係の相棒になる。頼る相手であれば業務委託で十分だが、利害関係も上下関係もないバディだからこその自由なアイディアは受け入れる者にとって大きな刺激となる。バディの仕事ぶりに触発され社員の意識に変化が生まれたり、プロジェクト終了後の継続的な関係性にもつながっている。
「よく『経営者は孤独』と言われますが、ローカルベンチャーシップでは、自社の常識では解決できない課題という、誰も正解がわからない未経験の挑戦をしていく中で一緒に同じ立場で学ぶ仲間ができます。そして社内にこのような挑戦の土壌ができることで、長期的には採用や社員育成にもつながっていくことが期待されます」と語るのは、Inquiry合同会社CEOで、ローカルベンチャーシップを生み出した山本一輝さん。
山本さん自身、全国の商工会議所や行政、学校、NPOなどと一緒にこれまで数々の事業を作る「越境学習」を経験してきており、実際に知見や視野が広がる実感があったそう。さらにさまざまなプロジェクトを通じて高校生や大学生の意識や能力の高さを知り、彼らから多くのことを学んできた。
「永続的な成長・発展のためには将来を見据えたサービスの開発や組織課題の解決が重要です。余裕があるうちに手を打たないと事業承継の失敗やビジネスモデルの破綻にもなりかねません。しかし社員は製造や販売、営業など日々の業務に追われており、それらの業務は緊急度が高いものなので、新規事業開発にコミットすることは時間的ノウハウ的に難しい。また社外の経済団体も越境の一つではありますが参加者の同質性が高いので、意見を交わしても従来の“枠”や“固定概念”から抜け出すことは容易ではありません。そこで越境学習によって、緊急度は高くないが会社にとって重要な”未来への投資”となる取組みに挑める企業が増えることを目指してこのプログラムを作りました」
企業×若者×コーディネータの3人4脚で課題解決以上の手応え
ローカルベンチャーシップにエントリーした企業は、最初にInquiry社のコーディネーターとのミーティングで、バディへの要望や解決したい課題を整理。その後企業の情報を参考に応募してきたバディとマッチングが行われ、プロジェクトがスタートする。
各社課題やメンバーの個性も異なるので、プロジェクトごとにバディとの関わり方やミーティング頻度、協働内容は異なる。Session0では、バディが経営者の苦手な部分をフォローするチームや、右腕となるパートナーシップを築けたチームなど、自然とプロジェクトごとにベストな関係性が出来上がっていったそう。
参加した企業からは、当初テーマとしていた課題の解決に加え、「今まで当たり前だと思っていたやり方が、バディとの協働で当たり前ではないことがわかった」「価値観がぴったりの、今後もつながっていきたいパートナーと出会えた」など、プラスアルファの得るものがあったとの声が寄せられた。
リーダー候補生となる若者から選ばれ、新潟を活気づける企業に
個々の企業の課題はもちろん、新潟の経済界全体が抱える問題の一つとして「若者の人口流出」を挙げる山本さん。
厳しい労働環境は是正され、終身雇用という”当たり前”も変わりつつあるなかで、昨今の若者たちの早期離職の一因には、何者かになるための必要な力を早い段階で身につけたいキャリア早期構築願望がある。負荷も成長機会も少ない”ゆるい環境”では潰しが効かなくなってしまうのではないかという危機感の強さから生じる見切りの早さがあるという。「能動的な将来のリーダーとして期待できる若者を活かす環境や、そういった子たちに選ばれる“チャレンジできて会社とともに自分も成長するイメージが抱ける企業”を増やす、その挑戦の土壌を僕は新潟に作りたいです」
ローカルベンチャーシップには、復興庁が実施している「復興・創生インターンシップ事業」というモデルがある。岩手・宮城・福島に全国から集った大学生が一ヶ月滞在し、地元企業の課題解決のインターンに参画するプログラムだ。この取り組みにより、インターンを経て移住・就職した若者が続々と新商品開発を手がけていたり、継続的に学生がこの事業に参加している実績がある。越境を戦略的に取り入れる経営者が現れれば新潟にもきっと全国から人が来る、と山本さんは期待する。
「まだまだ新潟の企業に“越境”は少ないと感じていますが、社外の若者が関わり新しい挑戦をすることが社内でも中堅社員やベテランの方たちの刺激になり、連鎖していくような生態系が生まれると、採用やイノベーション、新規事業の起爆剤にもなって、新潟が盛り上がるのではないでしょうか」
ローカルベンチャーシップは全国展開も視野に入れており、参加し、越境の力を実感した者同士、今度は新潟と他県の企業やバディがタッグを組む機会も生まれたら…と山本さんのビジョンは広がっている。
新潟の中小企業が抱えている課題の解決の一手に、今後の浸透が期待されるローカルベンチャーシップ。Session0が成功を収め、さらにブラッシュアップされたSession1が6月から開催される。現在エントリーを受け付けており、5月17日には無料のオンライン説明会の開催が予定されている。
■ローカルベンチャーシップSession1およびオンライン説明会情報
受講者募集期間:2024年4月1日~5月末
定員:先着8名
オンライン説明会:2024年5月17日(金)19:00-21:00
説明会参加申込フォーム:https://forms.gle/ubJwog7gaMuFMnTi7