「高齢者」と「若者」の両面から地方創生に取り組む南魚沼市
高齢者の地方移住を促すことで首都圏の人口集中の緩和と、人口減少に悩む地方の活性化を目指す「日本版CCRC」--。本県では、南魚沼市と新潟市がCCRCに力を入れている。
このうち、人口6万人弱の南魚沼市は、東京から新幹線(JR浦佐駅)で約1 時間半という好立地にありながらも、四季の彩り豊かな大自然も満喫できるというエリア。
加えて、JR浦佐駅周辺には、学生の85%が世界各国からの外国人留学生という国際大学、魚沼基幹病院、高速道路の大和スマート・インター・チェンジなどが集積しており、首都圏から移住を呼び込む潜在力があるといえる。
同市では、こうした特徴を活かし、首都圏などのアクティブシニアに住民になってもらおうと2014年9月、CCRC構想推進を議会で表明した。
その後、「南魚沼版CCRC推進協議会」などを立ち上げ、CCRC構想を進めてきた。
具体的には、移住促進に向けた施設を整備する計画。そして整備後は、(移住者の生きがいにもなる)移住者と大学留学生との交流を図りながら、国際文化と活気の溢れるコミュニティを形成していく。さらに、病院などを活用しながら、(介護予防も含む)移住者の健康づくりも進めていくという。
日本経済新聞(新潟面)によると、施設については、3日、建設・運営などの事業者を選定するコンサルタント業務の公募を始めたという。
場所はJR浦佐駅のある浦佐地区で、市では2017年秋までに50戸、将来的には200戸用意することを検討しているという。
一方、政府でも2日に開催された「生涯活躍のまち形成支援チーム(第2回)」の会議において、同支援チームの支援対象となる地方公共団体(先行事例)に、南魚沼市など7市町を選定された。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/ccrc/h28-06-02.html
■若者の雇用増も目指す
定住人口として期待するのは高齢者ばかりではない。南魚沼市では昨年、「南魚沼CCRCビジネス研究会」を立ち上げ、IT関連を中心に、若者の雇用創出に取り組み始めた。
加えて、今年2月18日には、南魚沼市と新潟県、国際大学、アダム イノベーションズ(スリランカ出身の国際大卒業生が設立したコンサルティング会社)が、「グローバルITパーク南魚沼構想」推進に向け、協定を締結した。
同構想は、インドやスリランカでソフトウェア開発事業を展開しているIT企業を同市に集積していくことを目標にしており、5月には国際大学で説明会が開催された。
市役所大和庁舎を改装しオフィスを整備し、まずは16社を集め、今年8月にオープンする予定という。そして2030年までに国内外350社の企業集積を目指している。
高齢者と若者の両面から人口増加に取り組む南魚沼市に注目だ。