【今注目の静脈産業】新潟県上越市の一大グループ、Jマテ.ホールディングスの代表取締役社長に新たに就任した創業家の山本宏樹氏に聞く
Jマテ.ホールディングス株式会社(新潟県上越市)は、Jマテ.カッパープロダクツ、上越マテリアル、上越ハイキーなどを傘下に持つJマテ.グループ。
同グループは、祖業である金属スクラップ回収業から始まり、廃棄物の収集運搬・中間処理、建物解体、生ごみを発酵させて発生するメタンガスから発電・売電などをする環境リサイクル事業、銅合金鋳造・加工事業、機械設計組立事業、不動産事業などを手掛けており、回収した銅系スクラップを溶解し、製品を製造するなど、一貫して静脈産業(消費され廃棄物となったものを集め、それらの再販売、再加工などを通して、再び社会に流通させる産業)をベースとした事業を展開している。
今、SDGsを持ち出すまでもなく、環境リサイクル社会が浸透している中、まさに全国的に注目されている静脈産業。今年3月にJマテ.ホールディングスの代表取締役社長に就任した創業家の山本宏樹氏に今後の経営戦略やグループの将来像などを聞いた。
Jマテ.グループ全体の経営戦略について
「人手不足を解決するために、採用力の強化を図るとともに、少数精鋭での組織運営を前提として業務効率向上に資する取り組みを進めていきます。これは労働組合との調整が必要になりますが、人事関連制度の見直しも考えています。短期的にはバイオマス設備の拡充により減価償却費の負担が重いですが、早く回収できるよう努めます。また、時間、商圏、設備、ノウハウを買うイメージでM&Aを考えていきたいです」
グループ会社の設備投資について
「足元では特段大きな設備投資は考えていませんが、老朽化設備の更新、効率化に資する投資は適宜行っていきたいです。環境意識の高まりに応じた次世代の廃棄物処理設備の設置は検討していきたいです」
Jマテ.ホールディングスの将来像について
「静脈産業がベースの企業グループではありますが、それにこだわらず収益につながることが前提で、社会の『不便』『不満』『不安』などのネガティブな概念を取り払う取り組みも考えたいです。新潟県上越市を中心として事業を行っていますが、地域の垣根を超えた事業展開も検討したいですね」
グループを統率する社長としての役割について
「第一に、会社を潰さないことです。赤字であっても倒産を避けることができますが、黒字でも倒産することがありえます。その大きな要因は手持ちの現金が不足することです。現金の流れ゠キャッシュフローが組織の生命線であることを認識しています。これをしっかりと管理し、安定した経営基盤を築きます」
「次に、会社をより良くすることです。私たちの会社は持続可能な社会の実現に貢献することを使命としています。社会の変化(人口減少、少子化、高齢化、環境意識の高まりなど)にしなやかに適応しつつ、技術やサービスの提供を通じて、社会に価値を提供し、事業を発展させていきます」
「また、安全第一、コンプライアンス(法令遵守)を大切にすることを強く心に留めています。私たちの活動は社会に対する責任を伴うものであり、厳格な法令遵守は会社の信頼と持続可能な発展のために不可欠です。安全への配慮と法令遵守を徹底し、組織全体でその重要性を共有していきます」
「最後に、会社の経営を次世代に引き継ぐことです。持続可能な成長を実現するためには、次世代のリーダーシップを育成し、組織の継続性を確保することが不可欠です。若手の育成やリーダーシップの発揮を支援し、次の世代がより良い未来を築くための土台を作り上げていきます」
山本宏樹代表取締役社長プロフィール
1979年7月6日生まれ。44歳。2007年1月にJマテ.ホールディングス株式会社入社。2012年3月に取締役。2013年6月に常務取締役。2014年7月に専務取締役。2019年9月に代表取締役専務。2024年3月に代表取締役社長。
(文・梅川康輝)