【週末は妙高へ】グリーンシーズンこそクライマックス、休暇村妙高から出かける心癒しの散策コース「笹ヶ峰」と「関山神社」

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掲載日:2024年6月7日(最終更新:2024年6月16日)

柔らかなに包まれる休暇村妙高「リゾワテラス」

「散歩以上、トレッキング未満」を愉しむ

ジャーナリストの佐々木俊尚さんが、自身のnoteで紹介しているのが、氏が提唱する「フラット登山」の魅力。

登山やトレッキングのように、ひたすら山頂を目指すのではなく、ロングトレイルのように長大なコースでもない。かといって散歩でもない、新しい徒歩の旅。歩き慣れていなくても、運動不足の人でも問題ないくらいのコース設定だが、それでも十分に楽しい。

 

標高1300mに、人は癒しを感じるのか

 

人は森に癒される

 

実際、日本の絶景は標高1000~1500mの範囲内に集中しているのだとか。有名な縄文遺跡もこの標高に多く、太古の昔から日本人は、快適な場所として1000m以上の「高原」に愉悦を見出す体質にあったのだろうことが感じられる。

ぜひ一度体験していただきたいのが、妙高エリアでの「フラット登山」。ただ歩くだけでこんなにも心躍る自然の癒し、郷土の歴史に触れる楽しさ、それらが詰まっているエリアだが妙高だ。

妙高といえば近年は、インバウンドも多く訪れるスノーリゾートとして大いに注目を浴び、海外ファンドによる巨大投資のニュースもあったが、むしろ1年の旅行最盛期はグリーンシーズンにあるのではないかと思われるほど魅力に満ちている。

苔むした倒木すら景観に一役

 

「まるで欧州の景観」癒しの森・笹ヶ峰高原を歩く

宿泊施設・休暇村妙高の営業課長である塚田茂樹さんに、初心者でも気軽に「散歩以上、トレッキング未満」を楽しめる妙高エリアのコースを尋ねた。塚田さんは普段から旅行者のガイドを務めるなど、付近の高原の「歩き方」を熟知している。

白樺の森、その幻想的な雰囲気

「この季節は、やはり笹ヶ峰が最高です。歩こうと思えば1日がかりの本格的なコースもありますが、これから紹介するコースは、ゆっくり歩いても全行程1時間程度。遊歩道にはウッドチップが敷かれており、足にも優しいので山歩き初心者の方でも安心です。それでも十分に景観と自然の癒しが満喫できます。スタート地点の笹ヶ峰グリーンハウスまで自動車で行けますが、車を降りると下界とは違う空気感に包まれます」

この笹ヶ峰が標高約1300m地点。やはりこのあたりの標高が、人間に癒しと愉悦を与えるようだ。

どうにも雨や曇天の多い印象がある新潟県だが、ここ笹ヶ峰は特有の地形が原因で、梅雨がない「晴れの国」なのだという。周囲を赤倉山、火打山、妙高山、三田原山など標高2000m級の山に囲まれ、高原でありながらも盆地状になっているため、局地的にフェーン現象が発生する影響なのだとか。実際取材日も穏やかな晴天だったが、梅雨がない分、グリーンシーズン本番となる6~7月を存分に楽しめるがうれしい。

森林セラピーロードに指定されている笹ヶ峰の遊歩道

笹ヶ峰には林野庁が指定した6つの「森林セラピーロード」がある。森林セラピーは、科学的な証拠に裏付けられた森林浴のことで、癒しの効果や病気予防効果が認められる良質な森林が「森林セラピーロード」として認定を受けている。

ただ景観が良い、それだけでなく、森の癒し効果が科学的根拠のもとに心と身体を健康に導くという。

今回訪ねたのは、その森林セラピーロードに認定された6道のうちのひとつでもある。

まずは宿泊先の休暇村妙高から車で約25分、スタート地点の笹ヶ峰グリーンハウスまで。休暇村妙高とは別の峰なので、いったん国道まで下りて、再び林道を登ったのだが、その道すがらも景観が楽しめる。裾野の杉林が登っていくに従いブナや白樺に代わり、さらに上にはドイツトウヒ、トチノキなどが見えてくる。林道では野生の猿の出迎えも。

トチノキのの風景にもらしさが

牧草地に立木がある風景も、欧州によくみられるもの

塚田さんの言う通り、車を降りた瞬間に空気が変わるのがわかる。まるで不純物を含まない、無垢な空気を吸っているかのよう。高地の影響、森林の力、両方あるのだろう。

今回のコースは、グリーンハウスを出て、景勝地で知られる清水が池を通り、「平成の名水100選」にも入った宇棚の清水を経由して、笹ヶ峰牧場を脇に見ながら帰ってくる行程。

美しく水をたたえる清水が池には、まるで鏡面に森を写したかのよう

天を衝くような背の高いドイツトウヒが林立する姿は、まるで欧州の景観。行ったことはないが「本場ドイツのシュヴァルツヴァルト(黒い森)はこんな姿なのだろうか」と想像を掻き立てられる。新潟に居ながらにしてこの景観に包まれる、上質な非日常をぜひ味わっていただきたい。

また清水が池の景観も素晴らしいのだが、特におすすめなのはこれからの季節。6月中旬頃には、池の周囲が一面、キンポウゲの花でおおわれるという、ちょっとこの世のものとは思えない景観が見られるので、ぜひその目に収めてほしい。

一面をキンポウゲが覆う極楽浄土のような風景、6月半ばが最盛期

また、笹ヶ峰牧場には牛が放牧されているが、広大な牧草地のところどころに、樹木が立っている景色も、欧州の高原地帯でよく見られる風景。なにげない景観で非日常感が味わえるのはうれしい。

一周約一時間の小旅行。森林に癒され、清水が池の絶景、名水スポットなどもじっくり愉しめるが、歩きやすく整備された道のせいか、普段は歩きなれていない記者でも、心地よい程度の疲労感。むしろリフレッシュして帰ってきた。

午前中に完結できる「散歩以上、トレッキング未満」の旅。シメに笹ヶ峰グリーンハウスの名物、極上のステーキで腹ごしらえをして、すっかり満喫。

笹ヶ峰グリーンハウスでは、極上のステーキにありつける

妙高のパワースポット「関山神社の火祭り」

笹ヶ峰の他にも、魅力的な散策ルートがある。それが休暇村妙高からほど近い、関山神社を参拝するコースだ。

開山が西暦708年(和銅元年)という、新潟県内の寺社仏閣でも指折りの歴史。現在の社殿は1818年(文政元年)に建立されたものだが、建物にあしらわれた見事な彫刻などを見ても400年の歴史が刻んだ風格は感じる。

妙高のパワースポットと知られる関山神社の歴史は古い

しかし社殿よりもむしろ歴史的価値が高いのは、宝物殿に蔵置される文化財の数々、そして登録有形文化財に指定される旧関山宝蔵院庭園。「阿弥陀三尊像」をはじめとする文化財の数々は、戦国時代に織田信長の越後侵攻や江戸時代の廃仏毀釈をくぐりぬけて伝えられて現代に伝えられる価値の高いものだ。

この関山神社、810年に弘法大師・空海が妙高山の山頂を極め、神仏のお告げによって開いた「妙高山の里宮」の流れをくむ、山岳信仰の聖地でもある。宝蔵院庭園は、背景に妙高山の勇壮な姿を借り、さながら祭壇のごとき姿にも映る。これだけ取りあげても、一度は見ておくべき景観だと言える。

毎年7月、この関山神社で執り行われる「火祭り」が見ものだ。

今から約430年前の天正年間に、戦乱で荒れ果てた社殿の姿を慮ったのは、この地で修験を積んだ山伏たち。自らの手で社殿を守り織田の軍勢を追い返したいという、その信仰心から境内で武術の作法を身に着けたことが「関山宝蔵院文書」に記されているという。

この姿に端を発する「仮山伏の棒使い」や「松引き」が現代まで脈々と伝えられるのが関山神社火祭りの由来。

勇壮な仮山伏の演武が行われる関山神社の火祭りは毎年7月に

火祭りでは仮山伏の姿をした演者が、継承される祖型に忠実な演武を勇壮に展開する。

「松引き」では、火打石で火が着けられた柱松を、観衆を含めた皆で引く。

まさに令和に蘇る歴史の1ページといえる。

新潟県民は、もっと関山神社に関心を持った方が良い。こういう場所が、世界的なスノーリゾートとして大規模な開発がされる妙高の地に、脈々と残されているというそのダイナミズムに心が震える。

余談だが、この関山神社火祭りで伝統的に食べられていたのが、妙高の郷土料理「笹ずし」。こういう背景を持ってこそ、ローカルガストロノミーの名に相応しいのではないか。

笹ヶ峰の森林浴、清水が池のキンポウゲ、そして関山神社の火祭り。間違いなく妙高高原の観光は6~7月が最盛期といえる。

散策には最高の季節、妙高高原をじっくり歩いてみませんか?

【関連リンク】

休暇村妙高ホームページ

休暇村妙高/公式インスタグラム

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