新潟県と県内の水産業に関わる業者が、持続的な水産業の実現へ向けた戦略を策定する会議を開始
新潟県は8日、水産業に関わる業者と共に、持続的な水産業の実現へ向けた戦略を策定するための「新潟県水産振興戦略検討会議」を開催した。
県内の水産業は、生産量・生産額が共に減少傾向にあると同時に、高齢化による漁業者数の減少も深刻になっている。一方で国は2020年12月に、約70年ぶりに漁業法を改正。漁獲割当を基本とした漁業管理の導入と漁業権にかかる制度の見直しへ、新潟県も対応する必要性を迫られている。
今回の検討会議には、県内6つの漁業組合・組合連合会のほか、(株)ウオロクホールディングス、(株)新潟ふるさと村など、生産者以外にも加工から流通、販売や観光に至る水産業に関わる幅広い業種が一堂に会した。
会議の前段階として昨年度より、関係業者へのヒアリングや地域ディスカッションを通して課題を抽出してきた。生産者からは市場機能の限界や産地価格が安いことなどが挙がり、加工・流通・販売関係者からは供給の不安定さや、魚の消費量の減少への言及があったようだ。
会議の冒頭に出席した花角英世知事は「新潟県沿岸地域において水産業は地域経済を支える重要な産業であり、これをいかに活性化するかが県の重要な課題。1人あたりの魚の年間消費量は(ピーク時の)4割にまで減少していると聞いているが、消費者に選ばれるために付加価値を高め『選ばれる努力』が必要」と話す。
一方で、漁業関係者の多くが個人経営であることから、収益性の低さや担い手の確保などで課題があることにも言及。国の方針である漁獲量の制限(資源の管理)に適応しながら、消費者の需要に適合する形を業種の枠組みを超えて模索・情報共有する取り組みを推進・支援していきたいという。
今回の検討会議は冒頭以外非公開となったが、骨子作成に向けた異業種間の意見交換が行われたようだ。今年度中に検討会議は3度開催され、3月に戦略を策定、公表。来年度以降の県の施策に反映されていくことを目標としている。