成長セクター「アジア」「アフリカ」とつながる国際大学(新潟県南魚沼市)
世界60カ国から学生が集まる日本初の大学院大学
東京から新潟県の浦佐駅までは新幹線で約90分。そこから車で10分ほどのところにある新潟県南魚沼市国際町777番地に「国際大学」がある。
中山素平氏(経済同友会終身幹事)が中心になり、土光敏夫氏(経団連第4代会長)、永野重雄氏(日本商工会議所第13代会頭)、水上達三氏(日本貿易会第3代会長)、佐々木直氏(日本銀行第22代総裁)など、政財界の有力者が発起人となって1982年に開学した、日本初の大学院大学だ。学内の公用語は英語で、アジア、アフリカを中心に世界60カ国から集まってきている。それも国から選抜された各国のエリートが多く、卒業生の中には大臣クラスになっている人物もいるそうだ。
一方、358名いる学生のうち日本出身はわずか15%ほど。つまりこれからの成長セクターといわれるアジア・アフリカとのネットワークを新潟にいながら構築できるということになる。ほとんどいないが、実際にこの大学を卒業して、海外展開を加速している新潟の企業経営者もいるそうだ。
全寮制で、寮と大学は渡り廊下でつながっている(同大学キャパスマップ参照)。周囲は雪に囲まれているほか、松下幸之助氏の名前を冠した図書館は24時まで開館しているなど、勉強に集中できる環境といえる。
たた地域との交流が全くないわけではなく、例えば、南魚沼市の旧大和庁舎の空きスペースにある「グローバルITパーク南魚沼」は国際大学を卒業したカウシャル・ワウラガラ氏が代表取締役を務め、調査・コンサルティングサービスを手がけるアダム・イノベーションズ株式会社の提案からスタートし、国際大学自身も設立にかかわっている。
この構想は、南魚沼市に、外国のIT企業の進出拠点を建設することで、多くのIT企業を誘致し、優秀な人材の確保や雇用の創出などをめざしている。既に9社ほど入居している。
ITパーク以外にも、英語の必修化を見据えて新潟県の英語教師のためだけに作った「英語プログラム」の提供、在学生による地元学校での「出前授業」の開催、南魚沼産コシヒカリ販売促進イベント「国際握飯祭(こくさいにぎりめしまつり)」の開催などもある。