【企業リポート】日本のグローバル企業と取引、虎ノ門ヒルズステーションタワーにも使われている部品を作る津南油圧(新潟県津南町)
初回掲載日 2024年7月19日
株式会社津南油圧(新潟県津南町)は1973年7月1日、津南町誘致企業第1号として当時地元で唯一の機械工場として設立した会社である。ロボット付NC旋盤など近代的設備を大量に導入しており、油圧シリンダー、制震ダンパー製造専門工場(建設機械、工作機械、製鉄機械、船舶、高層ビルなどに使用されている)として、多品種・少ロット生産を得意とし、短納期に対応できる最新設備の導入などで同業他社との差別化を図っている。
主要取引先は、株式会社IHI、株式会社日立製作所、日立造船株式会社、日立建機株式会社、株式会社東芝などの大手グローバル企業で、これらの取引先を通じて、同社の製品は世界へ行き渡っている。また、中国・大連市に合弁会社があり、輸入部品を仕入れて組立も行っている。
同社の宮澤吉男取締役工場長は津南町で創業した理由について、「津南町は冬期間雪がたくさん降るところなので、田畑の仕事などができなくて、昔は家族と離れ出稼ぎに行く人がたくさんいました。そのためには津南町で働ける場所を作り、出稼ぎを無くしたいという思いで工場を建てました」と語る。
また、新潟市のメディアシップやなんとあの虎ノ門ヒルズステーションタワーにも使われているという。
「弊社は油圧シリンダーを作っています。特殊車両やショベルカーのアームが上下するところや、建物を解体する圧砕機、大型輸送船のハッチカバーの開閉、地震の揺れから建物や橋梁と人を守る制震ダンパー、スキー場のリフト、ごみ焼却場のバケット、コンクリートミキサー車の投入口など、油圧シリンダーは余り聞きなれないかも知れませんが、皆さんがよく目にするところにも使われています。新潟市のメディアシップや、東京都の虎ノ門ヒルズステーションタワー(地上49階・地下4階)などの制震装置にも弊社で製造した油圧シリンダーが使われているんですよ」(宮澤工場長)。
そのほか、サウジアラビアの火力発電所にも使用されているというではないか。なんというグローバルさだろうか。
「上越新幹線や北陸自動車道のトンネルを掘った機械や、明石大橋を造る時のジャッキ、成田空港を建築する時に屋根を持ち上げた機械、サウジアラビアの火力発電所の1800トンの発電機を吊り上げたジャッキ、数々建設中の高層ビルに使用されている制震ダンパーなど、弊社の油圧シリンダーが使われています。製品の出荷先は、基本的には日本全国どこへでも出荷します。特に多いのは特殊車両製造工場、制震ダンパー製造工場がある愛知県や、圧砕機械製造工場のある埼玉県に多く出荷しています。造船所のある広島や岡山、九州などにも出荷しています」(宮澤工場長)。
就職希望者へ向けては、「工業の専門課程で機械の勉強をすると機械を早く使いこなせるかも知れませんが、当社では特に資格は問いません。入社して経験を積みながら必要な資格は取っていただきます。先輩たちも入社してから仕事の内容や機械操作、専門技術は覚えて来ているので大丈夫です」と話していた。
(文・撮影 梅川康輝)