【第8回 食の新潟国際賞】県内では別府茂氏が「21世紀希望賞」 新谷梨恵子氏と三ツ井敏明氏が「地域未来賞」を受賞
公益財団法人 食の新潟国際賞財団(新潟市中央区)は7月19日、食の分野で世界において多大なる貢献を行った人や活動を顕彰する「佐野藤三郎記念 第8回食の新潟国際賞」受賞者の記者発表と会見を新潟市役所で実施した。
食の新潟国際賞は2年に1回表彰式を開催。自他薦を問わず一般に公募して応募者を募っている。第8回目にあたる今回は日本を含む8カ国(日本、イギリス、インド、オランダ、オーストラリア、フィリピン、タイ、ナイジェリア)から49の推薦応募があったという。
「大賞」に輝いたのは国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター生産環境・畜産領域 主任研究員のグントゥール ヴェンカタ スバラオ氏と、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)首席科学ライターのケイト・ケランド氏、「佐野藤三郎特別賞」には(一社)海外農業開発コンサルタンツ協会会長/近畿大学名誉教授の八丁信正氏が受賞した。
県内では(一社)日本災害食学会理事・副会長を務める別府茂氏が「21世紀希望賞」、株式会社農プロデュース リッツ代表取締役の新谷梨恵子氏と国立大学法人新潟大学 社会連携推進機構 特任教授の三ツ井敏明氏が「地域未来賞」を受賞した。
地域未来賞を受賞した三ツ井敏明氏は、「この度、第8回食の新潟国際賞(地域未来賞)をいただくことができ、身に余る光栄であり、関係各位に心から感謝申し上げます。私は、イネにおける澱粉代謝制御、特に澱粉分解酵素の基礎研究を、生理・生化学的および分子細胞生物学的手法を用いて進めてまいりました。その応用として「高温に強いコシヒカリ」研究に取り組み、新大コシヒカリ(品種名:コシヒカリ新潟大学NU1号)を開発し、社会実装に一歩踏み出すことができたこと、感慨深く感じています」とコメント。
続けて、「現在、新潟と東京の大手百貨店や和食レストランで新大コシヒカリ米が提供されています。無論、今回の受賞に至った研究成果を生み出すことが出来たのは、研究の苦楽をともにしてくれた国内外の共同研究者や学生諸氏がいたからこそであることは言うまでもありません。今後は、このイネ新品種をさらに進化させるべく、耐塩性を含めマルチストレス耐性化させるとともに、これを用いて環境に優しい、地球に優しいコメづくりをテーマに研究開発を推し進めたいと考えています。また、引き続き、ヨーロッパやアジアの研究者との密接な交流を通じて気候変動下における作物生産向上に貢献すべく、国際共同研究を展開してまいります」と締めくくった。
食の新潟国際賞は、現在の「食の新潟」を築いた先人の情熱を継承し、新潟を世界に発信するため、県内産学官民の有志により2009年に設立された。食と農業の持続可能な世界を目指し、世界において食と農業分野での問題解決と発展に貢献した個人や団体を隔年おきに顕彰している。