【今トレンド?の多拠点生活】新潟県上越・妙高エリアに魅せられた東海地区から訪れる2人に2拠点生活をする理由を聞く
リモートワーク(テレワーク)やワーケーション、地方移住が一気に進んだコロナ禍が実質的に明けてから1年以上が過ぎた。最近では、都会と地方、地方と地方、日本と海外などで暮らす2拠点生活・多拠点生活が徐々にクローズアップされてきている。ダイバーシティ社会が到来し、多様な価値観が求められる中、成熟した現代社会ではライフスタイルも多様化の一途を辿っている。
新潟県上越・妙高地域に魅せられ、2拠点生活をする愛知県出身の安藤千恵さん、三重県出身の山門浩さんの2人にこのほどインタビューを行った。安藤さんは会社員、山門さんは日本百名山を制覇した人で、どちらもバイタリティー溢れる人物で知人同士。
新潟県妙高市と愛知・三重とで2拠点生活をすることになったきっかけ
安藤さん マンション購入の話が来たのは、2020年の秋ころ。2020年6月に吉田宏司さん(ジープ島開島者)と出会って、毎月新潟県妙高市に来ていました。「そんなに来るんだったらこっちに住んじゃえば?」と吉田さんから冗談めかして言われたことがきっかけです。2拠点生活のきっかけは、後で述べる吉田さんの存在がまず大きいです。マンションを見学した時は、下に流れる川の音と、眼下に広がる山の紅葉が見事でした。その景色を初めて見た時、虹がダブルで出たことが気持ちの後押しになったし、何よりここに拠点を持つことで、新しい交友関係が広がることにワクワクしたので購入を決めました。私は会社の仕事の一部がリモートでできることを利用して、週末前後の金曜日や月曜日にリモートワークを合わせて、できるだけ長く過ごせるように段取りをしています。
山門さん 安藤さんが先にマンションを買われていたので、吉田さんからどうですかと言われて購入しました。春日神社(新潟県上越市本町)と妙高のパウダースノーに魅せられたんです。それがないと本当に今の自分はなかったでしょうね。5年前から妙高にスキーに来ましたが、もう北海道に行かなくていいです。春日神社の南方位山(なんぽうさん)登山に来るようになって13年目になりますが、もともとは修験道の文献にほら貝を吹きながら登拝するという上杉謙信公の妙高山南方位山登山のことが書いてあり、宮内さん(写真提供者)のブログを見て、登りたいと思い、春日神社に電話したんです。妙高山は百名山の中でも厳しい山で、登った後に毎年いつももう嫌だと思うくらいです。ひとつの神社が単独で氏子を中心にしているので、びっくりしました。全国でも珍しいのでないでしょうか。仲間というより家族に近い感じで、南本町2丁目に来ると懐かしく感じます。まさに第2の故郷。変な話、前世で高田にいたのでないかと思っているくらいです。
上越・妙高エリアの魅力とは?
安藤さん 暑い時期は妙高に避暑しに来るような、季節や仕事に合わせた2拠点生活ができたらいいなあと思っています。小さい頃から外で季節を感じながら遊んでいたからか、夏はキャンプイベント、冬はスキーツアーなどを企画して 、常に四季を感じながら遊ぶことを考えています。吉田さんを通して上越でタラちゃん(ジープ島現地スタッフの渡会和馬さん)と出会い、話してみたら偶然にも地元が近いことが分かりました。上越市は歴史があり、神社仏閣が多い古都であることを、訪れて初めて知りました。また、標高の高い妙高山がある妙高から日本海がある上越まで、これだけ標高差がある海と山が近いのが特徴的な地域だと思います。特に太平洋側の人は、こういった上越の事を知らないです。
山門さん 安藤さんと同じマンションを契約したのは、今年の7月下旬でごく最近です。妙高の雪がいいし、上越市は高田の雁木や律儀さがありますね。食べ物やお酒、クラフトビールも美味しいし、美味しい居酒屋もありますし。夏はほら貝、冬はスキーで年間50日は来ていますね。今度は龍神の池や滝を巡ってみたいです。高田は龍神の町だと思います。私は大学院を出て、高校教員(地理)をやっていましたが、高校、大学でブラスバンスをやっていた関係で、ほら貝を吹くようになりました。
ジープ島開島者、吉田自然塾主宰者の吉田宏司さんはあなたにとってどんな存在か?
安藤さん 吉田さんとの出会いは2020年6月のコロナ禍になります。京都で観光業をされている方に「妙高に行きませんか」とお声がけいただいたのがきっかけです。過去に数回しか会っていない私になぜお誘いいただいたのか今でも不思議ですが、その日程だけ私のスケジュールが空いていた事も含め、吉田さんと出会うのは必然の偶然だったのだなと思っています。そんなきっかけで出会った吉田さんは、今では私のメンター(指導者、助言者)です。吉田さんの見ている世界は広く、深く、高い。妙高山の頂上から海の中まで見通しているかのような視野の広さと深さ。それだけでなく、文学、芸術、歴史から音楽まで、見識や教養が深いところもすごく勉強になります。山を象徴する父性、海を象徴する母性を持っていることに加え、ムー大陸の王様、モーゼのようなカリスマや偉大さも感じますが、大人なのにこども心を持っていらっしゃる可愛らしさも大好きです。私自身が「季節を楽しんで遊ぶ」という核を持っているけれど、その部分と吉田さんの遊び心がドンピシャに共感するので、楽しくもあり、尊敬もしています。
山門さん 吉田さんは春日神社の氏子。吉田さんがコロナ禍でジープ島から日本に引き上げて来た時に2021年ころに紹介され、一緒にお酒を飲んでいるうちに友達になりました。私からすると、吉田さんが突如現れた感じです。吉田さんは人脈や色々な人たちと繋がりがあり、巨大な人という感じで、人の繋がりを大事にする人です。ジープ島は昨年12月に初めて行きましたが、これからの地球は綺麗な環境のジープ島のようにそちらに帰っていくのではないでしょうか。
吉田自然塾の魅力は?
安藤さん 誰もが初めて参加する日がありますね。緊張の初参加から、2回3回と会を重ねるにつれ、顔見知りになっていきます。吉田さんをとりまくご縁が、心から応援したり楽しんだりできる深い仲間になっていくところが素晴らしい。それは、吉田さんの波動が良くて、集まる人達も波動が良いということです。だから、自然と居心地が良いコミュニティになるのだと感じています。損得勘定ではない、魂と魂の付き合い。ジープ島に行ったら「そこにいる自分」「何も持たない自分」しかいません。肩書も上下関係、水着以外の服も化粧もないです。懐の深さ、価値観を受け入れる自由さなどは、吉田さんのジープ島での経験から来ているのかなと思います。
2拠点生活の魅力は?
安藤さん 私の友達にも2拠点生活をしている人が何人もいます。コロナでリモートでできるようになり、フリーに動ける人は、わざわざ混んだところに住まなくていいし、環境のいいところに住みたいなど、選ぶことができます。昭和の価値観は、令和の今には合わない。私は過去に数人のメンターと出会って「自分の使命とは」「自分が本当に生きたい自分の人生とは」を探してきました。その結果、吉田さんと出会いました。2拠点生活を送るきっかけは、本当に突然でした。私にとって2拠点の魅力は、「行く」ではなくて「帰る」感覚かな?と思います。旅行ではなくて、生活をすること。地場のもので料理したり、上越のみんなと遊んだり飲みに誘ってもらったり、季節を感じられること、働き方を自分の生き方に合わせることです。それが2拠点の魅力であり、これからの生き方の1つではないかと思っています。
実は筆者も吉田自然塾に参加したことがあるが、首都圏から来た女性が黒姫童話館の芝生に大の字で寝そべったり、カエルやトンボに熱狂している姿を見たりして驚いたことがある。灯台下暗し。地元の人間は地元のいいところに意外と気づかないものである。「ここには都会にある物は全てなく、都会にない物が全てある」とは、ジープ島のキャッチコピーだが、これは妙高市にも当てはまると言えるのではないか。「にいがた経済新聞」も大自然溢れる妙高市、上越市の魅力を今後も発信し続けていきたいと思っている。
※吉田自然塾
ジープ島(ミクロネシア連邦チューク州)開島者の吉田宏司(新潟県上越市出身)さんが2020年に立ち上げた団体で、新潟県妙高市、上越市、長野県信濃町での体験型宿泊イベントや妙高市の高級ホテルでのパーティーなどを行なっている。 これまでに全国各地からのべ900人近い参加者があり、今後も増える見通しにある。
(文・撮影 梅川康輝)