【夏休みは胎内リゾートへ】海外にも知られる「星の聖地」で、天空に浮かぶ露天風呂「宙の箱舟」に出会う
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初回掲載:2024年8月4日
世界的な星空フェス「胎内 星祭り」
毎年8月、胎内高原では世界的な一大イベントが開催される。3日間にわたって開かれるこのイベントには、毎回延べ2万人超の来場者を見る。
それが「胎内 星祭り」だ。
村上市出身の世界的天体写真家、天文イラストレーターの沼澤茂美氏が、胎内の星空に惚れこみ、ここで星祭りを始めたのが1984年。沼澤氏は以前、胎内星祭りの件で、米Sky and Telescope誌(ハーバード大学の専門誌から一般化した世界中で愛読されている天文専門誌)のインタビューを受けた。以下に内容を要約する。
米国ではテキサススターパーティーやステラフィンのような天文ファンのための星イベントが定着していたが、日本国内では1974年に著名な天文写真家の藤井旭氏が立ち上げた「星空への招待」だった。友人たちとこの祭りに参加した沼澤氏はすっかり魅せられ、いつしか自分たちで星祭りを開催したいと思うようになる。
沼澤氏の中で、新しい星祭りのロケーションとしてかねてから希望していたのは、旧黒川村(現胎内市)の「胎内平」だった。東京から約200マイル北に位置するこの場所は、かつて沼澤氏自身が友人たちとペルセウス座流星群の観測を楽しんだ場所だった。山々に囲まれた美しい丘から、真っ黒な夜空にはっきりと天の川を映しているのが見えた。周囲にはテントをたくさん張れる開けた場所も宿泊施設もあり、数千人が集まるイベントも開催可能だった。
藤井氏の星祭りが終了した年にあたる1984年、沼澤氏は黒川村役場を訪ね、協力を仰いだ。それは新しい星祭りを「天文ファンのためだけの閉鎖的なもの」にしたくなかったという想いからだった。こうして祭りは黒川村が主催となり、沼澤氏と雑誌「天文ガイド」が運営の中心となってスタートした。第1回の胎内星祭りは、国内各所からアマチュア天文家を集め、手作りながらも約200人の参加者を集めた。天文ガイドの呼びかけで多くの望遠鏡メーカーによるブース出展もあった。これが胎内星祭りの「はじまり」だ。
そこから数えること40年。近年は前述のとおり開催3日間で、日本国内のみならず海外からも延べ2万人以上が参加する一大天文イベントになった。ディープな天文ファンだけでなく天文に詳しくない一般来場者も多く参加する。
一方でアマチュア天文家にとっては、国内海外の望遠鏡メーカー、カメラメーカーがこぞって最新鋭モデルやフラッグシップを携えながらブース出展し、デモンストレーションも行われるため、捨て置けないイベントでもある。
毎年8月、胎内平に多くの人が星を観に集まる。会場がテントの花で埋め尽くされ、附近の宿泊施設も予約でいっぱいに。国内では間違いなく最大、海外でも例を見ない強いコンテンツとなった。ここまでの関係者の尽力に敬意を表したい。
「胎内 星祭り2024」は8月23~25日の3日間という予定。沼澤氏からコメントをいただいた。
「胎内星まつりは、星を楽しむイベントですが、内容は非常に多様化し、星に興味の無い一般の人達でも十分に楽しめる内容になっています。会場内には50を越える望遠鏡やカメラメーカー、関連グッズのブースが連なり、最新の機器のデモンストレーションなどが行われ、もちろん購入することもできます。胎内市の飲食ブースも多数出展していますので、地ビールをはじめ、さまざまな食を楽しめます。星空教室や写真教室、また子供達のための昆虫教室など、夏休みの思い出作りにはまたとない機会と言えるでしょう。近年は、海外からの参加者、または、海外メーカーの出店も増えており、胎内星まつりの名前は世界に浸透しつつあります。『だれもが楽しめる星まつり』に、是非おいでください」
開催期間中は会場周辺の森林地帯は、特別にキャンプができるスペースが用意されている。豊かな自然環境を満喫できる点も胎内星まつりの魅力だ。
天文館では毎土曜日に星空観望会が
世界的な天文写真家、イラストレーターの沼澤氏が惚れこんだ星空が、ここ胎内にある。そんな胎内リゾートの見逃せないスポットが「胎内自然天文館」。胎内星祭りのメイン会場ともなるこの場所は、2004年にオープンした、自然や宇宙の不思議を楽しく学べる施設だ。
観測ドームには、新潟県内で2番目に規模となる60㎝の反射望遠鏡を実装。屋上テラスにも天体観測用の双眼鏡などが設えられており、来館者は気軽に天体観測を楽しめる。
60㎝望遠鏡では、夜空の星だけでなく、昼の太陽を観測するのもおすすめ。太陽を型どる輪郭にもやもやとプロミネンスが確認できる程、神秘的な光景を目にすることができる。
そしてなんといっても夜の星空。天文館では毎週土曜日に「星空観望会」を開催し、多くのファンを呼んでいる。ここでは60㎝反射望遠鏡はもちろん、PCモニターやスマホ画面を通して精度の高い画像が視認できるスマート望遠鏡も活躍。地球のはるかかなたに位置する銀河や星団、星雲が明瞭にはっきりわかる。こんな光景を目にしたら、それまで興味のなかった「にわか天文ファン」も、ついついのめり込んでしまう。
このほか、宇宙や天体、自然に関する展示が盛りだくさん。ショップには星祭り関連のグッズや、夏休みの自由研究に役立ちそうな教材なども販売しており、家族サービスに立ち寄るには最適のスポットだ。
星空に浮かぶ露天風呂「宙の箱舟」
今年、新潟発エアラインのトキエア就航によって、新潟と結ばれた札幌丘珠空港。空港内では、就航を記念して新潟の名所を映した写真やポスターが掲示されたが、その中で大いに注目された写真があった。
満天の星空に浮かぶような露天風呂の写真は、一瞬この世の景色とは思えない幻想的なものに映る。札幌ではSNS等で「あの露天風呂はどこ?」と話題沸騰したという。
それが、この星空の聖における「河畔の城」と知られるリゾートホテル、ロイヤル胎内パークホテルの展望露天風呂「宙の箱舟」だ。
周囲に遮蔽物もなく、人工光もほとんどない胎内平の星空はまさに宝石箱。その星の光に照らされるがごとく、暗闇に浮かぶ露天風呂。夢のようなシチュエーションだ。
また、こちらの「新胎内温泉」は泉質が素晴らしい。お湯にちょっと触っただけでわかる、とろっとした濃厚さ。稀有なほど濃厚な高ナトリウム泉質は、皮膚の角質を軟化させて皮脂を洗い流す美肌の湯。高血圧症の血圧降下作用や神経痛などにも効果的と言われる。
ロイヤル胎内パークホテルではお盆期間中、館内1階(宿泊者限定)で子供たちが喜ぶ縁日が立つ。星のまたたく胎内リゾートで、夏休みの思い出作りはいかがか。
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