【採用のツボ】人材を見極め惹きつけるための極意 ②「良い人を採る」—— オーエンス代表 並木哲彦

直近の記事をピックアップし、日曜日に再掲載します(編集部)

初掲載:2024年5月27日

採用のツボ 第2回、#2

前回の記事では「自社にとって良い人」を定義するお話をしました。今回は具体的にどのように採るかについてお伝えします。

(前回の記事)人材を見極め惹きつけるための極意 ①「良い人」を定義する

中小企業の年間の採用人数は1〜10名、多くて全社員の10%程度です。1名採用する場合には少なくとも2〜3名の候補者を比較検討したいですね。しかし、候補者が知り合いなどであれば1名募集に対して1名の候補者で決めることもあります。このような場合、必ずしも「⚫︎⚫︎ナビ」や人材紹介会社を利用する必要はないのです。

今回は当社の採用実例をご紹介します。

2021年11月初旬、顧問社会保険労務士から「クライアントが工場を移転するので正社員30名、アルバイト50名を来年の3月中旬までに採用しなければならない」との相談がありました。この社労士さんは私の人事の師匠ですので、回答はYes or 押忍の2択です。しかし、当時のオーエンスは既存クライアントへの対応で手一杯。

実質3ヶ月間でこのプロジェクトを成功させるにはどうすれば良いかと頭をフル回転させました。

 

メンバーに求める要件

まず考えたのは、この仕事を受ける場合、一緒に働くメンバーに求める要件です。この短期間でこれだけのミッションを果たすには、

・脳みそで汗をかける
・このミッションを自分ごとと捉えて動ける
・任されたことをやり切る

この3つの要件が揃えばミッションをクリアできるはずです。

 

人材はどこにいるのか

次に考えたのは、このような人材はどこにいるのかということ。求人広告を出している余裕はありません。すぐにアプローチできるチャネルは何かと考えたところ・・・

ありました!常に携帯しているスマホです。電話帳には約3000名、LINEの友達は約1000名、就活サポートをしてきた応援団の後輩たち約300名のリストです。

2時間このデータベースと向き合い、要件に合う人材をイメージしました。そこから2名を抽出しました。

1名は現役の大学4年生。部活動が終わり、卒業を待っている比較的余裕のある状態。応援団の副団長として年度目標の達成に向け、裏方業務を取り仕切り、獅子奮迅の活動実績があります。もう1名は2人の子育てを終えた専業主婦。これから趣味のテニスに没頭しようとしていた友人の奥様です。家族ぐるみで会食した際、その真っ直ぐな人柄に感激し、家庭やテニスチームを率先垂範でリードする姿を見て、ぜひ協力してもらいたいと思いました。

この2名にすぐに連絡し、事情を説明しました。反応は両者ともに「私でできるんですか?」でした。業務の全体像、当社の役割、担当業務、必要なスキルとサポート体制を説明したところ、不安を抱えながらも「やってみたい」との言葉をもらい、プロジェクトが始動しました。

結果、この2人の協力のお陰で3ヶ月間のプロジェクトは成功。新工場は今も順調に稼働しています。

 

リファラル採用

昨今、採用チャネルの大きなトレンドは「リファラル採用」です。転職の多い米国では2012年には最大の採用経路がこのリファラル採用となっており、日本でも着実に増えています。

リファラル採用は自社の社員に友人や関係者を紹介してもらう方法で、実際に働く社員がフィルターとなるため、自社に合う「良い人」に効率的に出会えます。また、知人なので会社の良い点も悪い点も率直に伝えられ、採用後のミスマッチを防げます。その際、「採用した人が6ヵ月間定着したら、紹介してくれた社員へ評価を反映させる」といった形で給与に反映させることもポイントです。

ただ、そもそも会社のことが好きでなければ知人を紹介しようと思わないので、まず社員に自社のことを好きになってもらうことが大切です。採用=求人媒体や人材紹介という固定概念にとらわれず、身近なチャネルを検討してみてはいかがでしょうか。

さて、次回の「採用のツボ」は、「良い人を採るための伝える力 〜まだホワイト企業推しですか?」についてお話しします。
(次回は2024年6月中旬に掲載予定)

並木 哲彦(なみき てつひこ)株式会社オーエンス代表取締役。大学卒業後、銀行で法人向け新規開拓営業をする中で企業の人事や人材に関する課題の多さに注目し、2003年に人材コンサルティング会社を起業。起業後5年間は金融・不動産業界に特化した人材紹介業を行い、リーマンショックを機に第2創業として人事・採用コンサルティングに看板を掛け替える。

現在は常時、10社の社外人事部長としてクライアントの人事的課題解決をサポート。人材採用から社内ルールの策定、人事制度の導入、そして中間管理職のスキルアップ支援まで、社長が望むがなかなか実現できない課題を解決しクライアントの事業計画達成をサポートしている。学習院大学 応援団卒。現在、学習院大学応援団OBOG会長を務める。会社名は「企業とヒトの成長を応援するオーエンス」という企業マインドから命名。

【関連サイト】
株式会社オーエンス

シリーズ【採用のツボ】人材を見極め惹きつけるための極意(全5回) ——オーエンス代表 並木哲彦
①「良い人」を定義する
②「良い人を採る」
③「良い人を採るための伝える力」
④「良い人を採るための見究め力」
⑤「良い人を採るための惹きつけ力」

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