【コラム】「これにて最終回~最後にまたアイドル論を書いてみる➀」元新潟県副知事・中国運輸局長 益田浩

 はじめに

雨が多い季節、のはずですが、6月半ばとなっても、中国地方はまだ梅雨入りしていません。4月や5月に雨が多かったためかなぁ。

一昨年11月に本連載の提案をいただき、今回の掲載で20回目となります。行政施策の解説を除いて、これまでまとまった量の文章を公表する機会は限られていたため、貴重な経験となりました。今回が最終回となりますが、あらためて、にいがた経済新聞社と連載をお読みいただいた皆様に心から感謝申し上げます。

連載では新潟と広島の比較なども取り上げましたが、振り返ってみると、日本政府観光局(JNTO)バンコク事務所長時代の話題が結構な分量となりました。

コロナ禍が明け、円安効果も相まって海外からの外国人旅行者数が急増しており、局所的にはオーバーツーリズムが発生していますが、相対的に、新潟や広島とも外国人旅行者の受入れ余地はかなり大きいと思います。

まだ黎明期だったタイの訪日市場の攻略に、私が所長としてどのように取り組んだのか、かなり網羅的に記述してみました。観光行政や観光業に従事する皆様がインバウンド戦略を考える際の一助になれば幸いです。

そして、いよいよ最終回となる今回のテーマに選んだのがアイドル論です。論というとおこがましいですが、要は、私のヲタ活について語る回です。もう少し高尚な天下国家論での幕引きも考えましたが、それはまたどこかの機会で。

 

認知ゼロから始まり、今はどうなっているのか

最初に言い訳しておきますが、現在、私はSTU48を専門としており、複数のアイドルやアイドルグループを念頭に置いた話はできません。

乃木坂46、欅坂46などの坂道グループは不案内であり、広島ご当地のアイドルグループである広島8区ガールズや、STU48のメンバーなどを多数輩出しているアクターズスクール広島(ASH)から誕生したSPL∞ASHも手つかずです。もっとも、ASHの親会社であるテレビ新広島の幹部からお誘いを受けて、今月中にASHを見学してきます(笑)。

約2年前、広島に赴任した際、私とSTU48との関係は、令和3年1月15日に日本武道館で開催されたコンサートを3階席から観たことがあるだけで、もちろん、メンバーの誰一人からも認知されていませんでした。

そのため、赴任当初は、劇場公演に行っても、公演終了後のお見送り(ビニールシート越しに公演の出演メンバーが立ち、その前を観客が歩いて、通り過ぎる一瞬の間に挨拶や短い会話をするセレモニー)では、「公演に来てくれて、ありがとう」という一般的な御礼をもらうのがせいぜいでした。

それから2年経ち、60回を超える劇場公演やコンサートへの参加、オンラインお話し会、リアルお話し会、仕事での接触を通じて、少なくとも1期生、ドラフト3期生、2期生主体の劇場公演後のお見送りでは、メンバーから指差しされたり、指ハートをもらったり、ハンドルネーム(Xやモバイルメールの登録名)や役職、本名(笑)を叫ばれたり、「私を推して」と圧をかけられたり、と、随分賑やかになりました。

広島に赴任する直前、NGT48の某現役ドラフト3期生とオンラインで話をした際、「船に乗ったら(STU48推しになったら、の意味)、(STU48の)メンバーからちゃんと連絡が来るんだからね」と恐ろしい宣告をされましたが、一体どうなっているのやら。

 

 NGT48やSTU48との連携を模索

新潟県庁にいた頃、例の騒動やコロナ禍もあり、私が関与する範囲でNGT48との公的な仕事はできませんでした。

当時、社外取締役を務めていた第三セクター鉄道・えちごトキめき鉄道(トキ鉄)と何か利用促進に向けた取組ができないか、とか、新潟県の観光振興で何か連携できないか、といろいろ模索しましたが、コロナ禍で全ての動きが止まってしまいました。

当時、テレビ新潟で放送していた番組「NGT48のにいがったフレンド!」に出演するチャンスもあったのですが、ロケが延期となり、そのまま番組自体、終了してしまったことは今でも残念です。

新潟県副知事職の離任に当たり、地元の新潟日報やにいがた経済新聞からインタビューの申入れがあり、あえてNGT48への応援メッセージを入れたところ、随分、匿名のアンチが騒ぎました。

なお、トキ鉄との連携は、令和4年9月26日、私が推薦したNGT48の佐藤海里さんと三村妃乃さんがスペシャルアンバサダーとして就任して結実し、同年11月3日の就任イベントには私もゲストとして参加しました。

今月1日には、大宮市にある鉄道博物館でのトキ鉄紹介イベントにおいて、両名によるスペシャルアンバサダー・プレミアムトークショーが開催されるなど、引き続き、アンバサダーとして活躍しているようで何よりです。

一方、STU48と中国運輸局はもともと関係がありました。平成30年8月、STU48は国土交通省から海に親しむ「C to Seaプロジェクト」のアンバサダーとして任命されています。

また、平成31年4月からの専用劇場であるSTU48劇場はSTU48号の船内ですからね。同号は貨物船兼自動車渡船として使われていたフェリーを改造しており、船舶国籍証書などは中国運輸局から交付しています。

ちなみに、STU48号はコロナ禍での密の回避が課題となり、約2年で役割を終えることになりました。私は一度も船上劇場での公演を経験していないのが残念です。新参の限界を感じます。

STU48号が船上劇場としての役割を終えた後も、STU48と中国運輸局は、平成30年7月豪雨後の観光促進活動、年末年始の安全総点検、コロナ禍での公共交通利用促進キャンペーンなど幅広く連携していました。

②へ続く↓
「これにて最終回~最後にまたアイドル論を書いてみる②」

 

益田浩

昭和61年3月私立修道高等学校卒業、平成3年3月東京大学法学部卒業。国家公務員Ⅰ種(法律)合格。平成3年4月運輸省採用。平成9年7月運輸省大臣官房人事課付(英国ケンブリッジ大学留学国際関係論)、平成27年7月自動車局自動車情報課長、28年6月大臣官房参事官(税制担当)などを経て、29年7月新潟県副知事。令和2年7月内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)、内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局企画・推進統括官、令和4年6月国土交通省中国運輸局長。

 

【前回記事】

【コラム】「日本政府観光局バンコク事務所長の頃 ~所長として取り組んだことのまとめ①」元新潟県副知事・中国運輸局長 益田浩

【コラム】「日本政府観光局バンコク事務所長の頃 ~所長として取り組んだことのまとめ②」元新潟県副知事・中国運輸局長 益田浩

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