農業の最前線を学ぶセミナーが開催
「アグリビジネス最前線で活躍するトップランナーによるパネルディスカッション」が12日、新潟市内で開催された。主催は、新潟雇用労働相談センター。
パネラーは、
・エンカレッジファーミング株式会社(新潟市西蒲区)代表取締役の近藤敏雄氏
・学校法人国際総合学園アグリ事業推進室長&株式会社ベジアビオ取締役の阿部貴美氏
・新潟市農林水産部長の村上徹也氏
の3名。
近藤氏は非農家の出身だが、頭の片隅で「農業はいいな」と感じていたことから平成9年に鈴木農園に入社。その後、平成25年にエンカレッジファーミングを設立した。現在は新潟市西蒲区にある角田農場(敷地面積4万平方メートル)にハウス23棟(6800平方メートル)を設置し、野菜・花苗、ミニトマトを生産し県内外で販売している。
さらに現在、2万平方メートルのガラス温室(植物工場)を建設中で、完成後はトマトを生産し、全国に向けて販売していくという。なおガラス温室には、オランダの技術を応用して完成させた環境管理システムを採用している。
阿部氏は、日本最大級の専門学校群NSGグループで、アグリビジネス担当部署の責任者を務めている。また、ICTを活用して農業生産を行うベジアビオ取締役も兼任している。
村上氏は、北海道開発庁(現国土交通省)に入庁し、排水路工事などに携わったほか、沖縄で地下ダム計画の策定に携わるなど、基盤整備事業などに関わってきた。
その後、外務省在タイ王国日本国大使館、農水省大臣官房国際部などを経て、平成28年4月から現職。国際部時代は、二国間の経済連携協定の交渉に携わった経験もある。
将来はスーツを着ながら農業?
パネルディスカッションでは、まず新潟市の就農状況について説明があった。それによると、同市の新規就農者は66人(平成25年)、62人(26年)、62人(27年)、67人(28年)と横ばい状態。だが、総農家数や販売農家数は年々減少しているという。
また、家族経営が成り立つために必要な作付け面積は、米と麦(一部)の場合で25ヘクタール。米・麦に加えて園芸も手掛けている場合で、7・6ヘクタール。だが、実際は新潟市の場合で2・6ヘクタール(平均)にとどまっているという。
こうしたなか、エンカレッジファーミングでは業容を拡大中だ。これに伴い、若手の採用を進めており、正社員の平均年齢は26歳の若さという。
加えて、この4月には、NSGグループの新潟農業・バイオ専門学校の卒業生5名を採用するため、平均年齢はもっと低下するそうだ。
一方、新たな雇用の担い手として期待される外国人労働者については、否定的な意見が多かった。
「大学を卒業した高度人材は母国ではエリート。わざわざ雇われるために日本に来るのか」
「特区で検討されているケースと給与は違うので比較できないが、外国人技能実習制度で来た外国人は、(『こちらに比べ給与が高い』とほのめかすブローカーの存在もあり、)疾走することが多い」
といった意見だ。
最後に、未来を担う方へのメッセージを聞かれ、近藤氏は、「ネイルアートをしたり、スーツを着ながらできる農業をめざしていきたい」と語っていた。
新潟雇用労働環境センター(新潟市、0120・540・217)は国家戦略特別区域法に基づいて2015年に開設した。弁護士や社会保険労務士などの専門家に無料で雇用や働き方に関する相談ができ、とくに農業関連の雇用相談に手厚く対応しているという。
新潟雇用労働環境センター(NIKORO)
エンカレッジファーミング
http://encouragefarming.wixsite.com/encouragefarmingtop
新潟農業・バイオ専門学校