【コラム】「地方議会に見られる三つの事象」 竜哲樹(元上越市議会議員、元産経新聞記者)

地方議会で見られる3事象を述べてみたい。色んな観点もあるが、ここでは三つに絞って…。

 

地方議員のなり手不足と議員定数削減

今、町村議会や人口の少ない市議会では、なり手不足が指摘され、議員報酬の低さがその原因だと言う。どうしたら良いのだろうか。

予算・決算の重要な審議や決議を行う地方議員は確かに、勤めの片手間に出来るほど甘くない。行政のチェック力向上や政策提言能力も磨かなくてはならず、自己研鑽を重ねる時間がどうしても必要であり、職業人として報酬も補償されていなければならず、ましてや若い議員は尚更だ。なり手が高齢者や主婦等に限られてしまう。

もちろん地方政治であれ、政治にはコストが必要であるが、地方自治法には「最小の経費で最大の効果」を掲げており、それには定数削減は止むを得ない。従って町村議会や少人数市議会でも一人当たりの報酬を上げて定数を削減する方法が差し当たって妥当ではないか。

定数が減ると、住民ニーズが届かなくなるとの声もある。削減された定数であっても、削減で選ばれた議員は幅広く住民の声をしっかり聞く努力をお願いしたい。

 

議会が画く健全財政と住民の幸せ、若者定住

首長や議会はそれぞれの自治体の財政の健全化に向けて、行財政改革による歳出削減と一層の新たな歳入確保に取り組む。行政改革は市民には痛みやガマンを伴うものであり、一方新たな歳入の根幹をなす市税増にはあらゆる業種の産業振興や観光振興などが欠かせない。

今、議会も市民が幸せを実感出来る多くの行政需要が求めている。少子高齢化のよる子育て世代や高齢者への支援はじめ、自然災害への対応、中山間地の振興策や中心市街地の活性化策、更に地域医療対策などなど次から次へと様々な行政重要も増え続けている。

その上で、今後地方自治体が持続的に発展するために、何よりも求められているのが若者雇用であり、UIJターン含めた若者定住促進であることは言うまでもない。

自治体が健全財政に向け、ムダを無くす努力とともに『稼げる力』も身に付けるとともに、若者が求める行政需要にもしっかり応えた先に、若者も含めた住民が幸せを実感出来るのだろう。

 

地方議会選挙と政党のあり方について

ここに来て、地方議会選挙に国政政党による立候補者が見られるようになった。昔から公明党と共産党だけが公認候補を立候補させて来た。

とは言え、自民党系の地方議員も立憲民主党系の議員も無所属の方が保守・革新含め、ましてや無党派層からも票を集めたいとの思惑(?)もあり、比較的政党色を出さないで選挙を行って来た経緯があるようだ。

ところが、日本維新の党が全国的な拡がりを見せる中で、各政党公認で立候補する動きが増えて来たのかも知れない。確かに地方議会では会派制があっても、同じ会派に属していても国政選挙では別々の政党候補を応援するケースも見られたものの、特別な違和感もなかった。

国政では、ほぼ政党に所属している議員が大半だ。地方議会でもそうした傾向になるのかは不透明だが、地方議会における政治課題や行政課題は国政におけるケースと違い、大きな政策的な隔たりが無いこともあり、これからも大きな変化はなく、各議員も無所属のまま続くようにも思う。

 

竜哲樹

昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元上越市議会議員。

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