「日本とアメリカの違いと共通点を探し、お互いを認めあう」 原信サマースカラシップが30周年 長岡市が株式会社原信を表彰
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初回掲載:2024年8月13日
1991年に始まった原信サマースカラシッププログラムが、今年2024年で30周年を迎えた。同プログラムは、新潟県長岡市の学生と、同市の姉妹都市であるアメリカテキサス州フォートワース市の学生が、お互いの家にホームステイをしながら、それぞれの国の文化や習慣の違いを学ぶ、地元長岡の青少年向けの研修プログラムである。毎年、株式会社原信(新潟県長岡市)が、長岡国際交流協会に全額寄付をする形で継続して行われ、これまで医者や弁護士など、国際的な視野を持った様々な人材を輩出してきた。
毎年、7月下旬から8月中旬まで二十日行われ、お互いの国の15~17歳までの青少年が、それぞれ10日間ずつ、お互いの国の観光名所の訪問、地域の子どもたちと交流し、民謡流しや花火の見学なども体験する。観光や交流のみならず、全プログラムを通して、お互いの国の違いや共通点を見つけ、その理由や原因について自分なりに考えて、認め合う「3Things」といった学びの機会も提供されている。
同プログラムは元々、「長岡の若者に海外を見て欲しい。感受性豊かな、視野の広い人間になってもらいたい」という、故・原信一社長の強い想いから始められたものである。その最大の特徴は、それぞれの国の高校生が、お互いの家へホームステイをする「相互ホームステイ」の形式をとっていることである。新型ウィルス感染症の流行によって中断された年もあったものの、このような形での国際交流プログラムは、世界的にみても珍しく、同社のように、一企業が長年行ってきた事例としては、他に例を見ない。
両国のプログラム参加者は、書類選考と面接を通じて厳重に審査され、それぞれ8人ずつ選抜された。フォートワースから参加者を選抜し、日本での引率を行っていたジュリア・キングさんも、かつては同プログラムの参加者。16歳の頃に、長岡市を訪れたという。以来、このプログラムに携わり、何度も新潟県長岡市を訪れている。
8月6日には、30年間長岡市の青少年の国際的視野を備えたグローバル人材の育成に貢献してきた株式会社原信に対し、長岡市が感謝状を贈呈。磯田達伸長岡市長から、同社の原和彦代表取締役社長に直接手渡された。
感謝状の贈呈に先立ち、本年度参加した長岡の学生8人と、フォートワース市の学生8人等による長岡市長表敬が行われ、参加者を代表して、ジジ・べリングさんと、水澤ひよりさんが、それぞれ磯田市長に挨拶を述べた。
べリングさんは、長岡花火についてだけでなく、長岡市内にある歴史的な建造物の様子などについても言及し、「(長岡の人から)盛大なホスピタリティを受けた。いつの日かまた長岡に戻って来たい」と述べた。また、水澤さんは、現地の空港に到着した頃にはとても不安だったことを明かし、空港で現地のホストファミリーが、笑顔とハグで迎えてくれたことに、日本とアメリカの違いを感じ取ったという。「とても嬉しかった」と、水澤さんは振り返える。そして、日本と米国では、「おもいやり」の異なる点と、「感謝」の共通点があることを発見し、「どちらにも美しい楽しさがある」とした。
磯田市長は、日米の高校生たちに対し、「太平洋戦争が終わって、来年で80年。日米関係も新しい関係に入っていくのではないか。今回の交流を活かして、長岡とフォートワース、日米の関係が拡がることを信じている。交流を楽しんで、日米の懸け橋になってもらいたい」と述べ、若い人たちの活躍へ期待を示した。
長岡市からプログラムに参加した、長岡大手高校に通う渡辺海宇さんは、「英語が苦手なんだけど、将来留学をしてみたくて参加した。参加して良かった」と満足そうに述べた。また、フォートワース市から参加したヴァレリア・ベネガスさんは、長岡市や市民の印象について「大変気に入った。人々がとても優しい」と語った。
磯田市長から感謝状を受け取った、同社の原和彦代表取締役社長は、「このプログラムは、元々、(プログラムが)始まる数か月前に上場した弊社が、地域の皆さんに何かしら恩返しをしたいとの想いから始まった。今までに600名が参加した。このプログラムを通じて、人生が変わったという人も見てきた。珍しいプログラムということもあり、多くの方に支えられて、今まで続けられてきた。これからも、できるだけ長く続け、このプログラムを通して、少しでも長岡の人材育成を行っていきたい」と力強く述べた。