【人中心の空間へ】新潟駅前「東大通」再整備の検討会議が初開催、9月に社会実験を実施予定
新潟市は8月26日、第1回東大通道路空間再構築検討会議を開催し、新潟駅前の東大通を再整備し、歩行者中心の形へ変えることを検討した。今後、社会実験や交通量の調査などを行い、今年度中に基本方針の案を作成する。
現在、新潟駅のリニューアルと周辺ビルの建て替えが進められ、新潟市の都心部はまちづくりにおける転換期を迎えている。一方で駅前の東大通は、万代島ルート線の整備や社会の変化などにより交通量は減少傾向にある。また、大阪市の御堂筋など歩行者中心の再整備がなされ、国土交通省でも2020年に「歩行者利便増進道路制度」を創設するなど、人中心の道路再整備が潮流となっている。
こうした状況から新潟市でも、東大通の基本方針を策定するために今回の検討会議を実施。初会合となる今回は、これまでに行った交通量調査や社会実験の紹介などをしながら、委員が意見交換した。
今後、車線を減らした場合に混雑が発生するかなどを検証するため、さらに交通量の調査を行っていく。また、これまでも実施している、道路空間でのイベントや歩道での出店などの社会実験を継続。市民の需要の整理などを進める。
直近では、9月14日から10月14日まで社会実験を予定。併せて、9月28日から10月14日までの期間は、両側1車線を規制して自転車通行帯にすることも調整中だ。一方で会議の中では、降雪時や災害時についての意見もあった。
東大通の基本方針は、今年度中に案を作成し、来年度にパブリックコメントを反映させた上で策定。以降、設計と整備に向けて本格的に動き出す。
新潟市都心のまちづくり担当理事の三富健二郎氏は「市民目線では駅を降りた利便性が優先されるが、これからは来街者のこともさらに考えていく必要がある。駅から(東大通へ)降り立った人が、その奥へ奥へと進んでいける空気感が必要」と話す。
検討会議の座長を務める法政大学デザイン工学部の岩佐明彦教授は「(東大通が整備された)当時は道幅が必要だったが、交通システムが高度化して車線が要らなくなると、広い空間ができる。そうしてできた余剰空間を、どのように街に活かしていくかは重要な議論。ぜひ、色々な人の意見を聞きたい」と話した。