【国民の生命を護る連携】震災での教訓を得て生まれた「継手」、新潟海上保安部と新潟市消防局が初の連携放水訓練を実施
9月4日、新潟市中央区竜が島にある新潟港西区南埠頭において、新潟海上保安部と新潟市消防局は初の海水を使用した連携放水訓練を実施した。
実施された連携放水訓練は、沿岸部での火災を想定し、新潟海上保安部の「巡視船さど」および「消防艇にほんかい」が海中より海水を引き上げ、ホースを通じて、地上に待機する消防車両に給水して、消火活動を行うというもの。
海上保安部で使用されるホースと消防が使うホースの継手部分は、各々の業務特性によって、形も方式も異なったものを使用している。
そうした中、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災が発生。この災害では、市街地において大規模な火災が発生し、多くの命が失われる事態となった。その際、巡視船などから海水を汲み上げ、消火活動ができないかと検討されたが、ホースの継手の規格が異なり断念したという経緯がある。
そういった教訓から海上保安部と消防の持つ、異なる方式のホースを繋げるための特殊な継手が開発された。
訓練冒頭、新潟海上保安部の松本孝典部長は、「海上保安庁と消防は、それぞれ異なる継手を使っているが、これを繋げて連携して訓練を行うという事は、大きな意義があると考えている」と話した。訓練では、両機関から合わせて35人の人員が配置され、緊張感が現場を包む中、迅速な足運びで給水後、海上に向かって放水する消火訓練活動が実施された。
訓練には18メートルのはしご車も使用され、高所からの放水も実施されたほか、両機関の隊員に向けた器具の説明なども行われた。
訓練後、新潟海上保安部の松本部長は訓練について、「実際に交換継手を使用して、消防車と連携し、意義のある訓練ができたと思っている」と総括した。
また、松本部長は今後も定期的にこのような訓練を実施していきたいとも語っていた。