新潟県内企業の賃上げ実施率、86.8%で全国を上回る 東京商工リサーチ調査
株式会社東京商工リサーチ新潟支店はこのほど、県内企業を対象に「賃上げに関するアンケート」調査を実施し、9月9日にその結果を公表した。なお同調査は、8月1日〜13日にインターネットによるアンケートを実施し、有効回答167社を集計・分析したもの。
調査結果によると、今年度に賃上げを実施した県内企業は167社中145社で、実施率は86.8%だった。前年度の90.2%から3.3ポイント低下した。一方、全国の実施率は84.2%(6,899社中、5,810社)で、これを2.6ポイント上回る結果となった。
産業別で「実施率」が最も高かったのが、「農・林・漁・鉱業」・「金融・保険業」・「運輸業」の100%であった。一方、最低は「小売業」の60.0%だった。
賃上げの実施内容のうち、最多は「定期昇給」の74.4%(105社)だった。次いで、「ベースアップ」が57.4% (81社)、「賞与(一時金)の増額」が31.9%(45社)、「新卒者の初任給の増額」が21.9%(31社)、「再雇用者の賃金の増額」が12.0%(17社)の順となった。
「定期昇給」の実施率は、前年度の73.4%を1.0ポイント上回った。また、「ベースアップ」も前年度の54.6%を2.7ポイント上回った。
賃上げ率は、1%刻みのレンジでは、最多は「3%以上4%未満」の31.1%(29社)だった。次いで、「5%以上6%未満」の30.1%(28社)、「2%以上3%未満」の15.0%(14社)の順となった。
賃上げ率「5%以上」は35.4%(33社)だった。前年度の34.1%を1.3ポイント上回り、物価高などを背景に賃上げが進んでいる。
産業別では、賃上げ率「5%以上」の割合が最も高かったのは、「建設業」の52.9%(17社中、9社)だった。以下、「運輸業」・「情報通信業」が各50.0%(いずれも4社中、2社)、「サービス業他」の36.3%(11社中、4社)と続いた。
東京商工リサーチ新潟支店は今回の調査結果について「コロナ禍以降、先行きを見通せない状況で、企業は賞与の増額で一時的な賃上げに対応する傾向にあった。だが、物価高を背景に、徐々にベースアップによる賃上げが浸透しつつある」とコメント。
続けて「企業全体では賃上げは定着してきたが、一部では賃上げへの息切れも顕在化している。2024年1〜7月の『人件費高騰』倒産は60件(全国 前年同期29件)と大幅に増え、すでに過去の年間最多も更新した。人手不足が深刻さを増すなか、安定的な賃上げ原資の確保に向け、生産性の向上と同時に適正な価格転嫁の実現も急がれる」との見方を示した。