【創業80年の老舗企業】「土木現場は私の作品」 地域の安全を担い、地域のインフラを築く和やかな絆でつながる保坂組(新潟県妙高市)

地域の安全を担い、地域のインフラを築き上げている株式会社保坂組(新潟県妙高市)

地域の総合建設業社として、創業80年の老舗企業の株式会社保坂組(新潟県妙高市)。小学校・保育園・市役所などの公共施設、工場、商業ビル、個人住宅の建築、また、河川、道路の改修や砂防施設の新設、災害復旧工事を行い、地域の安全を守っている。

あまり知られていないが、災害が多く発生している昨今 、人命救助のため、いち早く駆け付け、命を繋ぐ道を復旧させるのが建設業の仕事である。「地域の守り手」と呼ばれ、災害復旧を担う大切な役割を担っている。まさに、地域の安全を担い、地域のインフラを築き上げている同社の保坂ゆりえ常務と石黒宏一土木部課長に建設業の仕事のやりがい、社風などについて聞いた。

――ここ数年の建設業界のトレンドはいかがでしょうか。

人手不足が建設業界の課題となっています。主な原因は、少子高齢化です。若年層の3倍ともいわれる団塊の世代のベテラン勢が引退時期を迎えていますが、人口減少により若手人材の数が圧倒的に少なく、獲得競争が激化しています。一方で、建設業界の需要は拡大していて、激甚化する自然災害の復旧工事や、老朽化するインフラのメンテナンス工事が益々増加すると見込まれています。この状況を踏まえ、当社ではIT化・DX化に取り組み、省人化と業務効率化を推進しています。現在、工事のICT化(情報通信技術の活用)の取り組みとして、3次元測定量機やICT建機を運用していますが、今後も工事内容に適した機器を積極的に導入し、人が行うべき作業をITに置き換え、効率化を図っていく予定です。ただ、建設工事は、一つとして同じ工事はないことから、完全なIT化は難しく、やはり人の力が大切です。地域を守りたいという私たちの想いに共感してくれる人が加わってくれると、本当にうれしいですね。

――御社の建築、土木工事の具体的な施工例を教えてください。

建築工事では、昭和23年の斐太村立中学校新築工事を皮切りに、妙高・上越地区の学校を始め、数々の公共建物の建築を手掛けています。妙高市立新井小学校(JV工事)、和田にじいろこども園などもそうです。民間工事では、企業の工場・社屋、クリニック、神社仏閣、そして戸建て住宅の新築・改築を手掛けています。土木工事では、各所の災害復旧工事をはじめ、護岸工事、地すべり対策・予防工事、橋梁工事、造成工事等を行っています。

現場作業の様子。IT化・DX化に取り組み、省人化と業務効率化を推進している

――仕事内容とやりがいについて教えてください。

土木部・建築部の仕事は、工事現場をマネジメントする役割で、工事の受注から完成までを主導していく仕事です。工程・品質・安全・原価を管理するのですが、具体的には、発注者や周辺住民の方との打ち合わせ、資材の手配、作業員の安全確保、工事状況の記録や報告書類の作成などです。警察署に行って、道路使用や通行止めの許可を取ったりもします。段取りをうまくできるかできないかで、作業効率が圧倒的に変わってしまいます。われわれの仕事はいわば現場の経営者ですね。

一人前になるには、国家資格の1級施工管理技士を取るのが一つの目安です。かつては、施工管理技士の受験要件が厳しく受験できる人が限られていましたが、令和6年度から受験資格が緩和され、19歳以上で誰でも受験できるようになりました。資格を取得した上で何よりも重要なのは、経験を積むことです。新人の頃は、先輩が担当する現場の助手としてひたすら知識を積み上げていきます。経験を積み、自分の現場を持つことができると、いかにいいものに仕上げるかがモチベーションになります。「前回より今回はもっと良くしてやる」というがわれわれのやりがいです。一つ一つがまさしく作品なんです。工事現場は天候、場所、関係者や工法が違い、一つとして同じ工事はなく難しいですが、その分、無事に完成させたときのやりがいも大きいです。

――採用は工業系の方が多いのですか?

土木部の業務は現場監督なので専門知識が必要で、土木・建築系の学科出身者が中心です。当社は、重機オペレーターが所属する工事部という部門もあり、そちらは普通科出身の人が多く在籍をしています。大型の建設機械を操縦し、自分の手で地形を変え、道路や建物の基礎を築き上げていくことは、自らが「作り上げた」という達成感があり、とてもやりがいある仕事です。様々な建設機械を駆使することになりますが、それらを操縦するために必要な講習は、当社で費用負担をして受講してもらっています。

――建設業界のイメージを変える取り組みにはどんなものがありますか?

若手人材を確保するため、業界全体で働き方改革を推進しています。完全週休2日制の導入は、他業界には遅れをとっていましたが、ようやく導入が進んできました。当社でも業界の中では比較的早い段階で導入しています。また、当社では女性の技術者の活躍を推進しています。女性が働き続けられる環境は、男性にとっても働きやすい環境だといえると思います。

――御社は80年の歴史がありますが、これまで続いてきた要因と他社とは違う強みや特徴、差別化戦略について教えてください。

過去を遡れば厳しい時代も多くありました。ただ、歴代社長が数々の苦難を乗り越えてきた結果、現在はほぼ無借金経営という安定した経営ができています。それというのも、初代社長である保坂栄一(保坂ゆりえ常務の祖父)が、創業当時から「和」を非常に大切にしていて、社員や職人さんを大切にしてきたからこそ、多くの人が協力してくれたのだと思います。今も他社の方から、「社員同士にしっかりとした絆があり、明るくとてもいい雰囲気ですね」と言っていただけるのも、「和」を大切にしている流れだと思います。

また、当社は80年以上、同じ場所に本社を構えています。「地域の人の信頼を裏切らない、技術をもって信用を蓄積する」ということをモットーにしていることで、結果として繰り返しの受注や紹介での受注に結び付いているのだと思います。

「一つ一つがまさしく作品なんです」と仕事のやりがいを熱く語る石黒宏一土木部課長

DX化を進めながら、初代社長の保坂栄一の時代から和も大切にしている保坂組。同社では、施工管理職・重機オペレーター職の人材を募集している。建設業は地元地域のインフラを作り、地域を災害から守り、命を守る大事な仕事である。

若人よ、一度きりの人生、でっかい仕事をやってみないか?

【関連サイト】
保坂組ホームページ

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