【女性が輝く社会へ】新潟県内に美容室を5店舗展開する「i‐D international」が目指す”人生を豊かにする働き方”とは/新サービスの「膣トレ」で女性のトータルビューティーをサポート

株式会社i‐D international代表取締役 駒井 將顕氏(写真左)と同社会長の駒井かおり氏(写真右)

「スタッフはみんな18時過ぎには帰っています」

新潟県内で5店舗の美容室を経営する株式会社i‐D international(新潟県燕市)の駒井代表は記者からの質問にこう答えた。

厚生労働省の2023年度調査によると、理美容師の3年以内の離職率は56%と未だその高さが目立つ。理由の大半を占めるのが“勤務時間の長さ”“給与面の不満”だ。

i‐D internationalでは、ライフステージの変化による影響が大きく、キャリアを構築するのが難しい女性のために、長く働き続けられる職場づくりを模索してきた。現在ではスタッフは基本的に18時過ぎに退社、産休や育休の取得率も高く、キャリアのブランクがあっても職場復帰できる体制が整っている。

同社はなぜ、そんな働き方を実現することができるのだろうか。

株式会社i‐D international

本店「i-D Hiar&Make for aroma」

株式会社i‐D internationalは新潟県燕市井土巻に「i-D Hair&Make for aroma」をオープンしたことからその歴史がはじまった。同社代表の駒井 將顕(こまい まさあき)氏は新潟からは遠く離れた福岡県の出身だ。

パートナーであるかおりさんの地元、新潟で生活をしながら開業することを決め、2003年11月に「i-D Hair&Make for aroma」をオープン。2009年には三条市須頃に2号店となる「Musee店」をオープンした。そして、約3年前に新潟市内で3店舗を展開していた美容室を引き継ぎ、今では合計5店舗を展開している。

“人生を豊かにするために”「四方良し」を目指す

株式会社i‐D international代表取締役 駒井 將顕氏

——御社の企業理念を教えてください。

「弊社は”一蓮托生”と”ウェルネスライフの追求”の2つを企業理念としています。うちで働いてくれるスタッフとはお互いに切磋琢磨していく間柄でいたいと考えているので、良いときに喜び合うのはもちろんですが、細かい部分だと言葉遣いが乱れていたら注意するとか、アイデアがあれば共有して改善に取り組むとか、影響をお互いに与え合いたいという意味で一蓮托生という言葉にしています」

——ウェルネスライフの追求とはどういうことですか?

「人生を豊かにしていくためには、まず『身体の健康』それから『心の健康』、あともうひとつ『お金の健康』が大事だと思っています。心身が健康でも、十分な収入が得られないと、栄養のある食事が食べられなかったり、心を満たす経験や体験ができなかったりして、健康的な生活が送れません。私の話で申し訳ないですが……アシスタント時代、初任給は8万円でした。今とは物価が違うとはいえ、まともに生活なんてできません」

——そのご経験がウェルネスライフの追求につながるんですね。

「そうですね。もちろん、会社を維持していくためにはお客様が満足できる質の良いサービスを提供するのは大前提ですが、当時そういった経験をしたからこそ、経営者側だけが潤うのではなく、しっかり社員に還元できる仕組みを作っています。また、我々がビジネスを維持継続できるのは協力してくださる企業様のおかげでもあります。お付き合いしてくださっている企業様・会社・スタッフ・お客様の四方良しが基本の考え方ですね」

ハッピー・パートナー企業の登録証

同社では、働きやすい職場環境を整える取り組みとして、新潟県の「ハッピー・パートナー企業(男女共同参画推進企業)」に登録している。

ハッピー・パートナー企業とは、男女が共に働きやすく、仕事と家庭生活等が両立できるよう職場環境を整えるなど、女性従業員の育成・登用に積極的に取り組む企業が登録し、新潟県が支援するもの。

「ワークライフバランスを大切にしています。といっても、ただ主張するだけでは意味がないですよね。ひとつの指標として県の制度に登録しています」

——ハッピー・パートナー企業の登録には、職場環境を整えるという項目があります。例えば御社ではどんなことをしていますか?

「ひとつ例をあげると、通常の有休にプラスして中学生以下の子ども1人につき5日間の特別休暇が取得できるようにしています。これは本人都合じゃないお休みですね。有休って子どもの急な発熱や行事の都合で使い切ってしまうことが多いですよね。そうすると自分のためのお休みがとれません。この5日間に関しては、子どもの看護や卒業式、運動会などのお休みとして使っていただいています」

——お子さんがまだ小さいときなど、非常にうれしい制度ですね。

「まだまだ課題はありますが、家族を持つことを選んだ場合、どうしても結婚・出産・子育てと、ライフステージの変化の影響を受けやすいのは女性です。変化のなかでもいきいきと安心して働いてもらうために、これからも良い職場づくりを進めていきます」

健康経営実現の一貫で「厚生労働省が認可した効果のある電解水素水を作れる整水器を導入している」と話す駒井代表

スタッフの人柄の良さと、働きやすい環境が魅力

平原愛さん(写真左)と吉原萌子さん(写真右)

新潟市西区小新のA・do hairにて、スタッフとして働く平原愛さんと吉原萌子さんに話を聞いた。

——美容師歴と入社年数をそれぞれ教えてください。

平原さん「私は今年で10年目です。新卒入社してからここで働いています」
吉原さん「私も新卒入社です。今年で7年目になりますが、アシスタントのときは女池店にいました」

——入社のきっかけは?

平原さん「実習でこの店舗にきたときに、スタイリストさんもアシスタントさんも仲が良くて、アットホームでいいなと感じたのがきっかけです。当社は今マンツーマン施術を売りにしているのでスタイリストのみですが、当時はまだアシスタントさんがいました。年齢が近いのもあってか親身になって教えてくれましたし、スタイリストさんとアシスタントさんの関係が良かったんですよね。チームで頑張ろうって雰囲気がすごくあって、それが決め手でした」

吉原さん「私も職場見学というか、1~2日間の職場体験がきっかけです。そのときにスタッフさんたちがみんなフレンドリーですごく気にかけてくださって、安心できる職場だなと感じたのが決め手でした」

——店長がいないと聞きましたが、不便や不安はないですか?

吉原さん「不便は感じないですね。店長っていう役職がなくなったのは、ちょうど私がスタイリストデビューしたのと同時期ぐらいで、接客形態をマンツーマン制に切り替えるタイミングでした。デビューと同時に全部ひとりでお客様に対応することになったので大変でしたが、その分みんなでやることを分担して協力する関係ができたのが良かったと思います」

——職場環境や待遇面、勤務形態について教えてください。

平原さん「私は今2人目の育休が終わって戻ってきたんですが、子育て中でも働きやすい環境です。先輩方もお子さんがいらっしゃる方が多いので、子どもが急に体調崩しても、快く受け止めてくれる土台がありますね。お客様に連絡してくれたり、代わりに施術に入ってくれたりとか。1人目のときは不安でしたが、こうした協力のおかげで今復帰して働けているなと感じます」

吉原さん「勤務時間は8時半から18時なんですが、基本的にイレギュラーがない限り18時過ぎには業務を終えて帰ってます。美容師って拘束時間が長いイメージがあると思うんですが、お店全体としてお客様のボリュームゾーンは30~40代くらいの主婦やママさんが多く、午前中に予約される方も結構多いですね。夜遅くまでかかることは今はもうほとんどないです」

——平原さんも同じ勤務時間ですか?

平原さん「私は今時短勤務で、8時半から17時です。人によっては10時から17時とか、自分に合った時間で働いています。臨機応変にというか、勤務形態については相談しやすいと思います」

——どんな方と一緒に働きたいですか?また、どんな方がこのお店に向いていると思いますか?

平原さん「明るくて、美容が好きな人がいいですね。うちは20代から50代まで、幅広い年代のスタッフがいます。年齢問わずお話好きな方だと嬉しいです。一緒に勉強会に行けたらいいな。色んな話をしましょう!」

吉原さん「マンツーマンサロンのため、お客様を最初から最後まで自分が担当します。お客様との距離が近く関係を構築しやすいので、自分の良さを発揮しやすい環境だと思います。その上で、一緒に協力してお店を盛り上げていける方がいいですね。できるフォローはしていくので、安心して自分らしく働いてください」

「インタビューされるのは慣れないですね」と照れながら応じてくださった2人

県内でも珍しい「膣トレ」を行うサロン『IRIS』を展開

i-D Hair&Make for aroma Musee店(三条市須頃)

同社ではもうひとつ、「膣トレ」という特別なメニューを提供するサロン『IRIS』を展開している。

「膣トレ」は骨盤の底にある、骨盤底筋というインナーマッスルを鍛えるためのメソッドのこと。骨盤底筋とは尿道や膣、肛門の動きをコントロールする役割をもつ筋肉で、骨盤内にある膀胱や子宮、直腸といった内臓を支える働きも担う。

この筋肉が低下することで尿漏れしやすくなるほか、冷え性や生理痛の悪化など、様々な不調に繋がるという。女性はとくに妊娠や出産、加齢によって骨盤底筋が低下しやすい。ホルモンバランスの変化のもたらす影響が顕著なこともあり、トレーニングによって様々な不調を緩和したいと考える女性が増え、近年注目を集めている。

同社では現在美容師スタッフのほかに、膣トレーニングを行うスタッフも募集している。

インナーケアのトレーニングとして注目を集める「膣トレ」

パーソナルトレーナー 帆苅千尋さん

——どのように施術を受けるか教えてください。

「今弊社で提供している膣トレは、服を着たまま磁器装置シートのついた椅子に30分間座ってもらう膣トレ専用のフェムケアマシンを使ったトレーニングです」

——ほかのトレーニング器具と何が違いますか?

「エステでよく使われているEMSも筋肉に電気を流して刺激を与える仕組みです。うちで扱っているマシンとの違いは、従来の痩身機器では到達できなかった皮下深部(皮下8cm)にまで届く点ですね。重なりあう複雑な筋肉の構造の深い部分(インナーマッスル)は鍛えるのが難しいのですが、このマシンでは30分間で3万回筋収縮できるので、手軽に骨盤底筋のトレーニングが可能です」

——はじめて体験する場合の流れを教えてください。

「まずはカウンセリングシートの記入をお願いしています。今のお悩みや、これまでの健康状態をヒアリングしつつ、筋肉の状態は人ぞれぞれなので、個人個人に合わせた施術の説明をします。施術中は筋肉の仕組みや健康についてお話したり、今のお身体の状態からどのくらい続けた方が良いかなど一緒に相談していくことが多いですね」

——美容室を運営する御社がこのサービスを導入したきっかけを教えてください。

「弊社のコンセプトは、女性のトータルサポートです。特にお子さんがいる女性は、髪は染めたり切ったりするけど、それ以外の部分で自分のことは後回しになりがちです。でも通い慣れた美容室なら、そういうなおざりにしているちょっとした不調も話しやすいですよね。うちは特に、マンツーマンの施術だからこそ他愛ない会話をよくします。共通する不調や悩みが多く聞かれるなかで、もっとお客様が使いやすくて手軽にケアできるものはないかと会長(駒井かおり氏)が探していて、サービスの導入に至りました」

——トレーナーを目指す方は、まったく未経験の方でも大丈夫ですか?

「マシンの操作は本当に簡単なので、問題ありません。必要なことはマニュアル化されていますし、分からないことは私が順番に教えていきます。美容や健康に関心があって、学ぶ意欲がある方なら、すぐに慣れると思いますよ」

——どんな方がトレーナーに向いていますか?

「健康に興味のある方ですね。あとは、関わったお客様が健康になっていくことに喜びを感じられる人がいいです。一方で、自分の健康を置き去りにしてまで人のためにと熱中せず、私もこういうことをやってるので一緒にやりましょう!みたいな、お客様と一緒に自分も健康になっていく、分かち合える人がいいなと思います」

膣トレ専用のフェムケアマシン

女性が外面も内面も輝く環境を提供したい

同社会長 駒井かおり氏

同社が目指す心と身体のトータルサポートはお客様に限らない。働くスタッフが輝く居場所づくりを、駒井代表と、会長である駒井かおり氏が中心となり進めている。

——御社のスタッフはほとんど女性ということですが、お店づくりにも傾向が反映されていますか?

「男性スタッフを募集していないわけではないんですが、現時点で代表以外のスタッフは全員女性です。また、マンツーマンサロンなので、アシスタントはいません。珍しい職種としては膣トレーナーのほかにメイク専門の子がいます」

——メイクアーティストのような立場の方ですか?

「ヘアメイクはしないので、本当にメイク専門ですね。七五三や発表会などのイベント系のヘアセットのときのメイクはもちろんですが、例えばパーマやカラーをしたとき、今までのメイクと同じだと合わなくなる場合があると思うんです。そうしたときにメイク専門の子が少し眉を直したり、アイメイクや頬の色味を変えたり、アドバイスできるようにひとり担当の子を置いてます」

——まさにトータルビューティーができる美容室なんですね。

「髪をきっかけにして、メイクも含め、トータル的に美しくなってほしいです。美しくというのは生きやすく、という面もあって、生きやすいからこそ自分らしい美しさを追求できます。そのお手伝いができる場所でありたいので、外見だけではなく女性が抱える様々な悩みや課題を解決する手段として、アロマやインナーケアなどのサービスを増やしています」

——御社で活躍しているスタッフはお子さんがいる女性も多いと思いますが、ブランクがあっても大丈夫ですか?

「スタイリストの経験があれば、ブランクが長くても大丈夫です。不安な点はフォローしますし、時短やシフトの曜日固定などもフレキシブルに対応しています。ただ、やはり時短勤務で売上が変われば当然収入も変わってしまうので、そこは擦り合わせが必要ですね。まずは相談してください」

——今後、会社が目指していることを教えてください。

「個人的にですが、美容業界は女性が作ってきた業界だと私は思っています。だからもっともっと女性に輝いてほしい。そのためには、スタッフが働き続けられる環境をつくることが肝要です。私も32年間、この業界で働いて出産育児を経験し、とても大変でした。キャリアを手放さなければならないのは、いつも女性ですからね。経験を途絶えさせない環境をつくり、個々のライフステージが変わってもスタッフが安心して働ける会社にしていきます。また、女性が活躍しやすい場所は男性を含めた誰もが働きやすい職場環境につながると考えています。これが美容業界全体の当たり前の姿になるよう、工夫を続けていきたいと思います」

本店「i-D Hair&Make for aroma」

(インタビュー・文 井高あゆみ)

【会社情報】
株式会社i‐D international
本社:〒959-1232 新潟県燕市井土巻5-7
TEL:0256‐61‐7868
FAX:0256‐61‐7872

【事業概要】
美容室 5店舗
膣トレサロン『IRIS』2店舗
オーガニックアロマ&化粧品の製造販売

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