東京電力ホールディングスが第3四半期の安全改革プランを発表
福島第一原発での「緊急時訓練」について
東京電力ホールディングス株式会社は、2018年度第3四半期「原子力安全改革プラン」をとりまとめ、20日、東京本社で記者会見を行った。会見は、テレビ会議システムを使い、新潟本社や柏崎刈羽原子力発電所サービスホール、福島会場にも同時中継された。発表者は、原子力改革特別タスクフォース長代理兼事務局長である牧野茂徳氏。
福島第一原子力発電所関連では、「2017年度訓練評価結果」で厳しい評価を受けたが、その後に取りまとめた「緊急時対応改善計画(2018年8月27日公表)」に基づいて、緊急時訓練を進めているという。2018年12月4日に実施した総合訓練では、原子力規制委員会への情報提供に改善がみられた一方で、同委員会の立会者から、「必要な情報は理解できたものの、事故の進展予測や説明方法にはまだ課題が残る」との意見をもらった。
このほか、鉄塔の上部に損傷や破断箇所のある1、2号機の排気筒、3号機の燃料取扱設備などについての説明もあった。
柏崎刈羽のケーブル火災問題(2018年11月1日)については、関係機関への一斉FAXにおける不手際、火災発生現場での公設消防と同社責任者などの情報共有に課題があったことから、一斉FAXの手順見直し、当番者への教育、公設消防と合同検証会・合同消防訓練を実施し、火災対応能力の向上に務めているという。柏崎刈羽の6号機および7号機については、6、7号機の原子炉設置変更許可申請書ならびに、7号機の工事計画許可申請の補正書を原子力規制委員会に提出している。
「伝える」から「伝わる」情報発信へ
一方、伝わる情報発信として、対話力向上に取り組んでいるが、まだ道半ばということで、「伝わる情報発信」を意識し、改善に向けた取り組みを行っているそうだ。例えば、「放射性物質を含む処理水の公表問題」では、わかりやすく伝えられなかったことから、「処理水ポータルサイト」を2018年12月10日に立ち上げた。また福島原子力事故の事実と廃炉事業の現状などを確認できる場として、2018年11月30日に「東京電力 廃炉資料館」を開設。館内は映像や模型、パネル展示等で原子力事故の経過や廃炉事業の進捗を紹介している。
技術力向上への取り組みでは、トヨタ式のカイゼン活動を導入し、「電源設備のリスト作成を自動化」、「放射線のサンプルポンプの点検を直営化」を進めている。また「原子炉主任技術者資格」の口答試験合格者は、ここ数年2、3名だったが、今年度8名が合格したという。
このほか、第3四半期は、様々な専門家によるレビュー活動を実施し、多くの評価、助言をもらった。具体的には、「国内外の重大事故を学ぶ研修会」や福島第一の廃炉に係る進捗状況等に関しては、「国際原子力機関(JAEA)にレビュー」を受け、改善を実施している。また昨年11月5日から13日にかけてJAEAの調査団を受け入れ、17個の評価できる点と21個の助言を受けている。