新潟県が県内の土砂災害警戒区域の指定で加茂市長に意見照会
独自路線の加茂市と県はこれまでにも対立
新潟県は21日、県内の土砂災害警戒区域の指定に関し、「地価が下落」「職権乱用のファッショ独裁的な行為」「一部区域の指定は荒唐無稽」などという加茂市長の反発で、同市だけが指定箇所ゼロになっている問題で、小池清彦加茂市長に意見照会を行った。意見照会したのは、加茂市内の土砂災害警戒区域306箇所(急傾斜165箇所、土石流137箇所、地すべり4箇所)、土砂災害特別警戒区域219箇所(急傾斜161箇所、土石流58箇所)。回答期限は3月6日。
危険箇所は、住民に知らせる必要があり開示が義務付けられている。県では加茂市の反発もあり開示できずにいたが、2017年に加茂市内の該当箇所を県のホームページで公表した。ただ、指定には市長の意見が必要なことから未だ指定されずにいる状態が続いている。そんななか、今年2月に住民説明会を開催、延べ200人の参加者があるなど加茂市民の関心が高かったこともあり、出水期(6~9月)前の指定を目指し照会を行った。早期の指定を目指す。
県と加茂市を巡っては、これまで何度か対立したことがある。2015年には、県立加茂病院の建て替えを巡り、産科専用個室20室などを設置したい小池市長と、県が対立。小池市長が抗議声明を発表するとともに、工事に必要な行政手続きを拒否したことがある。
また今年1月に、加茂市・田上町消防衛生保育組合の一般廃棄物焼却施設に、県が立ち入り検査をした結果、排ガス中のダイオキシン類濃度が基準を超過していた。これに対し、小池市長は、「問答無用で強引に立ち入り検査を実施した。著しい職権濫用で違法・不当な行為」とし、花角英世知事あてに抗議文を提出している。
一方、新潟市への通勤通学割合が5%以上の新潟市、三条市、新発田市、加茂市、燕市、五泉市、阿賀野市、 胎内市、聖籠町、弥彦村、田上町、阿賀町の12市町村が対象の「新潟広域都市圏」にも、加茂市だけが連携協約を締結しないなど“独自路線”を歩むことが多いとの指摘がある。