【新社長インタビュー】「1年中楽しめるウエルネスマウンテンリゾートとして発展させる」 LOTTE Hotel Arai 福井朋也代表取締役に聞く

ロッテアライリゾート全景(ウインターシーズン)

パウダースノー、非圧雪が唯一無二の魅力だ

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初回掲載:2024年10月28日(再掲載:11月10日)

新潟県妙高市のロッテアライリゾートは、韓国で最大のホテルグループであるロッテホテル&リゾートによる取得、改装により2017年に再開業。パウダースノーの雪質が評価を受け、スノーシーズンは集客に恵まれ業績を伸ばしてきた。また、「ミシュランガイド新潟版」にもホテルとして掲載されるなど、高級なブランドイメージの構築にも成功している。

ロッテアライリゾートの最近の成功にはオーストラリア人観光客、いわゆる「オージー」が大きな役割を果たしてきたが、さらなるインバウンドの成長の可能性はオーストラリア国境を越えて広がっている。リゾートは現在、台湾、香港、韓国、オーストラリアからの観光客の誘致を目指している。

2024年3月から株式会社LOTTE Hotel Arai 代表取締役に就任した福井朋也氏に今後のロッテアライリゾートの経営戦略を聞いた。

インタビューに答える福井朋也代表取締役

 

−−インバウンドの可能性について。オージー以外の台湾、香港、韓国などはいかがでしょうか。

グリーンシーズンの波及効果はまだ少ないが、上述している国や、東南アジアに今後は期待したい。現状スノーシーズンには、オージーやUSAからの観光客が多いが、他の国からの宿泊も当然ウエルカムであり、来日や宿泊時期もそれぞれの国の休暇の状況によって変わってくるだろうと思う。

――海外への営業・PR活動についてはどんな感じでしょうか。

費用も限られるので、滞在実績のあるUSAやオーストラリアには限られるが、営業活動を続けたいと考えている。
口コミや評判によって、実際に出張で現地におもむかなくとも集客できる方法を体得したいと考えている。また、SNSなどでは、妙高の大自然を前面に押し出し、集客の方法を考えていきたい。

――温暖化で雪が少なくなっている問題についてうかがいます。妙高のパウダースノーが貴重なので、人工雪では意味がないと思いますが。

温暖化は非常に大きな環境問題と認識している。当社はパウダースノー、非圧雪というのが唯一無二の魅力であるので、人工雪では意味がないと思っている。

――妙高高原・斑尾の大規模開発への期待と影響についてうかがいます。ロッテアライリゾートへのシナジー効果はありますか?

車で30分前後というエリアではあるので、PCGと連携していきたいと考えている。妙高のみならず、近隣地域に貢献する為にも、まずは自分たちで当リゾートの魅力を再発見し、付加価値を向上させ、近隣のみならずウエルネスマウンテンリゾートとして差別化を図ることだと認識している。

――昨シーズンの冬の前年比についてと、今冬の予約状況について教えてください。

昨冬シーズンは130%程度で順調に推移した。今冬は予約形態も様々になっているので、昨冬以上に順調に推移している。今後は偏りなく全世界からの集客を考えたい。

――ロッテアライの強みは、客室のクオリティ、様々なイベントを実施できる広場、ライブラリーホテルといえるほどの「ライブラリー」、「星空温泉」、「屋内と屋外プール」などの様々な施設やアジアで2番目に長いジップツアー、日本最大級のツリーアドベンチャーなどのアクティビティの充実だと思います。

雪を楽しみに来るだけの施設ではなく、ホテル滞在もしっかりと愉しめる施設にしていきたい。それが我々にできることだ。また、妙高市の方や近場の方など多くの人たちに集まってもらいたい。そのために今は様々なイベントを実施し、地上階にあるプラザの賑わいを演出する取組を行っている。今後は、グリーンシーズンにおいてもゴンドラで山に登ってもらえるような施策を実施し膳棚エリアを活性化する事により、マウンテン全体を楽しんでもらいたいと考えている。そして、それは冬のみならず、妙高や近隣の皆様にもリゾート内の温泉やスパ施設にも立ち寄って遊んでもらえるような施設にしていきたい。日帰りでもぜひ、農作業の後でもぜひ、というようなそんな施設にしたい。

ロッテアライリゾート全景(グリーンシーズン)

本に囲まれた独特な空間が人気のライブラリーカフェ

――ロッテアライリゾートの今後のビジョンを教えてください。

唯一無二の体験をオファーし、1年中楽しめる「ウエルネス マウンテン リゾート」として発展させる。また、ゲストが何度訪れても、常に新しい発見を見つけられるよう、我々は常に新たな顧客価値の創造を探求し続けます。

――今までのスノーリゾート一辺倒の路線を見直すということですね。

はい。1つ目はスノーからウエルネスネスマウンテンリゾートへとして、スノーリゾートだけから、ゲストに過ごしてもらう時間・空間の質を変化させたいと考えている。2つ目は、世界水準の魅力を持ったリゾートにしたい。雪質・眺望などの自然由来だけでなく、ホテルオペレーションや各種サービス、企画コンテンツなども世界水準にし、このリゾートで唯一無二の体験をしてもらいたい。3つ目は、オールシーズンアクティブ体験ができるリゾートにしたい。スノーシーズンだけでなく、グリーンシーズンを含め1年を通じてゲストに来てもらえるコンテンツを豊富にしたい。

 

福井代表はアメリカの大学院を修了しており、英語が堪能であるほか、ホテルニッコー時代に経営者としてドイツにも赴任経験がある。まさにグローバルな経営感覚を持つ福井代表。すでに、将来的な新ゲレンデ(コース新設)の計画や、マウンテン群のArai Mountain Resortへの変更決定など改革にも乗り出している。そんな地域ナンバーワンホテルを目指す「新生」ロッテアライリゾートと福井代表の手腕に今後も注目していきたい。

福井朋也代表取締役

 

福井朋也LOTTE Hotel Arai 代表取締役プロフィール

2000年University of Houston, Conrad N.Hilton College 修士課程修了、2001年ウエスティン東京入社、2005年株式会社JALホテルズ(現株式会社オークラニッコーホテルマネジメント)入社、2010年ホテルニッコーデュッセルドルフ副総支配人兼営業部長就任、2018年ホテル日航アリビラ総支配人就任、2022年株式会社ロッテシティホテル代表取締役社長就任、2024年3月株式会社LOTTE Hotel Arai 代表取締役就任。

 

(文・撮影 梅川康輝)

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