【特集・2024年ユースエール認定企業】電気インフラを整備する“頭上”の力持ち、新潟配電工事(新潟市江南区)が守る人々の「当たり前の生活」

私たちは普段、ボタンひとつで明かりが灯り、電気が“当たり前”に使える状況を享受している。一方で、その環境を24時間365日保ち、日々の生活を快適に過ごす土台を作っている人たちの存在を意識したことはあるだろうか。

電柱や電線は生活のなかにすっかり溶け込んだ光景だが、高所作業車に乗り、頭上よりはるか高い場所で仕事をしている職人の姿は、意識していなければ目に入る機会は少ない。

今回はそんな地域の「電気インフラ」を支える企業に注目すべく、県内で配電工事を引き受ける新潟配電工事株式会社にインタビューを実施した。

新潟配電工事株式会社とは

新潟配電工事株式会社(本社及び新潟営業所)

新潟配電工事株式会社は1976年10月27日に創業。新潟地区を中心に事業を行っていた電気工事会社5社が集まり、グループを作ったことをきっかけに設立された。

工事は基本的に東北電力ネットワーク株式会社(以下東北電力)より受注しており、今は県内5つの営業所で各地域の協力会社とともに業務を行っている。2024年10月現在、従業員数は90名、うち半数以上が工事部の所属である。

主な業務内容は、電柱の設置、トランス(変圧器)等の配電設備機器の設置や交換、電線の設置・張替、屋外電気メーターの交換など屋外の電線(外線)に係る業務。基本的に現場では4〜5名のチームで作業を行う。

発電所で作られる電気は、一度送電線(鉄塔)に送られ、変電所で変圧されたあと配電線(電柱)によって街に配られる仕組み。同社は、この配電線に関わるすべての工事を請け負っている。

「未経験からの入社でも、安心して働けています」

「住宅地の工事で各家に挨拶する際、“お疲れさま”と優しい声をかけてもらえるのが嬉しい」と話す山添さん。

現場の仕事について、今年8月に入社したばかりの山添陽平さんに話を聞いた。

——以前は何の仕事をしていましたか?

「自動車部品の製造工場に勤めていました」

——転職のきっかけを教えてください。

「以前の職場はサービス残業が多く、長く働けない不安を感じたからです。転職を考えるにあたり、自分自身が仕事に何を求めているかを見直しました。世の中が不安定なこともあり安定した仕事がいいと考え、電気インフラの会社を選びました」

——電気関係の知識や資格のない状態で転職したと伺いました。不安はありませんでしたか?

「入社時点での資格や経験を問われなかったことが、決め手のひとつでした。入社後は教育係の先輩がついてくれるので安心です。また、一週間ほど電気関係の基礎知識を学ぶ研修にも参加させてもらいました」

——先輩や上司の雰囲気はどうですか?

「チームで動く職場ということもあって、話しやすいです。気軽に相談もしやすい環境です。教育係の先輩は僕の3つ上で年も近いので、安心して仕事を覚えることができています」

——会社の制度でいいところはありますか?

「土日祝日が休みなので、プライベートの時間が確保できるところです。勤怠管理がしっかりしているのもポイントだと思います。5分刻みで残業の申請もできます」

——入社してから、ギャップを感じたことはありますか?

「良い意味でのギャップでいうと、本当に残業が少ないところです。チームでの仕事なので、誰か1人だけが残ることもありません」

——メッセージをお願いします。

「当社は電気関係の知識や経験がなくても問題なく仕事を覚えていけます。研修制度もあるし先輩たちが根気強く教えてくれるので、安心して飛び込んできてください」

3ヶ月目の今は電柱から降ろされる電線をまとめるなど、下回り作業を任されている。

「いい会社ですよ、胸を張っておすすめしたいですね」

各現場の工程管理を担当する樋口亮彦さん

同社では現場で作業を行う技術者を支える部署として管理部門が存在する。2016年に同社の下越営業所に入社、2024年10月より新潟営業所の工程を担当している樋口亮彦さんに、会社の魅力ついて尋ねた。

——入社のきっかけはなんですか?

「転職先を探していたときに、求人情報を見つけたのがきっかけです。将来のことを考えて、電気関係だったら安定して働けると思ったのが応募の理由ですね」

——電気工事に元々興味がおありだったのでしょうか?

「以前は考えたことはありませんでした。入社する3〜4年くらい前に東日本大震災があったんです。そのとき『3日くらいで電気が通った』と被災者の方が喜んでいらっしゃる様子をテレビで見ました。その印象が自分のなかにずっと残っていて、弊社の求人を見つけたときに、電気を通すことの重要性や、灯りが点く喜びを間接的に強く感じたことを思い出しました。その報道を見ていなければ、電気工事の会社と言われてもピンと来ていなかったかもしれません」

——会社のおすすめポイントを教えてください。

「若い人からベテランまでコミュニケーションが取りやすい職場だと思います。完全週休2日制でオンオフのメリハリがつけやすいですし、休みも取得しやすいですね。有給は1時間から取得できるので、通院のために少し抜けるなんてことも可能です。働きやすくていい会社なので、積極的におすすめしたいです(笑)」

——休日の過ごし方を教えてください。

「サッカー観戦が趣味で、ワールドカップなどをテレビでも良く観ます。あとは子どもの部活の送り迎えや試合の応援に行ってますね。我が子の成長の機会を見逃さずにいれるのが非常にありがたいです」

2024年、ユースエール認定企業へ

昼休憩に談笑する新潟営業所の管理部メンバー

新潟配電工事は2024年にユースエールの認定を取得。ユースエール認定制度とは厚生労働省が認定する制度のこと。若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業が認定を受けることができる。

12項目に及ぶ認定要件があり、なかには「前事業年度の正社員の有給休暇の年間付与日数に対する取得率が平均70%以上又は年間取得日数が平均10日以上」など、明確な目標数値が設定されている。

若手の技術者不足が嘆かれる工事業界で、ユースエールの認定は困難だと言われている。認定に向けて行った工夫について、同社の総務関係を取りまとめている樋口博文専務取締役に尋ねた。

専務取締役 樋口博文氏

——ユースエールの認定にあたり、工夫したことや苦労した点について教えてください。

「一番は育児休暇制度の構築です。弊社の工事部は現在全員男性ですが、男性の育児休暇取得への関心が高いとは言えませんでした。その中でいつでも育児休暇を取れる枠組みを作ることが大きな課題でした。ユースエール認定のタイミングで制度が構築できたのは良かったですね」

——完全週休2日制で有給休暇も取得しやすい環境だと伺いました。これは以前からですか?

「完全週休2日制は3〜4年ぐらい前です。それまで土曜日は隔週休みだったのですが、受注が落ち込んだ時期があり、仕事もないのに社員の時間を奪うのはもったいないということで試験的に有給で土曜日を休みにしました」

——業務に支障は出なかったのでしょうか?

「最初は稼働時間が減ることへの心配もありましたが、週休2日だと身体がしっかり休まるしリフレッシュできるのか、かえって生産性が上がったんです。この結果を受けて、完全週休2日制に踏み切りました。今の年間休日は123日で、有給休暇の取得実績は昨年度で平均13日です」

“地域に寄り添い、地域とともに成長する”

新潟配電工事株式会社 村田靖代表取締役

現場の技術者も内勤の管理部員も、口をそろえて「働きやすい」と話し、徹底した勤怠管理やユースエールの認定取得など、社員のための制度を整えている同社。6代目社長、村田靖代表取締役は、どのような想いで会社を変化、発展させているのか。

——御社の企業理念を教えてください。

「“地域に寄り添い、地域と共に成長する”が企業理念です。弊社は地域の皆様の電力というライフラインを預かっており、その配電設備のインフラ整備を通して、安心して暮らせる社会の構築に努めるのがミッションです。また、そのためには現場で働く社員へ価値観と信念を共有することが重要であると考えます。『ゼロ災害』、『個の成長とチームワークの向上』、『施工品質と顧客満足度向上への挑戦』、『オンリーワンな人と企業』以上4点を掲げ、企業文化を醸成してきました」

——災害ゼロを目指すようになったきっかけがあれば教えてください。

「2013年に発生したハシゴからの墜落死亡災害が大きな契機になりました。協力会社の作業員がハシゴ上での引き込み作業で運悪く墜落してしまい、死亡に至った事故です。現行でいう胴ベルト型の安全帯や補助ロープを装備はしていたものの、正しい利用がされていませんでした」

——二度と事故を起こさないという決意が会社のビジョンに反映されているのですね。

「本来、基本的には東北電力の安全ルールが存在しますし、我々も標準作業マニュアルを持っています。安全への意識と徹底の重要性を協力会社の皆さんにも理解していただくとともに、パトロールに出向くようにして安全文化の構築に努めてきました。工事業に携わる以上、今後もこの文化を浸透させていかねばと考えています」

——自社の魅力を教えてください。

「一般的に電気に関する工事と聞くと、建物のなかで工事をしているイメージが強いかなと思いますが、我々が行っているのは建物の玄関先まで電気を届ける仕事です。それを配電工事といいます。配電工事会社って実はそんなに会社数が多くないんですよ。特殊な技術と技能が必要なため、我々にしかできないかけがえのない仕事だと自負しています」

生活インフラを支える、地域になくてはならない仕事

現場作業の様子

——ここのところ災害が多いですよね。急な出動などもありますか?

「もちろんあります。東日本大震災では発災翌日には宮城に乗り込んでいました。各協力会社も含め、 大体1年間くらい交代しながら災害復旧にあたりました。その体制ができたのは、中越地震を経験していたからです」

——災害の直後だと宿泊施設の確保なども難しいのではないですか?

「車中泊をする前提で発電機と電子レンジを積んで向かいます。食事すらままならない可能性がありますから。現地ではキャンピングカーを持ち込んでいる会社もありました。各社工夫を凝らして災害復旧にあたっています。会社としては現地の電気の整備・復旧を急ぐとともに、社員や協力会社の方のメンタルケアを怠らないようにするのが1番難しいところです」

——本当に地域を支えるお仕事ですね。

「災害復旧の現場では我々が送った電気で明かりが灯った時に、被災地の方が涙を流して喜ばれる姿を目の当たりにしたり、直接『ありがとう』という言葉をもらったりする瞬間があります。やりがいと使命感を強く感じますね。災害が起きたときにいち早く対応する準備を常にしておく一方で、地域の方の普段の生活をいかに守れるかを大事にしています」

——就職を考えている方へメッセージをお願いします。

「どんな仕事にもやりがいはありますが、“弊社の仕事は地域を支える大事な役割を担っている”と会社も、社員も、自信を持っています。特に屋外での仕事を望まれる方や、広く人や社会に貢献したい方はぜひ弊社にきてください。将来も安定している仕事です。私どもは引き続き、全社員が安心して働ける環境を整えていきます。一緒に地域の安心・安全を守る仕事をしましょう」

現場作業の様子

 

新潟配電工事株式会社(本社及び新潟営業所)

 

(インタビュー・文 井高あゆみ)

【会社情報】
新潟配電工事株式会社
本社:新潟県新潟市江南区城所1-10-6
TEL:025-381-7060
FAX:025-381-6150
メールアドレス:info@niihai.co.jp

【営業所】
下越営業所:新潟県新発田市中谷内字村上114-4
新潟営業所:新潟県新潟市江南区城所1-10-6
長岡営業所:新潟県長岡市稲保4-724-4
魚沼営業所:新潟県南魚沼市島新田19-2
上越営業所:新潟県上越市本新保270

【採用についての問い合わせ】
会社ホームページ
※問い合わせフォームよりご連絡ください。

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