【キシャメシ】えび+鯛の尊いウマ味、「美しいラーメン」の系譜を継ぐ「まっくうしゃ」の「塩」(新潟市中央区)
にいけいキシャメシはラーメンの頻度が多いので、逆に自分がラーメンを書くときは変にハードルを上げてしまうところがある。本来キシャメシは、記者がその日の業務の中で食べた昼ご飯をリポートするのが本旨なので、バランスをとる必要もないのだが。
ということで、本日はラーメンである。記者の場合、ラーメンの回はだいたい「そういえば今日キシャメシだった」とギリギリで気づいた時が多い。今日もそのパターンで、打合せが終わって気づき「近くにどこかあるかな」とググったという流れである。
「まっくうしゃ」(新潟市中央区)。何度か訪店したことあったな。新潟でも好きなラーメンベスト3に入る名店「いっとうや」(新潟市中央区)の系列だったはず。
ことさらにラーメン情報ばかりの新潟メディアはあまり好きではない。ラーメン王国だとか、5大ラーメンだとか、新潟が一人当たりの年間ラーメン消費量上位だとか。正直もっと素晴らしい食文化がたくさんあるのに、なぜラーメンばかり?と思う。
ただし新潟ならではのオリジナリティにあふれるラーメン文化には素晴らしいものもある。県央の背脂ラーメンや長岡の生姜醤油ラーメンは、ストーリー性も味も素晴らしいと感じる。
さらに記者が新潟のラーメンに感じるリスペクトは「盛り付けの美しさ」である。他県から来たラーメンライターが実際に話していた。意外と他県にないらしい。まるで枯山水のように丼上に描かれる美意識と物語、そういう店がけっこうある。その代表格と言えるのが「いっとうや」だろう。
まっくうしゃは、醤油、味噌、塩すべてメニューにある。そのすべてが醤油「醤油(あじ+煮干し)」「味噌(信州みそ+越後みそ)」「塩(海老+鯛)」というように二種の旨味のコラボで構成されているのが面白い。記者は一番人気の塩(税込900円)をオーダー(券売機)してカウンター席へ。
普段はあまり「塩ラーメン」を食べない。もちろん嫌いなわけではないが「ラーメン食べるとき、そこは求めていないんよ」という気持ちは少しある。前に偶然入った店で塩ラーメンを頼んだ時に、塩辛さと化学調味料の味しかしない「体に悪い潮汁」みたいなラーメンが出てきた嫌な思い出もあったりする。
ややあって着丼。ほーう、美しいな。
乳白色+ちょっとアイボリーがかったスープのキャンバスに大判の海苔、その上に小エビ(アミかな?)、美味そうな味玉、円形の炙りチャーシュー、極太メンマ、センターに白髪ねぎ。構図どり、彩り、素晴らしいバランス。アーティスティックポイントはかなり高い。
さっそくスープを一口。おお、良いね、文句なし。スープのコク、旨味、表現しづらいがもう「チャウダー」みたいなんよ。クリームは入っていないけど、それくらい濃厚なめらか。素人なのであまり突っ込んだことは言えないが、豚ガラなどの動物系もベースにあるのだろうな、たぶん。でないとこのコク深さはなかなか。その一方で、クサみや雑味が一切ない上品さが特筆すべき。
もはや尊いねい。しっかり濃い目の旨味なのに優しくまろやかに仕上がっている。
麺は中太ストレートくらいか。系列店らしくいっとうやの麺と似ている。もちもちの食感でスープとの絡みも良い。炙りチャーシューは、これ美味すぎ。小エビも良いアクセントに。極太メンマ、味玉、めちゃ好きな味。
あっという間に完食。スープもほぼ飲み干しフィニッシュ。満足したー!
美味しいラーメンを食べた後にはかならず思う「ラーメンをことさらにもてはやす新潟メディアの気持ちもわかるな」と。
(編集部 I)
【まっくうしゃ笹口店】
新潟市中央区笹口2-1-56
営業時間 11:00~21:00
定休日 なし
<グーグルマップ「まっくうしゃ笹口店」>
【キシャメシ】は、にいがた経済新聞編集部のメンバーが、日々の取材活動の合間にいただく昼ご飯を日替わりで、真正面から他意を入れず、何モノにもとらわれず、お仕着せのグルメリポートに背を向け綴った、キシャの日常モノローグ。さて明日の担当キシャはどこで何を食べるのか、お楽しみに。