【特集】迎賓館TOKIWA(新潟市中央区)ウエディングプランナー長谷川薫さん 「授業は結婚式場で!磨いたスキルで新郎新婦の夢を叶える実現力」 新潟青陵大学短期大学部卒業生を追う(動画あり)
初回掲載:2024年11月7日(最終更新日:11月20日)
「人生最良の日」「新たな門出」とも言われるほど、人生において大切な思い出となる結婚式の1日。事前準備から当日まで、新郎新婦と一緒に式を作り上げるウエディングプランナーの、華やかに見える一方で地道でタフな仕事を「天職にしていきたい」と、控えめながらも迷いなく語るのは、結婚式場・迎賓館TOKIWA(新潟市中央区)のプランナー歴2年目になる長谷川薫さんだ。
長谷川さんは新潟青陵大学短期大学部(以下青陵短大)(新潟市中央区)人間総合学科でブライダルやビジネスについて学び、2023年春に授業やアルバイトでも縁があった迎賓館TOKIWAに就職した。
授業は結婚式場で!?実践的な学びを糧に、憧れのブライダル業界へ
長谷川さんが勤める迎賓館TOKIWAは、隣接する新潟縣護国神社での神社婚と併せた挙式スタイルが人気の、1971年に誕生した歴史ある結婚式場だ。
新潟駅から車で10分圏内にありながら、神社の境内は約1万6800坪と非常に広大かつ日本の白砂青松100選にも選ばれるほどの美しいロケーションが大きな特徴の一つ。結婚式場と神社が一体となっていることで、結婚式から始まり安産祈願、お宮参り、七五三…など人生の節目節目でファミリーの歴史に寄り添い続けることができる式場として、広く新潟県全域の人々から愛されている。
創祀150周年を記念して2018年に伊勢神宮の御神木を柱として回廊を造営したことにより、天候に左右されず、最大で150名もの参列者が快適に参加することができるようになった
「小学生の頃に参加した叔母の結婚式で、キラキラした会場やドレスに『こんな世界があるんだ!』と驚き、絶対結婚式に関わる仕事をしたいとウエディングプランナーに憧れるようになりました」と長谷川さん。そこで高校卒業時に選んだのがブライダルコースを学べる青陵短大の人間総合学科だった。
この学科は、「ビジネス」「デジタル」「医療事務」「ファッション」「ブライダル」「フード」「医薬品」「心理学」「観光」「地域課題解決」など、非常に多くの分野があり、それらを自分の興味や将来像に合わせて自由に組み合わせて学ぶことができる。すでに将来はブライダル業界へと決めていた長谷川さんだが、多彩な分野を履修できるところを魅力に感じたそう。
「『ビジネス』や『観光』の分野の授業もきっと社会人になってから役立つと思って履修しました」(長谷川さん)
そして何よりも大きな学びになったのが、週1回ある、青陵短大の校舎から徒歩5分の距離にある迎賓館TOKIWAでの授業。実際の式場で現役のウエディングプランナーから話を聞くことができて嬉しく、得るものも大きかったと振り返る。
「事務所の中でプランナーやサービス部、経理部など全ての部が完結しているので連携が取りやすいし、そういった職場の雰囲気もお客様に伝わるのかなと思っています」(長谷川さん)
新郎新婦に明るく寄り添うウエディングプランナーに
憧れの世界を目指して、長谷川さんはアルバイトも迎賓館TOKIWAを選択。様々な角度からブライダル業界に触れた上でなお、ウエディングプランナーへの意思が変わらなかった長谷川さんは、学内のキャリアサポートステーションを活用して、履歴書の添削から面接練習、またウエディング業界を経験している職員から体験談を聞くなど就活に取り組み、無事第一志望に掲げていた迎賓館TOKIWAの一員となることが決まった。
入社後は研修やOJTを経験し、2年目からメインでお客様を担当する“独り立ち”となり、今や長谷川さんは、多い時で同時に7組のお客様を担当する期待の新人ウエディングプランナーだ。
ウエディングプランナーの業務は、式の当日はもちろん、そこに至るまでの準備全般まで多岐に渡り、司令塔としてお客様はもちろん、美容スタッフ、シェフ、写真部など多くのスタッフと力を合わせることで一つの挙式・披露宴を作り上げる。
「結婚式の準備は楽しさもあるけど大変なので、明るく接することと、しっかりお客様に寄り添ってご要望を全部汲み取ることを心がけています。初めて担当したお客様は、毎回打ち合わせのたびに『長谷川さんとの打ち合わせがすごく楽しいです』と言ってくださって、とても嬉しい思い出です」(長谷川さん)
「最初は結婚式に消極的だったお客様も、最後は異口同音に『挙げてよかった』とおっしゃいます。社会人になって忙しい中、一生に一回だからと仲間が集い、同級会みたいに盛り上がる。そんなかけがえのない時間はどこをとっても幸せですよね」
そんな長谷川さんの様子を上司で第一営業部長の山田寿子さんも温かい目で見守っている。「長谷川さんはお客様にも、スタッフにも、誰にでも親しみやすく、初対面でスッと溶け込める人柄が魅力。お客様の本音を引き出せる聞き上手でもあります。もちろんまだ2年目で慣れない様子も見られますが、注意を受けても周りに辛さを見せずに、頑張り続ける強い意志を持って取り組んでいるので、プランナーに向いていると思います」と太鼓判だ。
人間力を磨く学外の人とのコミュニケーション
そんな長谷川さんの明るさとブライダル業界への強い意欲に、「彼女は手がかからない学生でしたね」と目を細めるのが、短大時代に長谷川さんが所属していたゼミの関久美子准教授だ。
青陵短大は、インターンシップや企業との連携プロジェクトといった学外と関わりを持つカリキュラムが多い。長谷川さんは在学時、関准教授のゼミで「ヒューマンライブラリー」という、学外の人との活動に取り組んでいた。
「ヒューマンライブラリー」は障がいや民族の違い、LGBTQなどマイノリティ属性を持った人たちをゲストに、参加者が対話をする活動で、青陵では毎年秋にこのイベントを開催している。長谷川さんは中途四肢麻痺の方を担当して、アポイントを取り、取材をして紹介文を書くなど運営に携わっていた。
「長谷川さんは明るく責任感もあり、ヒューマンライブラリーのゲストとなる方とのコミュニケーションもしっかり取れていて、安心して任せることができました」と関准教授。サービス業に就くからこそ、多様な人とのコミュニケーションが図れるヒューマンライブラリーのゼミを選択したのではないかと関先生は推し量る。
大学で学外の人とのコミュニケーションやビジネスマナーを中心に身につけておいたこと、そして在学中に現場を知れたことで、社会に出てもスムーズに対応できたのがよかったと、長谷川さん自身も振り返る。
もっと活躍が望めるから、伸び代に期待
1年半長谷川さんを見続けてきた山田さんが、一番に挙げる長谷川さんの強みが「どんな難しい要望でも、一貫してお客様のために頑張る姿勢」だそう。
例えば、長谷川さんはお客様からファーストバイトをウエディングケーキの代わりに特大ドーナツで行いたいという相談を受けたことがある。前例のないプランで、長谷川さんはお客様と細かく打ち合わせを重ねながら、対応できる業者を見つけて無事成功へと導いた。披露宴の後に「長谷川さんのおかげで夢が叶いました」とお礼の言葉をいただいたそうで、「あの時はやり切った!と思いました(笑)」(長谷川さん)
とはいえ、まだまだ新人。山田さんは、もっと段取りを考えて要領よくできるようになれる伸び代はある、と期待を寄せている。長谷川さんも「自分が苦手なところにちゃんと気を配り、一人前になれるように頑張りたい」と意欲は十分だ。
取材中に青陵短大の関准教授の言葉で興味深い言葉があった。「AIが人に変わって仕事をする時代が来ると言われていますが、そうすると企業が提供するサービスに大きな差は生まれなくなるでしょう。その時に企業価値を高める鍵は、企業に所属している人の価値にあると思います。AIに取って代わられることのない、人間のコミュニケーションを大切にする気持ちを養ってほしいと思って授業をしています」
まさに心が伝わるコミュニケーション力が魅力の長谷川さんの活躍は、そのまま迎賓館TOKIWAの魅力となっていきそうだ。
「長谷川さんには、ブライダル業界で遺憾無くその能力を発揮してもらいたいですね。きっと天職なんじゃないかなと思います」と関准教授。冒頭では本人曰く「天職にしていきたい」とのことだったが、すでに周りの人たちから見たら、間違いなくウエディングプランナーは彼女の天職。
短大で学んだ知識と磨いた人としての成長を糧に、社会でより高みを目指して羽ばたく未来には、たくさんの新郎新婦の笑顔が広がっている。
(インタビュー・文・撮影 丸山智子)
【学校情報】
学校法人 新潟青陵学園 新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
(新潟市中央区水道町1丁目5939番地)
新潟青陵学園は、新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部・新潟青陵大学大学院・新潟青陵高等学校・新潟青陵幼稚園を運営する学校法人。短大の歩みは、1961(明治36)年に設立された新潟女子工芸高等学校の専攻科を前身とし、1965(昭和45)年に青陵女子短期大学が開学。2004年より共学となり現在の名称となり、現在は人間総合学科と幼児教育学科の2分野を有し、新潟県の企業、保育業界への人材供給を担い続けている伝統校。
【関連リンク】
迎賓館TOKIWA