新築住宅と比べ価格や立地で優位? 新潟県内でも高まるリフォームやリノベーションの機運
新潟県内で中古住宅を購入してリフォームやリノベーションをする機運が高まっている。これまで新築が重視されてきた住宅業界。新潟県内でも新築志向がいまだに根強いが、住宅会社がリフォーム・リノベーションに力を入れたり、リノベーションのブームもあり徐々に風向きが変わってきた。
建築資材の高騰や、断熱や換気システムなど住宅機能が高まるなかで新築住宅の価格が高騰。30坪ほどの住宅で2000万円を超えるのは珍しくない。そのため、住宅購入を検討する30~40代の世代では土地代を抑えて郊外に建築したり、定型化した建売住宅やローコスト住宅を購入したりする世代が増えている。ただ、郊外では交通の便が不自由であるケースが多く、中心部では土地代が高いのが通例だ。
一方、中古住宅では中心部の便利な立地でも現実的な価格で住宅を購入でき、駅から近く土地としての資産価値が高いケースが多いため、万が一の時には売却できる可能性が高い。建物の減価償却期間が経過しているため建物分の固定資産税が抑えられたり、新築住宅と同じ値段でも部屋数が多いといった利点もある。新潟市内の工務店によると、中古住宅を購入して断熱などのリノベーションを施した場合は、「費用が新築に比べて3割ほど抑えられる」という。新潟市中央区の30代男性は当初郊外で新築住宅も検討したが、子育てと仕事の両立のために中央区で中古住宅を購入した。「将来はそのまま住み続けるか、子育てが終わったら売却や運用をするなど、選択肢も多い」と話す。新潟市西蒲区の角田浜周辺では、築100年にものぼる庭付きの古民家をリノベーションし、移り住む若者世代が増えている。
マンションリノベーション専門店やもろでハウスも登場
新潟県内の住宅会社も、中古住宅とリフォーム、リノベーションを組み合わせ、物件探しから購入、リノベーションまでワンストップで手掛ける事業展開が増えている。不動産会社が中古住宅を購入し、リフォームを施して販売する「買取再販」も目立っている。ナレッジライフは、「再生良家」の名称で、新築でも特徴的な「自然素材」を取り入れたリノベーションを手掛ける。4月10日には新潟市中央区の万代橋近くで「リノベ不動産萬代橋店」をオープン。マンションリノベーション専門店としてPRしていく。
「ディテールホーム」の名称でデザイン性の高い住宅を手掛ける坂井建設株式会社は、リフォーム・リノベーションの専門事業「ディテール・リノベ」を展開し、同市中央区東幸町に店舗をオープン。また、同市中央区京王で築39年の木造戸建をフルリノベーションしたモデルハウスも完成。減築することで駐車スペースを確保し、現代社会に合った暮らしが出来るように再プランニング。廊下を削ることでスペースの大きさも確保した。
女性建築士が作る工務店・オフィスHanako株式会社は中古住宅・リノベーション専門店「キドリヤ」を展開する。女性の目線を生かした可愛らしいデザインが特徴だ。希望の条件に合う中古住宅を探すイベントも積極的に実施している。
新潟市では中古住宅の購入とリフォームをサポートする「空き家活用推進事業」を展開。空き家の購入・リフォームで最大100万円を補助する。2020年度は早期終了した事業で、今年度も多くの申請が予想される。
これまで新築一辺倒だった日本の住宅業界。新築住宅を建てることが「ステータス」や、人生のゴールとも見られてきており、新潟県内でもその風潮は根強い。ただ、今後は人口減少が進むのは間違いなく、社会問題化する空き家も深刻だ。2018年の調査では新潟県内で14万6,200件(14.6%)の空き家があり、今後も増えるのは確実。国としても住宅のストックをいかに活用するかが重要となっている。住居の選択が新築住宅だけではなく中古住宅とリノベーションの組み合わせが広がれば、多様な選択肢が広がり空き家対策にもつながるといえるだろう。