【地域の未来を担う人材育成へ】産学官連携の新会議「三条みらい人材会議」がスタート、会場満員の約90人が参加(新潟県三条市)

第1回「三条みらい人材会議」のグループワークの様子、約80人の企業・団体、学生、行政職員などが参加した

新潟県三条市は11月11日、産学官が連携して地域全体で人材育成に取り組む「三条みらい人材会議」を三条市立大学で開催した。会議には市内外の企業経営者や人事担当者、教育機関関係者ら約90人が参加。

地域の人材確保や育成についての事例共有とグループワークを通じ、人材投資による好循環を目指す今後の展望について意見を交わした。

「三条みらい人材会議」は、2023年1月に策定して「三条市経済ビジョン」の具現化を目指す取り組み。同ビジョンでは、生産性向上や効率化で得られた利益を人材投資に回すことで、企業と従業員のウェルビーイングを実現し、さらなる成長と所得向上の好循環を生み出すことを掲げている。

会議の冒頭で挨拶する三条市の滝沢亮市長、「さらに迫りくる少子化の中で『人』というのはこれまで以上に大事になってくる。皆さんと考えながら共有して、いいまちづくりにつなげていきたい」(滝沢市長)

地域の人材獲得・育成・定着の取組について「地域の人事部」の事例などを元に紹介したInquiry合同会社(新潟市西区)の山本一輝代表

初回となる今回は、地域ぐるみで人材育成に取り組む「地域の人事部」の事例を基に、三条市での展開可能性を探った。

セミナーでは、全国各地で中小企業の経営課題解決のための伴走支援や、産官学の連携協働、人材育成や地域振興に関するコーディネートを手がけるInquiry合同会社(新潟市西区)の山本一輝代表が登壇。企業が抱えるさまざまな課題を地域一体で取り組む「地域の人事部」についての有効性や価値について紹介した。

山本代表は、企業・自治体・教育機関には現代社会に合わない「負のループ」が取り巻いている現状を説明し、「『地域の人事部』は地域経済社会システムを自分たちの手でリデザインすること。協働、共創のチームを地域で実現していくために手を打っていく必要がある」と語った。

コラムコーナーとして「経営戦略と人材戦略の一体化」を解説した人材開発・組織開発コンサルティングを手掛ける柏崎企画の柏崎亮太代表

グループワークの様子

グループワークでは、参加者が5、6人程度のグループに分かれ、三条市における、人・企業・地域について、それぞれの特徴や思うことをディスカッションした。「自然と産業の両方がある」「家族経営の企業が多い」「人口流出、人手不足が深刻」などの意見が交わされた。

「人材不足は個社だけでは解決できない課題。地域全体で知恵を出し合い、三条市の強みを生かした取り組みにつなげたい」。情報通信業に勤務する40代男性は、グループワークでこう指摘した。

三条市出身で、新潟市内の大学3年生の男性は、「さまざまな企業の人のお話しが聞けて、とてもおもしろかった。これからの就職活動の参考にもなりそう」と話していた。

今回初開催した「三条みらい人材会議」について、Inquiryの山本代表は、「これだけさまざまな年代の、さまざまな業種、団体、学校関係者の人が集まって話し合う機会は、これまであまりなかったと思う。これからもたくさんの人に参加してもらいたい」と話し、今後の盛り上がりに期待を寄せた。

次回の「三条みらい人材会議」は12月16日に開催し、その後も毎月1回の開催を予定している。

(文・撮影 中林憲司)

 

【関連サイト】
三条市経済ビジョン(新潟県三条市ホームページ内)

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