【今読んで欲しい1冊】書店員が選ぶ11月のおすすめ本(提供 ジュンク堂書店新潟店)
ジュンク堂書店新潟店(新潟市中央区)の書店員が選ぶおすすめ本「11月号」。書店員の眼鏡にかなった「今読んで欲しい本」を、書店員の生の声でお届けします。
今回は、ジュンク堂書店新潟店の石井裕也店長からのおすすめ本を3冊ご紹介します。
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正確さや答えのある解答が得意なAIが台頭する現在、人間には思考力が求められている…そんな記事を目にすることも多くなりました。
大人だけでなく小学生のころからその力を養おうと、2020年からの学習指導要領でも「自ら課題をみつけ、学び、考え、判断して行動する力-思考力-」に重点が置かれることが盛り込まれました。
実際にそのような書籍も増え、売上ランキング上位に上ることもしばしば。今回はその中から旬のものを3冊選んでみました。
『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』 野村裕之 ダイヤモンド社
世界的有名企業が採用試験で出題するという思考問題を集めた問題集。恥ずかしながら1問目から答えられません。己の頭の固さを思い知りました。難しいのではなく、解決の糸口が見つからない。
しかし、そんな人でもご安心を。解けずとも解説を読んで得る驚きが大切なのだそうです。
この本の問題を解くのに必要なのは知識や正確さではないので、子供から大人まで幅広く楽しめます。家族で解いてみると子供の柔軟さに舌を巻くことがあるかもしれませんね。
『5分で論理的思考力ドリル』 ソニー・グローバルエデュケーション 学研
先におすすめした本が難しすぎると感じた方、こちらはいかがでしょうか。シリーズで難易度が3段階に分かれていて自分のレベルに合わせて思考力を高めていけます。
子供向けに書かれたシリーズですが、大人が読んでも手ごたえは十分で、答えを導き出した後の達成感があります。
考えることが好きになるような面白い問題ばかりで、身構えることなく、気持ちを楽にして取り組むことができる1冊です。
『10歳からの考える力が育つ20の物語』 石原健次 アスコム
先にご紹介した2冊は比較的算数的要素が強いものですので、最後は国語力や読解力を養う本を選んでみました。
有名な童話で本来与えられている読後感や印象…そういったものから一歩進めて多角的に解釈してみようという試みの本書。
この本で与えられているのは本来の結末以外の1案ですので、まだまだ多様な解釈が可能だと気づかされます。それぞれの登場人物の視点から物語を読み解く、自分ならどう解決するか考える、物語の先を想像してみる…こんな風に思考力を高めていくのも良いかもしれません。
「価値観は人それぞれ」、私たちはそれを理解しているようで、普段つい一方的に物事を判断してしまっている。そんなことを考えさせられる1冊です。