【価値の再定義】歴史から紐解くブランドの真価|関本大輔(株式会社アドハウスパブリック)#5

こんにちは。株式会社アドハウスパブリック代表の関本大輔と申します。

このコラムでは、「ブランディング」をテーマに、その本質や大切にしたい考え方について弊社の事例を交えながらお伝えしています。

今回お話しするのは、これまでの歴史を振り返り価値を再定義することの大切さについて。

どんな場所や企業にも、過去の歩みの中に真の価値やかけがえのないストーリーがあります。私たちが手掛けた由緒ある神社のブランディングを例に、価値の見つけ方や大切にしたい視点をお伝えします。

ご興味がありましたら、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

 

歴史の中からブランドの価値を掘り起こす

アドハウスパブリックでは、お寺や神社など古くからの歴史や由緒ある場所のブランディングを手掛ける機会が多くあります。そのときに、どんなことを大切にしているのかをお話ししたいと思います。

例えば、新潟県村上市にある「藤基神社」さまのブランディング。

藤基神社さまは、江戸幕府を開いた徳川家康公の弟・内藤信成公を祀った神社です。人生や家庭、子どもを守る神として崇拝され、開運・勝運の神として信仰されていました。

全国でも珍しい武家の神社ですが、その敷居の高さから参拝客が減少傾向。世代交代を機に、100年先も残る神社として運営するために方向性と打ち出し方を見直すことになりました。

そんな藤基神社さまのブランディングでまず取り組んだことは、これまでの歴史の紐解きと価値の再定義。お祀りしている内藤信成公のことや建造物の由来をはじめ、ここに至るまでに実際にあったことを掘り起こし、「守りの神社」というコンセプトを掲げました。

それから、コンセプトに基づいて参拝方法や授与品の見直しを実施。「守りの神社」として認知され、人が集まる場所となるように計画していきました。伝統の本質を守りつつ、次世代に継承できる魅力ある場として蘇らせることで、100年先にも愛され続ける場所づくりを目指していったのです。

長い歴史の中で、一つひとつの出来事は大きな点ではないかもしれない。でも、それらを紐解きながら点を一つずつ線に繋げていくことで、かけがえのない本物のストーリーとなり、隠されていた価値に気づくことができます。

歴史や由緒ある場所のブランディングでは、過去の出来事から価値を再認識し、その価値を現代に合わせて再定義することが大切なのです。

 

唯一無二の価値を再定義し、未来へと繋ぐ

歴史を振り返り、価値を再定義する。実は、これは企業ブランディングにも通じる大切な考え方です。

どんな会社にも、その会社らしい個性というのは必ずあります。「うちには何もない」と感じても、そこにいる人たちが歩んできた道こそが唯一無二のストーリーであり、かけがえのない価値なのです。歴史を一つひとつ紐解くと、そこにはその会社らしい考え方が隠れていて、社風や大切な価値に繋がっているのです。

「ブランディング」と聞くと、“新しいものを作る”とか“新しい意味を加える”というイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、それだけがブランディングではありません。

長い歴史の中で埋もれてしまった大切なものを掘り起こし、磨きをかけて、新たな価値として再定義する。それこそが、ブランディングにおいて大切にすべきことだと思っています。

しかし、どれだけ素晴らしい歴史があっても、その場所に居る人たちがその価値を認識して大事にしていかなければ、いつの間にか忘れ去られてしまいます。「大した話じゃないから」と、いつの間にか語り継がれなくなったものの中に、実は大切な価値観や社風が表れていたりします。それを掘り起こし、唯一無二の価値を再発見・再定義することが、私たちの役割でもあります。

企業や組織の独自性とは、他と違う特別なものを新しく生み出すというよりも、築き上げてきた歴史や大切にしてきた想いの積み重ねの中にこそ存在します。それらを丁寧に掘り起こし、未来へと繋げていくことが、長く愛され信頼されるブランドを築くための土台となるのです。

今回はここまでとなります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

関本 大輔(せきもと だいすけ)

株式会社アドハウスパブリック代表取締役。新潟デザイン専門学校を卒業後、東京の出版社でデザイナーとして勤務。その後、父が設立した会社を継ぐため帰郷し、2013年に代表取締役として就任。

お客さまの本質的な課題解決につながるインナーブランディングと卓越したデザインで、さまざまな企業や事業のブランディングに携わる。過去1,000件以上の実績で、地域・業界を問わず評価されている。

米国ギャラップ社認定ストレングスコーチのほか、越後雪室屋ブランドディレクター・理事、新潟県6次産業化プランナー、新潟市異業種交流研究会協同組合理事長を務める。

 

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#1【ブランディングの原点】想いや強みの“見える化”

#2【企業ブランディング】地域No.1ブランドを目指して”

#3【ブランディングの根元】“目線”をイメージする力”

#4【BIの重要性】すべての成果は行動から生まれる”

 

【旧連載コラム】
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