「ウィルながおかフォーラム」開催―「自己愛の化け物」が語る人生哲学(新潟県・長岡市)

長岡市で1987年から続く市民参加型イベント「ウィルながおかフォーラム」が、11月9日から24日まで開催された。今年で38回目となるフォーラムでは、実行委員会とウィルながおか登録団体による多彩な催しが行われ、多くの市民が参加した。

中でも注目を集めたのが、11月17日に行われた、ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダさんの講演「人生の楽しみ方」。長岡造形大学の円形講義室で開かれたこのイベントには、市内外から約100人が訪れ、笑いと感動に包まれた。

開場前から既に行列が

ドリアンさんは、派手な赤を基調とした衣装に身を包み、得意の歌を披露しながら華やかに登場。進行役の(有)MAX・ZEN performance consultants の丸山結香代表取締役との軽妙な掛け合いの中で、自身の人生観や経験を赤裸々に語った。

自身のセクシュアリティについて、「マイノリティであることは理解していたが、悪いことだと感じたことはなかった」と語るドリアンさんは、高校3年生の頃、近所に住んでいた年上のゲイの人達との交流を通じて、初めてドラァグクイーンというものを知ったという。そのときの衝撃について「スーパーヒーローに出会った気分だった」と語った。「普段とは180度異なる世界観、空気感を万華鏡のようにまとえるのが、その魅力」とした。

自身の生い立ちについて語るドリアン・ロロブリジーダさん

現在は、芝居の世界にも挑戦しているというドリアンさん。「苦手だったことにも挑戦できるのは幸運。大変だけど、楽しい」と笑顔を見せる。また、ときどき投げかけられるネガティブな反応については「私を嫌うなんてセンスがない!」と一蹴し、「人生で出会う人はみんなファン予備軍。私は“自己愛の化け物”なんです」とユーモアを交えながら自身の人生観を述べた。

講演後の質疑応答では、「どうすればドリアンさんのように明るく物事を考えられるか」などの質問が飛び交い、会場はさながら人生相談の場のようであった。参加者に「中島みゆきさんの歌を歌って欲しい」とリクエストされると、「ファイト!」を披露するなどし、参加者を大いに喜ばせた。

中島みゆきの「ファイト!」を熱唱するドリアンさん

市内から妻とともに参加した小林智康さん(47歳)は、「仕事上、転勤が多い。職場では管理職として部下に厳しいことを言わざるを得ないため、部下から嫌われることもあるが、“初めて会う人は自分のファン予備軍”という考え方が印象に残った」と感想を述べた。

長岡市内から参加の小林智康さんは、講演の内容に満足した様子

(文・写真 湯本泰隆)

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