コジマタケヒロのアルビ日記「進化する新潟の至宝」
今シーズンのアルビレックス新潟は開幕から連勝街道を突っ走っていた。どの選手も表情が明るく、好調なチーム状況そのままの受け答え。第15節で京都に敗れるまで、無敗で勝ち点を積み重ねていたそんなとき、新潟の至宝と呼ばれる、本間至恩選手には何やら思い詰めている空気が漂っていた。
「町田戦(第14節/A/●0-2)では、何もできなかった。自分のプレーが思い出せないくらい、いいところがなかった」。
ここまで(第20節終了時時点)19試合に出場し、5得点。40試合で7得点を挙げた昨シーズンより明らかにいいペースで得点を重ねている。しかし、本間選手は満足していない。自らに、これまでとは異なる得点という課題を課していた。「自分でドリブルで切り込む。相手をはがしてその流れでシュート。得点を決めるというのではなくて、連携の中での得点。フィニッシュのところに、自分が絡んでいくことにもっとこだわりたい」。
秋田戦(第19節/A/◯2-0)では、アクシデントの三戸舜介選手に代わり、前半途中から右サイドでプレー。高木善朗のシュート気味のボールに足をあてて、コースを変え、見事な得点を決めてみせた。89分には、自ら持ち込み、裏を抜けた矢村健選手のゴールを演出。そのままの勢いで臨んだ水戸戦(第20節/H/△0-0)でも、右サイドで先発出場。独走ドリブルをみせるなど、攻撃をけん引するプレーをするも、個人としても、チームとしてもこの試合は無得点。アルベルト監督に「決定力が課題」と言わしめさせる結果となった。
「形なんかどうでもいい。一点は一点。とくかくゴールを決めないとダメなんだと思い知りました」。
水戸戦後の公開練習時、話を聞くと、こう本間選手から言葉が返ってきた。華麗なドリブルでスタジアムを魅了する本間選手から出た、泥臭いプレーをもいとわないという旨の発言。それは、町田戦終了後に話を聞いたときよりも、はっきりとした口調で、決意に似た強い想いを感じる言葉だった。
アルビレックス新潟は7月3日(土曜)、敵地にて2位の磐田と対戦する。勝てば順位がひっくり返る大事な試合。チームを勝利に導く得点にこだわる新潟の至宝が、さらなる輝きをピッチで放ってくれることだろう。
◎アルビライター コジマタケヒロ
練習、ホーム戦を中心に日々取材を続ける、アルビレックス新潟の番記者。また、タウン情報誌の編集長を務めていた際に、新潟県内の全日本酒蔵をひとりで取材。4冊の日本酒本を出した、にいがた日本酒伝道師という一面も。(JSA認定)サケ・エキスパート