新潟大学五十嵐キャンパス(新潟市西区)で「日本酒学センター」の開所式が開催
新潟大学は2日、五十嵐キャンパス(新潟市西区)で「日本酒学センター」の開所式を実施した。同施設は新潟大学が推進する学際的研究である「日本酒学」における基礎的な研究や、学生へ向けた講義のため4月1日付けで開所したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響から式典を延期していた。
新潟大学、新潟県、新潟県酒造組合の3者は、2017年5月に「日本酒学」の構築と発展のために連携協定を締結。以後新潟大学では「日本酒」というテーマを軸に、酒の製造などの化学的な視点だけではなく、文化面や医学面など、同大学が擁する全学部からアプローチできる学際的な取り組みと教育を進めている。
新潟大学では4月1日付けで施設を開所すると同時に、新潟税務署から清酒製造免許(試験醸造)を取得。隣接する研究棟では実際に酵母菌の育種から酒造を行い、試作した清酒は各種機器により成分や香りなどを分析して、その結果を次の酒造に反映するというサイクルが可能となった。
実験を重ねる中で生み出された、香味の優秀な酵母や新しい製造技術などの成果は、県の醸造試験場を通して一般の酒造メーカーへ還元していくという。日本酒学センター副センター長の平田大教授は「県の醸造試験場は、アカデミックな場で生み出されたものを評価・検証し、酒造の現場へ技術移転していく重要な役割を担っている。このような大学から県、そして酒造組合という産官学の連携があることが、我々の強みと言える」と話す。
新潟大学では現在、各研究者や学生ごとの研究以外にも「日本酒学」を教養科目として全学部へ開講している。日本酒を通して異分野の知識を身につけることで、学生たちへ学際的な学びを提供していきたい考えだ。
また、「日本酒学」の構築には、ボルドー大学(フランス)のワイン研究の手法が参照されているが、新潟大学でも日本酒に特化した体系的な科学「sakeology」を確立し、留学生の交換や日本酒文化の発信地としての拠点になっていきたいという。
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