【いじめ重大事態】学校の対応を不服とした被害者サイドの申し入れにより、県が再調査に乗り出す

新潟県総務部大学・私学振興課では12月26日、いじめ防止対策推進法に基づき、令和4年10月、県内私立高等学校から県に報告があったいじめ重大事態の調査結果に係る、同法第31条第2項に基づく県による再調査の必要があると判断されたことを報告した。

いじめ重大事態の経緯は以下の通り。

令和4年4~5月、県内私立高等学校の運動部において、上級生(2・3年生)から、被害生徒Aを含む複数の1年生への暴力・暴言によるいじめが発生。

令和4年5月、学校において、いじめ対応組織(教員で構成)により調査を実施。

被害生徒Aは、令和4年5月中旬から不登校となり、6月末に退学。

令和4年7月、被害生徒Aの保護者から県へ、学校が実施した調査が不十分であるとの相談があり、県として事案を把握。以後、県と学校間で、学校による適切な対応と県への報告についてやり取りを継続。

学校は、本事案をいじめ重大事態と認定し、令和4年10月、いじめ重大事態の発生及び調査結果について県へ報告。

しかし、被害生徒A及び保護者は、学校による重大事態の調査は、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(平成 29 年3月 文部科学省)」に則っておらず不十分であるとし、学校に再調査を求めたが、両者の溝は埋まらなかった。そのため被害生徒A及び保護者は県による再調査を申し入れるに至った。

これに対し県では、令和6年3月に知事が附属機関である調査委員会に対し、学校の調査結果に係る再調査(必要性の有無を含む)について諮問し、同4~10月に計4回の調査委員会における審議の中で、資料の精査や学校及び被害者サイドへのヒアリングなどが行われ、県による再調査の要否が検討されてきた。

 

被害者側の主張は以下の通り。

①いじめが発生した経緯や発生後の対応など、部活動指導者に対する調査が十分でない。

②関係生徒との面談や聴き取り時に作成された記録が破棄されており、調査の記録が適切に保管されていない。※1

③調査に関与した専門家は学校が選定し、また学校の代理人を務めているため第三者とは言えず、調査組織の中立性・公平性が担保されていない

④学校の調査が不十分であるため、策定された再発防止策が適切でない。

いじめがあった事実については学校も認定しており、論点ではないため、今後は学校側の調査が適切に進められたか否かが注目される。

※1 学校側は、破棄された記録は、聴き取り時の手書きの記録であり、それを元に担当者が取りまとめた後、破棄したものであると説明

 

 

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