新潟麦酒株式会社が阿賀町で温泉熱を利用したウイスキー蒸留所を整備、今年中に製造を開始
新潟県阿賀町とビール・ウイスキーなどの製造・畜産業などを行う新潟麦酒株式会社(新潟市西蒲区)は7日、阿賀町内の温泉熱を利用した新たなウイスキー製造を開始することに合意し、立地協定調印式を行った。
新潟麦酒は、令和3年度中に阿賀町にウイスキー蒸留所を整備し、令和4年度中の出荷を目指している。また、それに付随して樽貯蔵庫と畜産施設も整備する予定だ。畜産施設ではウイスキー蒸溜過程で発生する麦芽の搾りかすを飼料として利用し、肉牛を育てる予定となっている。
阿賀町では、小学校の統合により廃校となった校舎が増えており、新潟麦酒はこのような施設の利活用について町と協議する中で、学校以外にも様々な遊休施設があることから、温泉地である阿賀町の「かのせ温泉」の温泉熱を利用したウイスキー製造について検討を行っていた。
世界的に珍しい温泉熱を利用した蒸溜、遊休施設を利用することや、麦芽の搾りかすを飼料にして肉牛を育てる畜産業を行い、廃棄物を出さないなど環境を意織した製造方法によって、他と差別化できる商品を生み出せることが阿賀町へ進出する決め手となったという。
協定調印式に出席した新潟麦酒の宇佐美健代表取締役は、「阿賀町に何度も足を運ぶことはあったが、こういった形になるとは予想もしていなかった。今後、阿賀町は世界的に珍しい蒸留所の所在地としてはもちろん、美味しい肉牛の産地になっていくと思う」と話した。
一方、阿賀町の神田一秋町長は、「新潟麦酒さんが製造するウイスキーに阿賀町の名前が入るということは大変有り難く、嬉しいことである。この日を契機に阿賀町により元気を与えられたらと思う」と、蒸留所の整備に期待感を示していた。
今後、令和3年8月に蒸留所建設改修予定施設である町内の青少年旅行村レクリエーションセンター(かのせ温泉赤湯温泉脇の体育館)の改修工事に着手し、10月にはウイスキーの製造を開始する(当初製造能力:300キロリットル/年)。そして令和4年秋頃、完成したウイスキーを新潟麦酒で製造する「越の忍」シリーズとして販売を開始する予定となっている。
また、町内遊休施設を利用した樽貯蔵庫や、畜産施設として放牧場、牛舎等を整備する候補地を現在選定中だという。畜産施設では10頭程度の飼育からスタートし、最終的には80から100頭の飼育を予定していく予定だという。