【コラム第10回】県内自治体が抱える深刻かつ喫緊の課題を幾つか列挙し、今後の解決策等も模索してみたい 竜哲樹(元産経新聞社記者、元公明党上越市議会議員)

新潟県立中央病院(新潟県上越市)

言うまでもなく、『人口減少と少子高齢化問題』

まず、この人口減少と少子高齢化をどう乗り越えていくか。その対策も含めて明快に答えられる人は誰もいないだろう。事実、県内の各市町村ではこうした状態が急速に進んでいる。国・県・市町村も様々な対応・対策を行っているものの、非婚化・晩婚化も相まって新潟県上越市でも年間の新生児数も1、000人を切っている。併せて一部団塊の世代も含め亡くなる高齢者は増え続け、更に進学・就職でふるさとを離れる人も増加の一途を辿るなど人口減少に歯止めがかからない。

次に増え続ける空き家と空き公共施設の増大

当市でも空き家は中山間地では無論のこと、市内中心部でさえ深刻さを増している。行政も絡んでの空き家バンクはじめ、民間不動産会社も空き家の利活用問題と格闘しているものの、年間三桁の空き家が新たに生まれて空き家の増大を止めることが出来ない。更に、中山間地の小中学校の統廃合や役割を終えたであろう未利用公共施設もあちこちに見られるようになった。更に、民間会社においても事業承継者が見つからず、空き作業場や空き倉庫やなども目立っている。

医療費増大も絡む医療施設の維持・再編問題

高齢化が進み医療費の増大が続き、国や県の医療施設の維持・再編問題も深刻さを増している。当市の新潟労災病院の閉院問題はじめ、県立中央病院・厚生連の上越総合病院の赤字の常態化問題、市が運営する上越地域医療センター病院の改築も2年後に先送りになるなど医療施設環境も厳しさを増している。さすがに医療難民が起きてはいないが、今後に市民も不安を抱える、今、県も医師不足も含め地域医療構想(再編)を進めており、その対策に何とか期待したい。

人手不足や共働きなどに対応する働き方改革

人手不足問題については、当市でも建設業や介護分野などの不足が顕在化している。にもかかわらず、その分野で働く従業員が比較的給料が安かったり、残業が常態化し過酷な労働が強いられるケースも一部見られるようだ。また共働きについても、中小・零細企業で働く子育て世代に多いように思う。核家族化も進み、子育て世代の女性の負担が大きくなることが懸念される。『103万の壁』の撤廃がパートなどにおける待遇改善も含めた働き方改革の解決になることを期待したい。

地震災害や風水雪害等の自然災害への対応

昨年元日に発生した能登半島地震は、新潟市西区はじめ県内にも多くの被害をもたらした。近年全国どこでも線状降水帯や台風などによる自然災害が発生しており、県内でも3年前の大豪雪はじめ、2年前の水田における高温少雨による稲作災害なども発生した。過去の歴史に鑑み、自然災害への備えが喫緊の課題となっている。当市では能登半島地震に伴う関川や直江津港周辺での地震・津波被害によって、避難における津波ハザードマップの見直しも余儀なくされた。

若者の定住を目指し、IT企業などの産業誘致

昨年12月に北陸新幹線上越妙高駅にIT企業誘致のビルがオープンした。県内各地でもIT企業誘致が活発だ。と言うのも、IT企業は工場誘致(最重要)と違って全国どこでもオンラインなどで仕事が出来るからだ。高校・大学を卒業すると、多くの若者はふるさとから都会に就職するケースが多かったため、地方では若者の定住が進まなかった実態があったが、ここ近年当市内にも多くのIT関連企業が進出し、若者定住が進んだ。IT企業の進出によってそれ以外産業分野での企業進出も期待出来るようになった。

若年性認知症を含めた認知症高齢者の増加

この問題は県内自治体だけでなく全国的な課題であることは言うまでもない。筆者もまもなく後期高齢者に近づくことから、最初の課題に続いて高齢者問題を取り上げて恐縮です。当市内にも多くの介護施設が存在し、グループホームはもとより特別養護老人ホームや老健施設などに多くの認知症高齢者が入所している。認知症問題は施設入所だけでなく、訪問介護も含めて喫緊の課題であり、当市でもフレイル(健康な状態と要介護状態の中間の段階)対策も急がねばならない。

 

竜哲樹
昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、新潟県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元公明党上越市議会議員。

こんな記事も

 

── にいがた経済新聞アプリ 配信中 ──

にいがた経済新聞は、気になった記事を登録できるお気に入り機能や、速報などの重要な記事を見逃さないプッシュ通知機能がついた専用アプリでもご覧いただけます。 読者の皆様により快適にご利用いただけるよう、今後も随時改善を行っていく予定です。

↓アプリのダウンロードは下のリンクから!↓