株式会社スノーピークが地元・新潟県三条市と地方創生に向けた包括連携協定を締結
新潟県三条市と、同市に本社を置く株式会社スノーピークは9日、地域活性化に関する包括連携協定を締結した。今後は、観光事業でのより強い連携で地域活性を進めていくほか、同社施設や製品を災害時に利用することや、自然の保全でも協力をしていく。
スノーピークでは、同社の培ってきたアウトドアの知見を元に、地域の自然などを活用した地方創生の取り組みを進めており、これまでに新潟県佐渡市(2020年11月20日)や佐賀県(2021年4月21日)といった地方自治体のほか、JR九州(2020年10月23日)といった企業などとも包括連携協定を締結。今回の三条市を入れ、同社が結んだ包括連携協定は21例となった。
スノーピークの山井梨沙代表取締役社長は「当社は1958年、燕三条地域の商品を取り扱う金物問屋として創業し、この土地の職人と共にアウトドアブランドを確立してきた。60年越しに、私の代で包括連携協定を結ぶことができたことを嬉しく思う」と語る。
今回の連携では、三条市内、特にスノーピーク本社が位置し、そのほかアウトドア施設も多い下田地区の自然を活かした体験コンテンツの開発を通して交流人口を拡大していくことを目標に掲げた。
スノーピークでは現在、長野県白馬村で「Snow Peak GO」と題した地域全体をフィールドとしたコンテンツを提供している。これは、同社製品を携えて地域住民が勧める景勝地などを自転車で巡るサービスであり、観光ガイドに載っていないような地域独特の体験を提供することが目標だ。資料によると、今後下田地域でもこの事業を展開する計画があるようだ。
大規模総合展示会「Snow Peak LIFE EXPO」内の地方創生ブースには、地域の特産品から着想を得て作られた製品も展示されていたが、こうした食に関しての観光事業が今後あるのかにも注目したい。
また、ふるさと納税でもスノーピークの製品を導入していくという。三条市は隣接する燕市にふるさと納税の納税額で大きく水を開けられていたが、今後同社の製品が強い推進剤になることは間違いない。
スノーピークと三条市の連携事業は観光たけでなく、自然環境の保全や防災対応に関しての内容も盛り込まれた。防災対策に関しては、災害時の施設利用やキャンプギアの提供を行っていく。
三条市との連携協定は、7日から3日間に渡り開催された大規模総合展示会「Snow Peak LIFE EXPO」の最後のステージイベントに位置付けられる。展示会ではスノーピークと社会・環境の近未来を思考することが1つのテーマとなっていたが、連携協定もその色合いが強い。
スノーピークの山井梨沙社長は、昨年滝沢亮市長が30歳代で市長に当選したことに自らを重ねつつ「初めてお会いした際にも、市長が生まれ育った下田郷の自然や燕三条の産業について、未来志向の熱い話を取り交わした」と振り返る。そして「昨今SDGsやカーボンニュートラルなど世界中が『自然』の重要性へ目を向けている。同じ30歳代の、未来を切り開く責任のある立場として、今後三条市と同社で最先端の自然思考の都市となっていくよう尽力していく」と意気込みを語った。
三条市の滝沢亮市長も「この包括連携協定は、未来のために三条市とスノーピークが共に歩むための最高の一歩となると考えており、そうしなければいけないとも強く思っている。また皆さんへは、これを期にどんどん面白いことを示していける、と私自身も胸が躍っている」と期待を述べた。
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(文・鈴木琢真)