回顧2016~中編
人口減少がますます深刻になり、県や各市町村ではU・Iターン施策に注力した1年であった。
日本の中心であるJR東京駅から上越新幹線で最速約70分の湯沢町。バブル時代は、タワーマンションなどが相次いで建設され、首都圏在住者が購入したことから、“東京都湯沢町”などと言われたこともある。
同町ではその“地の利”を活かそうと、8月1日に新幹線を使って首都圏に通勤する町内在住者に、定期代の一部を補助する制度を立ち上げた。10年間にわたり毎月最大5万円を補助するという。
東京~越後湯沢間の定期代は約15万円。同町の補助金に、会社から支給される交通費(数万円)を足しても、数万円の負担が生じてしまうが、家賃や物価の安さも考慮に入れれば、それほど気になる額ではないという。
一方、関川村や十日町など奨学金の返済を一部免除・肩代わりすることでUターン促す自治体も登場した。
市外在住の出身者に、故郷での同窓会に参加してもらい、これを機に、故郷の良さを再認識してもらおうという事業も広まった。五泉市は、Uターンを促進するため、市内の小学校などの卒業生が市内で同窓会などを開催するさい、市内在住者の参加者1名につき2000円を補助する(市内在住者の場合は1000円の補助)。十日町も20代の若者10人以上集まって市内で同窓会、同級会を開催するさい、市外在住者1名あたり3000円を補助する(市内在住者は1000円)。
また、地方では「役所こそ最高の就職先」という傾向が根強くあるなか、燕市は、市役所職員採用試験に「Uターン・Iターン型の民間企業等経験者採用枠」を設定し、その一次試験を東京都内で行った。
一方、雇用の場を確保しようと、経済活性化策にも必死だった。例えば、裾野が広く雇用の創出効果も高い航空機産業。新潟市では今年5月、航空機産業向けの貸工場「戦略的複合共同工場」を新潟市南区に完成させ、竣工式を行った。
新潟市では、航空機関産業を集積させようという「ニイガタスカイプロジェクト」を進めており、今回の工場建設も、その一環。
アルミ合金部品の切削などを行う柿崎機械(上越市)、切削した部品の表面処理などを行う新潟メタリコン(新潟市東区)など7社でつくるグループ[NSCA」のメンバー企業が入居し、航空機体部品の一貫生産を行えることが特徴だ。
また、工場内に地域イノベーション推進センターが入居。新潟市からヘッドハンティングされてきた航空機の専門家がここに詰め、新規参入を検討する企業の相談に応じるという。