新潟県が今年の稲作について「概ね平均並みだが圃場差が大きい」との見解、圃場ごとの適切な管理を呼びかけ
新潟県は9日、昨年と現在までの水稲の育成状況を踏まえた、今後の栽培管理対策などの周知徹底を図るための「新潟米生産対策会議」を開催した。コシヒカリの育成現状は、全県としては順調であるものの地域差・圃場差が大きく、また昨年度の反省から倒伏や、稲穂をつけすぎない「コンパクトで丈夫な稲作り」を呼びかけていく。
今年度は4月から5月にかけて天候不順により気温が低く、育成不良のリスクを分散するためにも圃場ごとに移植時期をずらす農業者が多かった。一方で、6月中旬以降の気温は平年以上となった日が多く、稲は一気に生育。変動の大きい天候の影響から、圃場ごとの生育に差が出ている。
これから稲の穂が形成される時期となってくるが、肥料の時期のなどを誤った場合、米の品質低下をもたらす稲の倒伏や、過剰な穂の形成に結びつく。そのため県農林水産部経営普及課の小林和幸参事は「まずは自分の圃場を管理し、昨年の反省を活かして倒伏や過剰生育が起きないよう、これからの肥料のやり方や時期を誤らないようにしてほしい」と注意を促す。
なお、今年度の出穂時期については、コシヒカリが8月4日、新之助が8月10日で例年並。早生種であるコシイブキは春先の天候不順の影響が残りやや遅めだが、7月中の気温が高ければ平年並みに回復する可能性もあるという。
また、近年は県内でも40度を超える異常な高温が観測されているが、8月の平均気温が高かった平成22年と令和元年はコシヒカリの1等級比率が大幅に減少するなど、米の品質に悪影響を及ぼしている。
県では昨年より、高温をもたらす「フェーン現象」の発生が危惧される場合には農業者へ注意喚起を行うシステムの運用を開始。昨年は計4回発令した。「高温になる5日前までには発令することを目指しているが、フェーン現象の要因となる台風は発生予測が難しい。注意喚起が空振りになることもあるかもしれないが、農業者の皆さんには、(高温になるかもしれないと)まず身構えて準備をしてもらうことが大切だと考えている」と小林参事は対策への重要性を話しつつ、農作業時の熱中症へも注意を促した。