【社説】若者らの闇バイト事件等特殊詐欺犯罪をどう防くか
新潟県内のニュースなどによると、殺人や強盗、強制性交、暴行、傷害、恐喝などの犯罪が絶えないようだ。最近は県内でも闇バイト事件のような特殊詐欺で騙され、多額の金額が奪われる事件もあとが絶えない。特に昨今の物価高も相まって金に困り、そうした事件が多数発生する背景もあろう。同時に以前からギャンブル依存症に伴う若者による犯罪も多い。金に困っての犯罪はもちろん若者だけではない。
昨年6月には新潟県上越市でも強盗殺人という凶悪犯罪が起きたが、金に困った長野県の72歳の被告が知人の当時62歳の男性の頭をハンマーで殴って殺害したものだ。私も新聞記者だった25年前の1999年11月、上越市で起きた元白根市議(子連れ狼で大五郎役を演じた元子役)による強盗殺人・死体遺棄事件を思い出す。金に困った元市議が上越市の知人男性から500万を奪い殺害した。
今回若者が巻き込まれる闇バイト事件をどう防ぐのかを考えたい。ここ何年かに渡り、東南アジアからの指示役による闇バイト事件が起き、国民に大きな衝撃を与えた。大量の犯罪逮捕者を出したが、また新しい指示役による闇バイト事件が続いており、こうした特殊詐欺事件では金に困った若者らが引きずり込まれ、闇バイトという犯罪行為に加担する事件が続いている。しかも多くの高齢者がその餌食に。
SNSによる巧みな闇バイト募集に安易に応じ、一生を棒に振る若者の悲劇を食い止めねばならない。もちろん、どんな理由があろうと、犯罪に加担してはならないし、そうした若者に同情する必要もないだろう。ましてや自己責任に伴うギャンブルの借金を犯罪で穴埋めするなどもってのほかだ。ただ、社会や世の中の深い仕組みが分からない若者達を狙う犯罪者にはもっと厳罰を科す刑法改正も進めて欲しい。
更に〃貧困ビジネス〃がまかり通り、そうしたビジネスに足を染める若者を非難するだけでなく、そのような若者が出ないように大人は寄り添うべきでもあろう。若者は失敗があって、一段と成長していくこともあるだろう。だからこそ、〃闇ビジネス〃の落とし穴を失敗などと簡単に言ってはならない。時には学校教育の中で、親子の対話の中で、若者に対しもっともっと教えていくべきだろう。
ちょっとした大人の注意や励ましで、若者が間違いない方向に進めるように努力していきたいものだ。「自分の子でないし、人の子だから関係ない」というものではない。傍観者的な対応であってはならない。そんな中、架空料金請求の特殊詐欺を未然に防止したというコンビニの店長や店員の新聞記事などが載っていると大変嬉しくなる。電子マネーカード購入を詐欺なのではと見破り、被害を未然に防いだのだ。
もしかしたら、その詐欺行為の実行役が、大人の指示役によって犯罪に加担しようとした若者であれば、間接的にその若者が犯罪の加担から免れたかも知れない。高齢者が特殊詐欺で何千万も騙されたという話を聞くと本当に悔しいし、苦労して貯めた金が一瞬に奪われるこうした犯罪を何としても止めねばならない。しかも、その〃闇の犯罪〃の中で、悲劇の若者も新たに生んでいるに違いないと考えると残念だ。
凶悪犯罪の解決はもちろん警察の仕事であり、新潟県警を挙げて検挙して欲しい。ただ、特殊詐欺なども含め窃盗などの犯罪などは、市民らの協力で解決することもあろう。まさに市民の出番があるように思う。こうした犯罪を市民・住民も未然に防いでいきたい。併せて凶悪犯罪であっても、市民達が十分緊張感や警戒感を持ちながら、そうした犯罪に無関心であってはならないし、犯罪を減らしていきたいものだ。
最後に、一言加えたい。成人年齢は民法の一部改正で、2022年4月1日より18歳に引き下げられた。この改正は18歳の若者に、大人として自覚を促すのに大変良かったと一方で、未成年者取消権が行使出来なくなり、消費者トラブルに巻き込まれる可能性が増えたようだ。とは言え、もう一度大人も含め社会全体で、知識や社会経験の少ない若者が狙われないような監視や関心を高めることも必要にも思う。