【にい経編集部発】記者コラム&今週の主なニュース 1月18日〜1月24日

記者コラム

「インバウンドとアウトバウンド」

新潟県妙高エリアで目下の話題は、なんといってもシンガポールの不動産投資ファンド「ペイシャンス・キャピタル・グループ」の大規模開発だ。このグループはこれまでに、斑尾高原スキー場や妙高杉ノ原スキー場、斑尾高原のホテル、野尻湖畔のホテル跡地も取得しているという。これまで取得した土地は約350haになり、投資額は最大700億円規模の見込みだという。

上記の大規模開発はもちろんのこと、目下のウインターシーズンには妙高市のロッテアライリゾートや妙高市の赤倉温泉にも多くのインバウンドが訪れている。元々、ロッテや赤倉温泉にはオージーが来ていたが、最近の円安で外国人の日本旅行にはさらにメリットが大きくなっている。

全国的に見ると、実際に日本政府観光局が昨年11月に発表した1〜10月の訪日客数は、累計でみるとおよそ3,019万人となり、過去最速で3,000万人を突破。2023年同期は1,989万人で、約1.5倍に増えた。

とりわけ、上越・妙高エリアでは外国人は旅行需要だけでなく、労働力としても期待されている。建設業などでは安全性などを理由に受け入れには慎重な姿勢をとっているが、工場勤務などでは東南アジアを中心に積極的に受け入れを行っている企業もある。

これまではインバウンドを考察したが、一方で、アウトバウンドとも言える外へ向けた動きも活発だ。

まずは上越市本社の老舗企業の富寿し。シンガポールに2010年に第1号店を出店し、現在5店舗体制を敷く同社。富寿しは早くから、国内マーケットの縮小に危機感を抱き、海外展開をしてきた。

次に紹介するのは、新潟県見附市本社で、帽子やバッグなどに付ける外国車などのデザインのピンバッジを制作する企業。長岡造形大卒のその社長曰く、「新潟より群馬や横浜の方が売れる。新潟の人は内向的な人が多く、外国車も好きな人が少ない」。出張販売も多く、何よりネット販売をしている自社サイトは英語版で、売り上げのほとんどはアメリカ人の購入だというから驚きだ。

これらの動きは、地方都市だけではマーケットがシュリンクしてしまい、ビジネスにならないという事態に直面していると言わざるを得ないのではないかということである。日本国内で人口が増えているのは東京と沖縄くらいだと聞いたことがあるが、「静かなる危機」とも言われる人口減少の波は、もはや避けられることではないだろう。

その昔、東京に次ぐ人口だったといわれる我が新潟県。「移住・定住促進」という名の全国の自治体間での地域間競争もますます激しくなると思われる。地方自治体は、オンリーワンの特色や強みを磨いて打ち出し、若者に帰ってきてもらう自治体、移住者に選んでもらう自治体にならなければならないのではないだろうか。その意味では、弊社で連載している「市町村長リレーコラム」はそれぞれの自治体の特色がわかりやすく書かれてあると思う。

2025年も参議院選挙や県内で各首長選挙が行われるが、まずは選挙に行ってほしい。国民主権、政治の主役は議員ではない、主役は我々国民一人一人であることを忘れないでもらいたい。そう思う1年のはじめであった。

(にいがた経済新聞社常務取締役 梅川康輝)

 

今週の主なニュース

 

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